- Amazon.co.jp ・本 (661ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022608208
感想・レビュー・書評
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多分、大学生くらいの時に読み、30何年かぶりに実家の本棚から掘り出して、再読。
世の中の変化をまず思う。
家族内での殺人という事象は、増えているのか横這いなのか、分からないのだがその受け止められ方の変化をまず思う。事件が起きた家庭のあり様、親子の関係、引いては日本社会の抱える病理と言った様々な切り口で2つの事件に迫ろうとしているのだが、今同じ事件が起きたらどう論評されるだろうかと考えてしまう。
まず、あるべき論、即ち家庭はこうあるべき、父親母親はこうあるべき、育児はこうあるべきということを現代は誰も言えなくなっているような気がする。この時代にはそれをまだ言える空気があったのだ。しかし現代では育児についての議論をすれば女性の社会進出に対する抗議とみなされ、結果みな何も見言えず口を紡ぐようになっている。現象としての子供の発達障害と言うことばかりが取り上げられ、それに対する対処法ばかりが論じているように思えてならない。
もう一つ、河合隼雄氏的な物の見方が最近なされなくなっているように思うのだが、それは結局氏の意見が処方箋たりえなかったということなのだろうか。私自身、当時、河合氏の論評を読みたくてこの本を手に取り、母性原理と父性原理という話に説得力を感じていたような記憶があるのだが、今読むとどうもピンとこない感じが残る。実際、父殺しや母殺しという事件よりも、親による虐待、子供の引きこもりという現象が目につく。河合氏は、今のこの現象をどう読み解くのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二つの殺人事件を追ったルポ。いずれも被害者は家族で、犯人は高校生。しかも超がつくほど優秀な高校生だ。校内暴力という言葉がメディアに出るようになったのもこの頃だ(1979年)。
<a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090114/p3" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20090114/p3</a> -
今では珍しくもなくなった(!)家庭内暴力や子供殺しを30年前に取り上げたルポ。幸か不幸かあまり古くなってない。
不思議なのは、割と最近の著者が某対談で開成高校が男子校であることにびっくりしてみせて、それじゃあ人格形成に悪影響があるとか言っていること。開成が男子校なんてこと常識だし、ここで調べたことを忘れてしまったのだろうか。