調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫 な 30-1)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022615831

感想・レビュー・書評

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  • 香りの世界が一冊にギュッと詰まった本。
    調香の話だけでなく、経済・歴史・文学・環境・宗教等香りに関することが幅広く学べた。
    特に音階と同じように香階があるのは面白いと思った。

    残念だったのはタイトルに〝手帖〟とある通り、情報をまとめきれていない印象だったこと。
    複数回出てくる話題があったり、中途半端に終わった話題が別な章で語られていたり…ページ数の割に情報量が多い為、読み難かった。

  • 多方面から語られる「香り」についての本。
    著者は資生堂での研究経験を経た調香師によるものなので、いわゆるスピリチュアル的な角度ではなく、化学的根拠に基づいた視点から、香りによって期待できる効果や香料の歴史が語られているため、非常に興味深かった。
    美術・音楽・文学で語られる香りについても触れられていることも個人的には嬉しい点でした。

  • 資生堂の調香師として長らく活躍した氏による実録&エッセイな一冊です。
    ばら情報も豊富。ローズの香りの成分のうち解明されているのは全体の半分にすぎないのだそう。量にしたら95%。ただ、残りの5%こそが問題である、と氏は語ります。
    ミスター・ローズ鈴木省三さんとのエピソードも。
    ほかにも、ふだん香りをあまり感じていない椿やさくらなどの花々からも香りのエピソードがたくさん。氏の文章によって、調香師の感覚をひととき借りることができます。
    冒頭の香りをとおして"話"をする植物や虫たちのお話なども面白いです。

    専門的なのにぐいぐい読ませるあつくて聡明な語り口に惹かれて、他の本をほっぽり出して一気に読めました。
    染織家の志村さんにしてもこの方にしても、感覚を研ぎ澄まされていると
    こんなにも語彙が豊かで、なにを感じるのにしても一般人とかなり違うのかと興味深いです。
    天然香料については歴史や経済地理学、環境学、政治問題と密接に結びついていること、ある種の香料に関してはほぼ枯渇している状況を思うと愕然としますけれど、
    森林できれいな香りを採取しても公害物質なども共に得られてしまうことも書かれていてぞっとしたりします。

    じつは20年以上前に書かれた古い本らしいのですが意識せず読めましたし、改訂もされています。
    ミステリのような装丁もかわいい。手帖とかいてノオトと読むみたいです。

  • 「香り」に纏わる情報が多岐にわたって詰まっている一冊。素人には少し難しい内容だったが、とにかく「香り」が想像以上にあらゆる物事に密接であることは理解できた。
    「香り」の音階や香遊びはとても興味深く、機会があれば体験してみたい。
    う〜〜ん、「香り」に関しては知識が無さすぎました。

  • 中村祥二「調香師の手帖」https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9967 … 読んだ。嗅覚(マイ)ブーム。タイトルそのままで雑学には十分かな、学術的な記述や事象に出典が殆どなくまさに手帖の中身みたいな本。本質的じゃないけど修辞が曖昧な文章で読むのがつらかった。素人の文章は出版社がちゃんと編集してほしい(おわり

  • 香料の歴史や文化を科学的な視点から描いている本。モダンローズや組香や加齢臭など話は多岐にわたり、どれも面白い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「香料の歴史や文化」
      香りに関する、網羅的な本を探していたので参考にさせて貰います。
      「香料の歴史や文化」
      香りに関する、網羅的な本を探していたので参考にさせて貰います。
      2012/08/29
  • 自分のsignature scentを探したくなり、香水関係の本を探したのですが化学の知識が必要なものが多く苦戦。その中でも自分にもなんとか読みきることができ、香りを愛する学者の眼差しで誠実に執筆された貴重な本でした。

    論文としては書ききれなかったであろう著者ならではの興味深い視点がいろいろと提示してあり、香り関係の研究テーマを求めている若い方にも、よいアイディアリソースになりそう。

    個人的な香りにまつわる経験や所感も丁寧に書かれており、自分の体感と照らし合わせて読むのが楽しい一冊でした。

    日頃、ワインを飲むときと、作り置きの食品の匂いを嗅ぐぐらいしか真剣に嗅覚を使うことがない事に気が付きました。もっと嗅覚を使うことを楽しむ機会を増やしてみたいと思います。

  • -好きなYoutuberが勧めてたので

  • 資生堂で長年調香師をされた中村祥二さんによって書かれた「香りの世界」への入門書。
    日本では、視覚、味覚、聴覚は成長とともに成熟していくのに対し、嗅覚は訓練されることはない。身の回りに溢れる香りは常に研究の対象であり、香りを操ることをできるのは魅力的な人である。身の回りの香りを分析できるようになるとともに、戦略的に香りを使いこなせるようになりたい。

  • 濃い一冊。文庫本を手にした時の予想を超えるボリューム感があった。
    10代でこの本を読んでいたら調香師を目指してもおかしくなかったなーと思っていたら、あとがきを読んでやはり。
    貴重な経験や知識をしまい込まず伝えようという懐の広さを感じた。それも押し付けがましくなく、淡々としているところが良い。落ち着いた文章の中に常にある研究者としての好奇心と情熱がこの本の面白さの核かなと感じた。
    程よい軽さを意識して書かれたのだろう。理解しやすく読みやすい。その道一筋の人の知性と見識に触れられるありがたい本。

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