- 本 ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022618283
作品紹介・あらすじ
「世界が尊敬する日本人25人」(2011年・Newsweek日本版)、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2012」(2011年・日経WOMAN)、「InternationalLeadersProgramme」(2015年・イギリス政府)に選出。2015年、「戦後70年談話」の有識者懇談会メンバーに最年少で抜擢された注目の著者による自伝的エッセー。「壊れた社会」を立て直す、それが私の仕事――。17歳のときに見た写真が、平凡な少女の運命を変えた。「武装解除」のプロとして、24歳で国連ボランティアに抜擢、30代で各界の注目を集めるに至るまで、いくつもの組織を渡り歩いてきた著者が、その半生をつづる。「グローバル化で世界の垣根はますます流動的になっている。世界の問題を知り、その解決の担い手となることが、日本の身近な平和にもつながる。そのためには、海外情勢について知る機会を増やし、紛争がもたらす現実を認識すること、平和構築の担い手を増やすことだ。日本は世界の平和に多額の資金提供をしているのに対し、実務的な専門家や団体が少ないし、個人の支援や参加も限られている。必然的に具体的な政策提言やロビイングも弱くなりがちだ。窓口が政府しかないと、そこでうまくいかなかった時に行き詰まってしまう。個人と行政の間にある距離を埋める役割として、NPOももっと力を発揮していけるし、そのためにこれからも自らの役割を果たしていきたい」(本文より)「私は同じ日本にこういう人がいることを誇らしく思っているし、日本からそうした若者が一人でも多く現れてほしいと願っている。本書は、そのための貴重な道しるべとなるだろう」文庫版に解説を寄せた作家・石井光太氏も絶賛。(著者略歴)瀬谷ルミ子1977年群馬県生まれ。認定NPO法人日本紛争予防センター(JCCP)理事長、JCCPM株式会社取締役。中央大学総合政策学部卒業。英ブラッドフォード大学紛争解決学修士課程修了。ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどで、国連PKO、外務省、NGOの職員として勤務。2007年よりJCCP事務局長として、ソマリア、南スーダン、アジア地域などの事業を統括。13年より現職。専門は紛争後の復興、平和構築、治安改善、兵士の武装解除・動員解除・社会再統合(DDR)など。11年Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」、15年イギリス政府による「InternationalLeadersProgramme」に選出。
感想・レビュー・書評
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戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
そんな職業があるんですね!
積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
日本人だから出来ることがあるという。
一見、ごく普通の女性に見える。
瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。
勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
明るくて人気者の弟。
どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ大虐殺の難民キャンプでの、幼い子供‥
そんな環境にいる人に比べて、自分は努力しだいで色々なことが可能になることに気づいたという。
役に立つにはどうしたら良いか、進路を模索していく。
日本の大学で政治を学ぶが、やりたいことが出来るコースが存在しない。
そこで諦めるのではなく、誰もやっていないのなら就職口があるかもしれないと考えたそう。
卒業後、英国で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどものすごく大変な土地へ。
国連PKO、外務省、NGOの職員として、紛争を終結させることに携わってきたのですね。
まず兵士に武器を返還させるために、お金や仕事、農機具、職業訓練などを交換に与える。
そうしないと、武器を持った兵士に職がなくては、強盗や暴動が起こって、また逆戻りしてしまうから。
兵士に村や家族が襲われた記憶も新しい人々にとっては、兵士が罪をとがめられずにそんな得をするのは見ていて苦しいのだが‥
先に兵士を優遇しなければならないのは、そういう理由がある。
アフガニスタンでは、日本人のあなただから武器を渡すと兵士たちに言われる。アメリカ人やイギリス人なら撃ち殺すと。
アフリカでは、植民地支配をしたことがないと評価される日本。
それに、第二次世界大戦で荒れ果てた日本が復興した様子は希望となっている。いつか、日本のようになれるのではないかという。
日本には、そういう価値があるのだということ。
そういう歴史的価値を背負った日本人。
平凡な一人に出来ることは少ないかもしれないが、決して、なくはないのだ。
傍観者としてではなく、関わっている当事者として考えてみること。
世界で起きていることを少しでも知ること。
この本のご紹介を書くことも、その一歩のつもりです☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
武器を取り上げれば、平和になるなんて簡単なことではない。紛争地には、家族や家や仕事、いろんなものを失った人々がたくさんいる。武器を取り上げたところで敵対感情がなくなることはない。でも、再び紛争にならないように武器は回収しなければならない。そして、今まで兵士だった人々には職業を与える必要があるし、職業訓練も必要だ。一方で、家族や家や仕事を失った一般人にも支援が必要だ。
「紛争が終わって和解」と言葉では簡単に言えるけれど、その場所が、そこで暮らす人々にとって、本当に平和に自由に暮らせる場所になることは簡単なことではない、と思い知らされる。
著者が高校生の時に、一枚の難民キャンプの写真に出会ってから、紛争地での様々な支援を行うまで、どんなことを考えて、今に至るのか。
読みやすいので、中高大学生くらいの若者に是非読んでもらいたい。
私たちには「自由に行動できる権利がある」 -
ブックファースト新宿店開店16周年記念名著百選2024で、三宅香帆さんが推薦していた本。
著者の職業は、ルワンダやソマリアで兵士たちの「武装解除」をサポートすること。
仕事する日々やその職業に至るまでの道のりを綴ったエッセイ。
他国の政策に関わる様子や、権力者との生々しいやり取りも記載されており、人間として仕事遂行能力、問題解決能力が凄すぎて、同じ人間か!?と疑うレベルです。
国際支援、NGO、国連等に関心のある人はもちろん、こんなに優秀で凄い日本人が世界で活躍しているんだということを多くの人に知ってもらいたいなと思いました。
自分の選著眼ではぜったいに出逢わない本なので、ブックファースト新宿店さんのこの企画は大好きです。 -
大変な良著。軽く簡単なので低年齢の子供に薦めたくなる。
紛争を終えた後、物理的に銃を取り上げ、兵隊たちに新たな仕事を与え、武装解除を行っていく仕事の詳細が綴られている。どれも初めて知りえる情報ばかりで、いかに自分が無知であるかを思い知ってうんざりしてくる。
努力と葛藤、容赦ない現実に時には打ち砕かれながら猛進する著者が眩しい。世界はこのような方に支えられているのだろう。読了した後、しばし浸って彼女の人生に思いを馳せた。つくづく争いのない世界を望む。 -
特に高校生や大学生といった若者に読んでもらいたい本です。
” いまの自分の状況、日本の復興、世界の紛争地の現状。何かがおかしい。何かを変える必要があると思うのであれば、まず、私たち一人ひとりが持つ「自由に行動できる権利」の使い方を考えてみてほしい。
最初の一歩勇気を出して踏み出すだけで、いろんなことが動き出し、見える世界が大きく変わり、出会う人々が大きな変化を与えてくれる。(P6)”
この著者の言葉はまさしく彼女の体験から出てきた言葉で、本書を通してそのことを体験できます。
世界は今も昔も混沌としていて、世界のどこかが問題を抱えている。それを見ぬふりをして過ごすこともできる。でも、関心を持って、自分に何かできることはないかそう考えていきたいと思う。「世界のどこかが問題を抱えているときに、その解決のために連携し合うことは、回りまわって将来の自分たちの問題解決にも繋がっていくのだと思う。」と著者の言う通りだと思うから。 -
著者の仕事観に感銘。
本当のプロフェッショナルとは何たるかがここに書かれている。 -
支援とは、ただ施すだけではなく自立して歩き出すために行うこと。その本質は極限状態であってもブレることはない。それが学べただけでも本書を読んだ意義はあった。
生ぬるい日常を送る自分にとっては目を背けたくなるような現実が次々と立ち現れるが、それでも著者は前に進む。ときにユーモアを交えながら。「武装解除」という、なんだか物騒だがその実何をやっているのか私は知らなかった。長期的なものの見方が必要なこの営みは、実は自分たちの生活と地続きにある。一読後に世界の見方が変わるような一冊。-
ほぅ(゚Å゚)~
ikuodanakaさんのコメントを見て、本書を読みたくなりました。感謝しますm(。-ω-。)mほぅ(゚Å゚)~
ikuodanakaさんのコメントを見て、本書を読みたくなりました。感謝しますm(。-ω-。)m2022/12/18 -
2023/01/03
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