職業は武装解除 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 245
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618283

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】「壊れた社会」を立て直す、それが私の仕事──。「武装解除」のプロとして紛争地を駆け回り、30代の若さで「世界が尊敬する日本人25人」(『Newsweek日本版』)に選ばれた著者が、自らの軌跡をつづった自伝的エッセー。

感想・レビュー・書評

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  • 戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
    そんな職業があるんですね!
    積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
    日本人だから出来ることがあるという。

    一見、ごく普通の女性に見える。
    瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
    国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
    2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。

    勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
    明るくて人気者の弟。
    どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
    高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ大虐殺の難民キャンプでの、幼い子供‥
    そんな環境にいる人に比べて、自分は努力しだいで色々なことが可能になることに気づいたという。

    役に立つにはどうしたら良いか、進路を模索していく。
    日本の大学で政治を学ぶが、やりたいことが出来るコースが存在しない。
    そこで諦めるのではなく、誰もやっていないのなら就職口があるかもしれないと考えたそう。
    卒業後、英国で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどものすごく大変な土地へ。
    国連PKO、外務省、NGOの職員として、紛争を終結させることに携わってきたのですね。

    まず兵士に武器を返還させるために、お金や仕事、農機具、職業訓練などを交換に与える。
    そうしないと、武器を持った兵士に職がなくては、強盗や暴動が起こって、また逆戻りしてしまうから。
    兵士に村や家族が襲われた記憶も新しい人々にとっては、兵士が罪をとがめられずにそんな得をするのは見ていて苦しいのだが‥
    先に兵士を優遇しなければならないのは、そういう理由がある。

    アフガニスタンでは、日本人のあなただから武器を渡すと兵士たちに言われる。アメリカ人やイギリス人なら撃ち殺すと。
    アフリカでは、植民地支配をしたことがないと評価される日本。
    それに、第二次世界大戦で荒れ果てた日本が復興した様子は希望となっている。いつか、日本のようになれるのではないかという。
    日本には、そういう価値があるのだということ。
    そういう歴史的価値を背負った日本人。
    平凡な一人に出来ることは少ないかもしれないが、決して、なくはないのだ。
    傍観者としてではなく、関わっている当事者として考えてみること。
    世界で起きていることを少しでも知ること。
    この本のご紹介を書くことも、その一歩のつもりです☆

  • 大変な良著。軽く簡単なので低年齢の子供に薦めたくなる。
    紛争を終えた後、物理的に銃を取り上げ、兵隊たちに新たな仕事を与え、武装解除を行っていく仕事の詳細が綴られている。どれも初めて知りえる情報ばかりで、いかに自分が無知であるかを思い知ってうんざりしてくる。
    努力と葛藤、容赦ない現実に時には打ち砕かれながら猛進する著者が眩しい。世界はこのような方に支えられているのだろう。読了した後、しばし浸って彼女の人生に思いを馳せた。つくづく争いのない世界を望む。

  • 特に高校生や大学生といった若者に読んでもらいたい本です。

    ” いまの自分の状況、日本の復興、世界の紛争地の現状。何かがおかしい。何かを変える必要があると思うのであれば、まず、私たち一人ひとりが持つ「自由に行動できる権利」の使い方を考えてみてほしい。
     最初の一歩勇気を出して踏み出すだけで、いろんなことが動き出し、見える世界が大きく変わり、出会う人々が大きな変化を与えてくれる。(P6)”

     この著者の言葉はまさしく彼女の体験から出てきた言葉で、本書を通してそのことを体験できます。

     世界は今も昔も混沌としていて、世界のどこかが問題を抱えている。それを見ぬふりをして過ごすこともできる。でも、関心を持って、自分に何かできることはないかそう考えていきたいと思う。「世界のどこかが問題を抱えているときに、その解決のために連携し合うことは、回りまわって将来の自分たちの問題解決にも繋がっていくのだと思う。」と著者の言う通りだと思うから。

  • 読みやすかった。また読み返したい。

  • 肩書に負けない、過去の自分に負けない

  • 1977年生まれの、国際紛争解決を手掛けるNPO法人の代表であり、2011年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた瀬谷ルミ子氏が、自らの半生を綴った記録。2011年に単行本で発刊され、2015年に文庫化された。
    日本の地方に生まれた瀬谷氏が、国際紛争解決という仕事に目覚めたのは高校時代で、自宅の茶の間でお菓子を食べながらめくっていた新聞に載っていた一枚の写真がきっかけだという。その写真には、ルワンダ大虐殺の難民キャンプで、コレラで死にかけた母親を泣きながら起こそうとしている三歳くらいの子どもが写っていた。そして瀬谷氏は、自分にはそうした世界の人々には持ちえない選択肢があり、すべては自分の努力で可能になることに気付き、その後の半生を歩んできたのだといい、本書では、日本の大学卒業後、英国の大学で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどで、国連PKO、外務省、NGOの職員として、武装解除などに携わってきた足跡が綴られている。
    最後に瀬谷氏は、「アフガニスタンでは、日本人が言うからと、信頼して兵士たちは武器を差し出した。ソマリアでは、アフリカで植民地支配をしたことがなく、支援を行う際にも政治的な思惑をつきつけない日本は、中立的な印象を持たれている。そして、第二次大戦であそこまで破壊された日本が復興した姿を見て、今はボロボロの自分たちの国も、日本のようになれるのではないかという希望を与える存在となっている。日本が背負ってきた歴史的経緯は、他の国がどれだけお金を積んでも手に入れられない価値を持っているのだ」と語り、私たち一人ひとりが、傍観者ではなく、行動する者として施策に影響を与えうる役割があることを今一度考えて欲しいと述べている。
    国内に住む大多数の日本人にとって、世界各地で起こる民族紛争に対して直接的にできることは多くはないが、瀬谷氏らの活動やメッセージを通して、国際社会での日本の役割を考えていくことはできるし、していかなくてはならないことなのだと強く思う。
    (2011年9月単行本了)

  • 尊敬します。

  • なぜ、この本を読むことになったか、キッカケを覚えていない。高校時代に見た新聞記事で、人生ここまで進んできた彼女は本当に凄いと思う。「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれるのも当然である。日本での評価が低いと思いましたが、NHKの仕事の流儀に出ていたんですね。最近知った自分が恥ずかしいです。「できないこと」と「やらないこと」の区別に対する考え方は、全ての仕事に通じる。NHKの番組でコメントされたのでしょうね。以下のコメント文がHPにありました。「やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になる。それをせずに改善をするための方法を考えて実行するのがプロフェッショナルだと思います」これを、アフリカのDDRの仕事を通じて、言い切る彼女の強さを尊敬します。

  • 瀬谷さんの幼少期の思い出から紛争解決、武装解除の今を記述。ところどころに記述がある生々しい現実にもめげず、それでも何か惹きつけられるものがこの仕事にはあるのだろう。途上国の政治の腐敗はもちろんひどいのだが、おそらく日常レベルでそれらのハラスメント、意思の強制というところは殺人や強姦までいかないものの振れ幅を狭めたレベルで日本でも起こっている。
    むしろそっちが解決されることがあまりに難しいが必要で、でも途上国のより悲惨な状況を見れば相対的にマシに見える。しかし特に日本の労働環境で起こっていることというのは世界を狭くせざるを得ない労働者から見れば同じような問題なのだろう。

    しかし殺し合いにならないまでも決して理想的ではない状態ってイメージがつかない。ワガママになってしまった私は殺し合いやいじめと感じられる基準が通常より下がっているためなのだろう、日本の日常もある種の紛争現場に感じられる。

  •  先日、瀬谷 ルミ子 氏 による「職業は武装解除」を読み終えました。
     何かの書評欄を見ていて気になった本です。とても興味をひくタイトルですね。
     著者の瀬谷ルミ子さんは、国連をはじめ幾多の国際的組織で活躍している「武装解除」のプロとのこと。本書は、その瀬谷さん自らの手による半生記であり、活動ドキュメンタリーです。
     読み終えてみて、久しぶりに、「できるだけ多くの人に、この本を手にとってみて欲しい」という気持ちを抱きましたね。老若男女誰でもOKですが、今後の進む道を模索している(若い)皆さんには特にお勧めです。自分の将来を考えるうえで、素晴らしい刺激になるでしょう。

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