職業は武装解除 (朝日文庫)

著者 : 瀬谷ルミ子
  • 朝日新聞出版 (2015年5月7日発売)
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  • 19レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022618283

作品紹介

【文学/日本文学評論随筆その他】「壊れた社会」を立て直す、それが私の仕事──。「武装解除」のプロとして紛争地を駆け回り、30代の若さで「世界が尊敬する日本人25人」(『Newsweek日本版』)に選ばれた著者が、自らの軌跡をつづった自伝的エッセー。

職業は武装解除 (朝日文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戦争が終結したばかりの土地に赴き、兵士の武装を解除する。
    そんな職業があるんですね!
    積極的な平和主義とは、まさにこのこと。
    日本人だから出来ることがあるという。

    一見、ごく普通の女性に見える。
    瀬谷ルミ子、1977年生まれ。
    国連での仕事を経験した後に、国際紛争解決を手がけるNPO法人の代表となりました。
    2011年には、Newsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた人なのです。

    勉強もスポーツも何でも出来る優等生の姉。
    明るくて人気者の弟。
    どちらでもない自分に出来ることは何か、子供の頃から考えていたそう。
    高校時代、新聞に載っていた一枚の写真に衝撃を受ける。ルワンダ大虐殺の難民キャンプでの、幼い子供‥
    そんな環境にいる人に比べて、自分は努力しだいで色々なことが可能になることに気づいたという。

    役に立つにはどうしたら良いか、進路を模索していく。
    日本の大学で政治を学ぶが、やりたいことが出来るコースが存在しない。
    そこで諦めるのではなく、誰もやっていないのなら就職口があるかもしれないと考えたそう。
    卒業後、英国で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどものすごく大変な土地へ。
    国連PKO、外務省、NGOの職員として、紛争を終結させることに携わってきたのですね。

    まず兵士に武器を返還させるために、お金や仕事、農機具、職業訓練などを交換に与える。
    そうしないと、武器を持った兵士に職がなくては、強盗や暴動が起こって、また逆戻りしてしまうから。
    兵士に村や家族が襲われた記憶も新しい人々にとっては、兵士が罪をとがめられずにそんな得をするのは見ていて苦しいのだが‥
    先に兵士を優遇しなければならないのは、そういう理由がある。

    アフガニスタンでは、日本人のあなただから武器を渡すと兵士たちに言われる。アメリカ人やイギリス人なら撃ち殺すと。
    アフリカでは、植民地支配をしたことがないと評価される日本。
    それに、第二次世界大戦で荒れ果てた日本が復興した様子は希望となっている。いつか、日本のようになれるのではないかという。
    日本には、そういう価値があるのだということ。
    そういう歴史的価値を背負った日本人。
    平凡な一人に出来ることは少ないかもしれないが、決して、なくはないのだ。
    傍観者としてではなく、関わっている当事者として考えてみること。
    世界で起きていることを少しでも知ること。
    この本のご紹介を書くことも、その一歩のつもりです☆

  • 肩書に負けない、過去の自分に負けない

  • 1977年生まれの、国際紛争解決を手掛けるNPO法人の代表であり、2011年にはNewsweek日本版「世界が尊敬する日本人25人」にも選ばれた瀬谷ルミ子氏が、自らの半生を綴った記録。2011年に単行本で発刊され、2015年に文庫化された。
    日本の地方に生まれた瀬谷氏が、国際紛争解決という仕事に目覚めたのは高校時代で、自宅の茶の間でお菓子を食べながらめくっていた新聞に載っていた一枚の写真がきっかけだという。その写真には、ルワンダ大虐殺の難民キャンプで、コレラで死にかけた母親を泣きながら起こそうとしている三歳くらいの子どもが写っていた。そして瀬谷氏は、自分にはそうした世界の人々には持ちえない選択肢があり、すべては自分の努力で可能になることに気付き、その後の半生を歩んできたのだといい、本書では、日本の大学卒業後、英国の大学で紛争解決学を学び、ルワンダ、アフガニスタン、シエラレオネ、コートジボワールなどで、国連PKO、外務省、NGOの職員として、武装解除などに携わってきた足跡が綴られている。
    最後に瀬谷氏は、「アフガニスタンでは、日本人が言うからと、信頼して兵士たちは武器を差し出した。ソマリアでは、アフリカで植民地支配をしたことがなく、支援を行う際にも政治的な思惑をつきつけない日本は、中立的な印象を持たれている。そして、第二次大戦であそこまで破壊された日本が復興した姿を見て、今はボロボロの自分たちの国も、日本のようになれるのではないかという希望を与える存在となっている。日本が背負ってきた歴史的経緯は、他の国がどれだけお金を積んでも手に入れられない価値を持っているのだ」と語り、私たち一人ひとりが、傍観者ではなく、行動する者として施策に影響を与えうる役割があることを今一度考えて欲しいと述べている。
    国内に住む大多数の日本人にとって、世界各地で起こる民族紛争に対して直接的にできることは多くはないが、瀬谷氏らの活動やメッセージを通して、国際社会での日本の役割を考えていくことはできるし、していかなくてはならないことなのだと強く思う。
    (2011年9月単行本了)

  • 尊敬します。

  • なぜ、この本を読むことになったか、キッカケを覚えていない。高校時代に見た新聞記事で、人生ここまで進んできた彼女は本当に凄いと思う。「世界が尊敬する日本人25人」に選ばれるのも当然である。日本での評価が低いと思いましたが、NHKの仕事の流儀に出ていたんですね。最近知った自分が恥ずかしいです。「できないこと」と「やらないこと」の区別に対する考え方は、全ての仕事に通じる。NHKの番組でコメントされたのでしょうね。以下のコメント文がHPにありました。「やらない言い訳をしない人、ただでさえ難しい仕事をやらない言い訳をするとただでさえ難しいミッションがさらに困難になる。それをせずに改善をするための方法を考えて実行するのがプロフェッショナルだと思います」これを、アフリカのDDRの仕事を通じて、言い切る彼女の強さを尊敬します。

  • 瀬谷さんの幼少期の思い出から紛争解決、武装解除の今を記述。ところどころに記述がある生々しい現実にもめげず、それでも何か惹きつけられるものがこの仕事にはあるのだろう。途上国の政治の腐敗はもちろんひどいのだが、おそらく日常レベルでそれらのハラスメント、意思の強制というところは殺人や強姦までいかないものの振れ幅を狭めたレベルで日本でも起こっている。
    むしろそっちが解決されることがあまりに難しいが必要で、でも途上国のより悲惨な状況を見れば相対的にマシに見える。しかし特に日本の労働環境で起こっていることというのは世界を狭くせざるを得ない労働者から見れば同じような問題なのだろう。

    しかし殺し合いにならないまでも決して理想的ではない状態ってイメージがつかない。ワガママになってしまった私は殺し合いやいじめと感じられる基準が通常より下がっているためなのだろう、日本の日常もある種の紛争現場に感じられる。

  •  先日、瀬谷 ルミ子 氏 による「職業は武装解除」を読み終えました。
     何かの書評欄を見ていて気になった本です。とても興味をひくタイトルですね。
     著者の瀬谷ルミ子さんは、国連をはじめ幾多の国際的組織で活躍している「武装解除」のプロとのこと。本書は、その瀬谷さん自らの手による半生記であり、活動ドキュメンタリーです。
     読み終えてみて、久しぶりに、「できるだけ多くの人に、この本を手にとってみて欲しい」という気持ちを抱きましたね。老若男女誰でもOKですが、今後の進む道を模索している(若い)皆さんには特にお勧めです。自分の将来を考えるうえで、素晴らしい刺激になるでしょう。

  • どこの世界にも対立する関係というのは存在する。たとえば企業内組織の問題もその一つだ。協力しあうことを忘れて自部署の権益を守りに走ると、必ず部門間の軋轢が生じる。それでも組織の歯車を維持できるのは、そこに優秀な「調整役」が存在するからだ。しかし、武装解除における「調整役」の難しさは次元を超えている。何しろ戦争加害者と被害者という絶対に相容れない関係の中に「理解」を持たせなければならないからだ。しかも加害者は武装解除のために「対価」を求めてくる。当然その「対価」は、被害者にとっては許しがたい内容。それでも対価を与え、被害者に理解を求める。著者の言葉を借りるならば、平和とは、時に残酷なトレードオフのうえで成り立っている。武装解除。尊い職業であり、残酷な職業でもある。そして、無くてはならない職業。

  • 「積極的平和主義」ってこういうことでもあるんだ・・

  • 読むと何度でも自分のネジを巻きなおせる本。
    武装解除というのは、兵士たちから武器を回収し、職業訓練をし、社会復帰させる仕事のこと。
    高校三年生のときに筆者が気づいたことは、とてもシンプルなことだ。――自分には『自由に行動する権利』がある。人生は自分の手で変えられる。その権利は世界の誰もが持っているものではない――気づかせてくれたのは、ルワンダ内戦の写真だったそうだ。
    このことに気づいてから今まで、どのように行動して武装解除と紛争解決の仕事をしているのかが、この本には書かれている。

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