本を遊ぶ 働くほど負ける時代の読書術 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022619242

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】AIやらビットコインやら、ついていけないと思っている方へ。本を読むことで十分間に合う。著者は中卒の「落ちこぼれ」。しかし年間5000冊読み次々と血肉にすることで自分の可能性を広げてきた。伝説書評ブロガー、魂の読書法。

感想・レビュー・書評

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  • 「新書がベスト」の著者による読書術の本。
    読書術という言葉そのものにやや辟易していたが、これは面白かった。
    信念がかなり偏っていて、それを惜しげもなく披露する。
    文章は読みやすく、読書家によくある雑学がこれでもかというほど出てくる。
    読書というものに対して、これほどアグレッシブな読書術の本も珍しい。
    「新書がベスト」とともに、これから何度となく読み返しそうだ。

    偏りの際たるものが、著者の登校拒否歴。
    これがかなり立派なもので、中学2年から始まっている。
    1969年生まれという点から考えると革新的(?)だ。
    ところが家庭にも問題を抱えていたため、朝から晩まで公共図書館で過ごしたらしい。
    そこで一度に借りる本の数が70冊から80冊くらい。
    何故そんなに借りられたかは、本書を読んでみてね。
    本を友とし、教師とし、16歳で大検に合格。
    筋金入りの読書家だから、その話にも結構な説得力がある。

    この本の読者には自分で自分を正しい方向に導いて行ける力を持ってもらいたいというのが、小飼さんの願い。自分が何を知ってて何を知らなかったのか。これから何を知りたいと思っているのか。読書という行為でそれが見えてくると。
    ではどのような読書が良いかというと、ここが非常に面白いのだ。
    「読書は受け身ではダメ。本に読まれないこと。著者の主観に染まらないこと」
    「本は批判的に読め。うさんくさい本で批判の練習をすること」
    そして、批判するなら必ず代替案もセットで用意すべきということが語られる。

    また、世間一般では偏見というものはいけないもののように言われがちだが、その人ならではの個性をつくるためにはなくてはならないもの。偏見は、捨てるのではなく育てよう。
    「色々なジャンルの本を貪欲に読むべし」だが、「自分はこのジャンルに詳しい」というものが出て来たらそこを突き詰めていくと良いらしい。
    偏見が悪い方向へ進んでいるという事を気づかせてくれるのも、本の力だからだ。

    読んだらアウトプットしようという箇所では「ブクログ」が紹介されている(!!)
    簡単だがブログレビューの指南もある。
    「新書がベスト」と重複する部分も何点かあったが、章立てが細かいので気になる箇所から読んでも良いかと思う。
    人生に絶望している暇があったら本を読め。他人を羨む暇があったら本を読め。
    本気で自分を変えたいなら、場所・時間の使い方・付き合う人を変えていくこと。
    本を読むということはこの3つのすべてに該当するのだ。最初から最後まで熱く、痛快な本。

    余談だが「本を読む暇もないほど働いてはいけない」という章で「What do you do?」というフレーズが出て来て吹きだしてしまった。
    「スピード」という映画での決め台詞で、観たあと友人たちと盛んに真似しあったのを思い出したのだ。(この本では、元々の職業を尋ねる表現で登場している)
    さて、批判的に読んで著者の主観に染まってはいけないのだから、星はいくつにしよう。
    私もまた「What do you do?」だ。これは映画の方ね。

  • 本を遊ぶ、というタイトルが腹落ちする本。
    著者の本との付き合いの深さ、長さ、量からくる経験談と偏見が楽しい。

    本との出会いは、人との出会いと同じ。
    読むだけでなく、対話する。

    対話はアウトプットにも繋がる。

    古典の良さも出てくる。
    古いのに、生き残ってきた力強さがあって、古く感じない、とある。
    確かに、中国の古典や哲学、仏教を読んでいても感じること。

    現代における仕事のほとんどは、知恵のあるなしで値段が決まる。だから本にお金を惜しむべきではない。この意味でも、働く時間を解放して、本と遊ぶ。

    そして仏教でも知恵を付けなさいという話があり、苦悩から解放には、知る事とある。

    偏見を貯めよう、という。
    偏見は良くも悪くもあり、それを知ること。
    そしてそれを塗り替えていくことが大事。

    美術の話しで、遠近法や美しい写真のような絵を覆す現代美術の話を思い出した。偏見を認知し、誰も気づかなかった、新しいものを作り出す。

    workerからplayerへ。
    誰もが遊んで暮らせる世の中の実現。
    「遊」こそ人の本質。

  • 本に書かれている事が全て正しいとは限らない。何でも鵜呑みにせず、本に対する意見や批評をして、自分できちんと物事を考えられる力を養う事が重要だとの事。アウトプットも大事なので、読書ノートやブクログなどをやるのも良いと。ブクログの話が出たのは嬉しい。なかなか上手く感想が書けずもどかしい時もあるけれど、引き続き読んで書いていこう。

    • nejidonさん
      snoo39さん、はじめまして(^^♪
      フォローして下さりありがとうございます。
      小飼さんの本だけでなく、他にも共通の本が
      本棚に見つ...
      snoo39さん、はじめまして(^^♪
      フォローして下さりありがとうございます。
      小飼さんの本だけでなく、他にも共通の本が
      本棚に見つかって、とても喜んでおります。
      どうぞよろしくお願いします。
      2020/07/27
    • snoo39さん
      nejidonさん、はじめまして。
      こちらこそフォローありがとうございます^_^

      実はこの本を読んだのはnejidonさんの感想をたまたま...
      nejidonさん、はじめまして。
      こちらこそフォローありがとうございます^_^

      実はこの本を読んだのはnejidonさんの感想をたまたま目にして、面白そうだなぁと思ったのがきっかけでした!
      実際読んだら面白かったので、お礼を込めてフォローさせて頂きました。ありがとうございます♪
      共通の本が見つかると嬉しくなりますよね!今後ともよろしくお願いします^_^
      2020/07/28
  • 年間5000冊の本を読む書評ブロガーが伝授する読書法。本を読むことの意義を唱え、どんな社会状況でも知識が最大の武器になる。幅広いジャンルや作家を読むことを推奨する。読書が習慣化した人にはさらに読書意欲を掻き立てるものがある。‬

  • この本も折に触れて度々、再読する。読書の効用、読書の面白さが伝わってくる。

  • 仕事やライフを遊びのような感覚で取り組んで自分のものにしていきたい、と考えて「遊び」というワードで検索して出会った本。そのような内容とは少し違ったが、つまらないと思えるものも含めて多くの本を読むことが教養を深めたり閃きのベースになるものを蓄えたりするうえで有効だということがよくわかった。理系の人の考え方を身につけてみたいと思った。この本の中で勧められていたSFを読んでみたいと思った。

  • 小飼弾(1969年~)氏は、中学卒業後、大検に合格し、カリフォルニア大学バークレー校に入学するも中退。オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)取締役・CTO等を経て、フリーのコンピュータ・プログラマー、書評家。
    著者は、驚異的な速読力を持ち、年間5,000冊という膨大な読書量からなる書評ブログで知られ、本書は、著者の読書に対する考え方や技術を綴ったもので、2013年に出版、2018年に文庫化された。
    私は10年以上前に『新書がベスト』を読み、その中で著者が奨めていた、まずは幅広い分野の本を300冊程度読んで「脳内マップ」を作り、その後はマップの隙間を埋めていくように本を読んで、知の連鎖をどんどん広げていくという、本の買い方・読み方(それには新書が最適という)に大いに刺激を受け、それを意識して読書をしてきたが、今般、新古書店で本書を目にし、最近の著者がどのようなことを書いているのか気になって読んでみた。
    全体として著者が言いたかったことは、本をたくさん読んで「偏見」を持った人(=社会で重宝される人)になろう、但し、本に読まれる(=書かれていることを丸呑みする)読書は逆効果なので注意しよう、ということだが、以下のような面白いアドバイスもある。
    ◆読書という行為は、自分が何を分かりたいと思っているかを知る過程の一つであり、その意味では、他人の考えを読むものではなく、自分自身を読むものである。自分の教養の程度を映す鏡とも言える。
    ◆本をたくさん読む活字中毒の人は、「休読日」を作り解毒することも効果的。休読日明けは、頭がすっきりして情報の吸収率が上がる。
    ◆本を読むときは、批判しながら読むことが大事であり、その意味では、特定の作者に心酔するのも3年程度が限度である。
    ◆「すごい人」の本は、本人が書いた自伝より、第三者が客観的な視点で書いた伝記を読んだ方がいい。
    ◆ベストセラーとは、優れた本のことではなく、普段本を買わない人がたまたま購入した本。稀に読むに値するベストセラーもあるが、そうした本はブームが去った後に読んだ方が、「本に読まれる」こともなく、雑音にも惑わされずに、いい読み方ができる。因みに、この部分で紹介されている優れたベストセラーは、永六輔『大往生』、養老孟司『バカの壁』、乙武洋匡『五体不満足』、黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』である(少々意外だが)。
    ◆「今日は何かいい本があるかな」というふわふわした気分で行くのが、リアル書店に行く意味。「書店で見つけた本をアマゾンで注文し直すことはしてほしくない。それはその場で買うのが、そんな魅力的な本と自分を引き合わせてくれた書店に対するマナーでしょう。」
    ◆レビューの質が高いのは、アマゾンよりも、「ブクログ」や「本が好き!」等の専門サイト。
    ◆読んだ本については記録するべき。但し、SNSやブログを使うときは、備忘録として、タイトル、著者、出版社、あらすじを書けば十分。その本が面白いかどうかを判断するのは自分ではなく、SNSやブログの読み手であると考え、感想ではなくあらすじ・要約を書けばいい。
    ◆「リア充」になりたかったら本を読むべき。幅広いジャンルの本を読んでいる人は話題が豊富で、人間的魅力を備えていることが多い。本を読んでいる人の言葉は心に残るし、また会って話をしたいと思うもの。
    ◆「教養がある人」とは、自分で自分の脳みそを耕せる人であり、本は脳みそを耕す鋤や鍬のようなもの。
    伝説的な書評ブロガーによる、読書論・読書術として一読していい一冊だろう。
    (2023年1月了)

  • 本代にはケチらない。
    なぜなら、その何倍にもなって返ってくるから。
    人は知に集まる。
    差異に面白い味がある。

    働く時間があるならば、勉強しよう。
    読書をしよう。自分を磨こう。

    8時間は働きすぎで2時間で良いというのは、その通りだ。
    実際2時間になると勉強する時間がたっぷりできる。
    もちろん生産性は8時間の時の最低でも4倍以上をキープだ。
    そうしたキープ力も勉強する時間もお金もない時から勉強しているからできるものだ。

  • 読書は好きだが、読むジャンルが自己啓発本に偏っていた気がする。この本を読んで、色々なジャンルの本を読んでみようと思った。
    また、自分自身1人でいることが多く、このままでいいのか悩んでいたが、筆者はむしろ1人で本を読む時間を大切にすべきであると主張しており、この本から得たことは大きかった。
    ブクログを始めるきっかめになった本。

  • 最近、森博嗣さんの「読書の価値」を読んだので、それと比較するような読み方になった。
    それぞれ違いがありおもしろい。
    森さんは、一冊一冊をじっくりと、
    小飼さんは、どんどんどんどん読もう、という感じ。
    本の構成もそれに似ている?ようで、
    森さんは、あるテーマについてじっくりと、
    小飼さんは、いろいろなテーマについて書かれていた。
    ベストセラー等に頼らず、幅広いジャンルを、自分なりに考えながら読書をしようというのはどちらにも共通していた。

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著者プロフィール

1969年生まれ。ブロガー、プログラマー、投資家。カリフォルニア大学バークレー校中退。オン・ザ・エッジ(現ライブドア)のCTO(取締役最高技術責任者)を務めた。現在、ディーエイエヌ有限会社代表取締役。2004年に開始したブログ「404 Blog Not Found」は月間100万ページビューを誇る。著書に『弾言』『決弾』『未来改造のススメ一脱「お金」
時代の幸福論」(岡田斗司夫氏との共著)(以上アスペクト)、『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)、『新書がベスト』(ベストセラーズ)など。

「2011年 『働かざるもの、飢えるべからず。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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