- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022631053
作品紹介・あらすじ
ナショナリズムとは何か。国民が「わが国」をつくる主人公となった近代以降の国民国家において、「国民がまとまろうとする気持ちや動き」であると著者は考える。理念なき愛国心を叫ぶ指導者が闊歩するなか、日本人は自らの写し絵であるナショナリズムをいかに導くべきか。日本と似た近現代史を歩んだドイツに赴き、ナショナリズムが生んだ巨大な闇としてのナチズムに戦後どう向き合い、教訓を継承し続けてきたのかを取材。再統一から30年を経た今も東西に残る意識の違い、排外的な新興右翼の台頭など、今のドイツが抱える問題も考察する。朝日新聞記者として主に日本政治を追ってきた著者が、ドイツの模索を活写しつつ、日本人が問い直すべきナショナリズムについて大きな一石を投じる。
感想・レビュー・書評
-
朝日新聞記者のドイツ紀行文で取材記事的内容。よって、ナショナリズムについて探究したり論考しているわけではないし、そもそもナショナリズムとファシズムを区別しておらず、ナショナリズムをファシズム的意味に用いて記述しており、両者を混同している印象がある。また、当然の事ながら朝日新聞的価値観によるものの見方になっており、その辺は留意して読む必要はある。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F開架:311.3A/F67n//K
-
ナショナリズムを考える、というより単なるドイツ取材記になっている気もするが、著者も明確な答えを持っていないのだろう。「人間の尊厳」の理念が独のナショナリズムを陶冶、という一応の結論を出しつつも。
ナチス関連や加害者としての史跡や展示が独には多い。60年代以降はナチスだけではなく、黙認・協力した人々の責任も問われ始め、そして世代交代と共により歴史が直視されるようになっているという。それに比べ日本は駄目、と単純に非難する本ではないのだが、日本ではなぜそういった展示類が少ないのか、考えるきっかけにはなった。
ただ、著者がインタビューしたのはいずれも穏健リベラルと言ってよいだろう人々。移民の問題や新興右翼の台頭にも触れられてはいるが、たとえばなぜAfDが伸長したのか、そういった綺麗事ではない面も独にはあるのではと思う。