中年クライシス (朝日文芸文庫 か 23-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.77
  • (16)
  • (13)
  • (21)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 214
感想 : 31
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022641137

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者、河合隼雄さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    河合 隼雄(かわい はやお、1928年〈昭和3年〉6月23日 - 2007年〈平成19年〉7月19日)は、日本の心理学者。教育学博士(京都大学)。京都大学名誉教授、国際日本文化研究センター名誉教授。文化功労者。元文化庁長官。国行政改革会議委員。専門は分析心理学(ユング心理学)、臨床心理学、日本文化。

    著者の生年から計算すると、こちらの本を書かれたのは、著者が64歳位の時になります。

    こちらの本、初出は、『月刊Asahi』の1992年1月号~12月号。
    そして、2020年9月に、『中年危機』(朝日文庫)と改題して、発刊されています。
    発刊された理由は良くわかりませんが、良い本のようです。

    こちらの本の内容は、次のとおり。(コピペです)

    夏目漱石、大江健三郎、佐藤愛子、山田太一などの日本文学の名作12編を読み解き、これらの文学作品に登場する中年期の主人公たちの心の深層を探究していきます。
    それは、河合隼雄自身が「はじめに」で述べているように、文学作品の解釈でもなく、深層心理学のテキストに小説を利用したのでもなく、河合隼雄が心理療法の場で会ってきた方々の体験も込めて、「中年」というものを背景にして文学作品にぶつかっていった結果生まれてきたものといえます。

    なお、私が読んだのは、1993年発行の単行本で、62ページまで読みました。

  • この「中年クライシス」は1996年発売で、月刊Asahi1992年1月号〜12月号のまとめです。
    ですが、第2章の「四十の惑い山田太一『異人たちとの夏』」に関して言えば、同様の内容で1990年発売の「NHKセミナー働きざかりの落とし穴 」にも載っています。

  • 読みやすかった
    40代50代の自分が想像できない、しかもそこからさらに20年くらい残ってるとかやば
    人生ってなげ〜〜〜

    >……ユングは人生を前半と後半に分け、人生の前半が自我を確立し、社会的な地位を得て、結婚して子供を育てるなどの課題を成し遂げるための時期とするならば、そのような一般的な尺度によって自分を位置付けた後に、自分の本来的なものは何なのか、自分は「どこから来て、どこに行くのか」という根源的な問いに答えを見出そうと努めることによって、来るべき「死」をどのように受け入れるのか、という課題に取り組むべきである、と考えたのである。太陽が上昇から下降に向かうように、中年には転回点があるが、前述したような課題に取り組む姿勢を持つことにより、下降することによって上昇するという逆説を経験できる。

    >たとえば「私」とは、今ここに一人で山小屋の前に座って、高い山々の峰を見ている。それだけでまったく十分なときがある。これが「私だ」と感じることができるのだ。そんなとき、その山や空気や、そして自分の体の状況や、それらすべてが渾然一体となり、「私」の感覚を支える。
    ……一般的・普遍的尺度はわかりやすいし、他人に対して説得力を持ち、他と比較することが容易なので、多くの人がそれに頼ることになる。しかし、それだけで十分だろうか。「年収」がどれだけ多くとも、「年収」を大きい支えとしている人は、他の非常に多くの人々と同じ人生を歩んでいるわけで、特に「私」というものの独自性を示すことにはならないのではなかろうか。それに対して、ある場所である時に、自分のみが「ウン、これが私だ」と感じたことは、他との比較を超え、一般的尺度に還元しがたいものとしての独自性をもつと言える。

    メモ:ワイルドネス

  • これは、ちょうど中年期に差し掛からないと読めないというか、読んでも理解できないのではなかろうかと思う。中年の危機という言葉が、ここから生まれてきたという、ほぼ元祖。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      虎目 梨那さん
      河合隼雄が執筆した頃より、「中年」の年代が上がっている。更に寿命も、、、他にも色々と、生き難い時代なのかなぁ
      虎目 梨那さん
      河合隼雄が執筆した頃より、「中年」の年代が上がっている。更に寿命も、、、他にも色々と、生き難い時代なのかなぁ
      2021/04/13
    • 虎目 梨那さん
      おはようございます!
      確かに生き難い時代ですよね…(^^;)
      おはようございます!
      確かに生き難い時代ですよね…(^^;)
      2021/04/13
  • 中年=何らかの転回を経験する時期。もう若くはない、だけど自覚してない、大人になり損ねているのに、すぐそこに老いが迫ってきている、そんな中で、今までどおりにはいかない、または、今までしてきたことに興味を失くす、など、問題が起きやすいときだそうで。人生が長くなってしまった現在、後半生をどう生きるかを考えるためにも、中年で危機がやってくるんでしょうねぇ。

    12の日本文学のセリフやあらすじを切り口にして、中年期のさまざまな問題を考えていく形。取り上げられている小説は昔のものが多くて、読んだことがないものばかりでしたが、谷崎潤一郎「蘆刈」には興味を惹かれました。

  • 中年期に焦点を当てたのも珍しいけどその問題点を文学作品を通して検証するのは面白い。出来れば現代文学作品でもやってみて欲しい

  • 当時「中年」だった方が「興味深く読んだ。救われた」と話していた。私も年齢が近づいてきて、思い出した本。あの時、あの人はどんな気持ちで過ごしていたのだろう。あの人は元気かな、と本にはいつも思い出が付いてくる。

  • 小説を題材に、中年期のむずかしさについて説く。

    自分が中年期になって初めて実感できることがたくさん書いてあった。恋愛対象と一体化して、個としての自我が消滅する恐怖とかいうのは、中年じゃなくてもわかるけど…。

    仕事や家族の問題に逃げ込んで、自己実現をサボるのも問題だけど、かといって仕事や家族の問題を完全放置するわけにもいかない。いやはや、人生の舵取りはむずかしい。

  • 若林くんのオススメ本。
    児童、青年、老年についての本は五万とあれど、壮年についての本は少ない。
    30年前に描かれてるので違和感もあるが、今後30年が楽しみでもある。

  • なんだろ、共感した部分は、滑稽なところ。やはり性欲や男女の関わり合いかも。中年を通り抜けて高齢、死に向かっていく同士のような感じ。その道を一緒に行けるかどうか確認中である、今の状態、私もうすぐ還暦です。

全31件中 1 - 10件を表示

河合隼雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×