官能小説家 (朝日文庫 た 26-4)

著者 :
  • 朝日新聞社
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本棚登録 : 111
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022643483

作品紹介・あらすじ

文壇を揺るがす大スキャンダル発覚!森鴎外と樋口一葉の「不倫」を軸に、漱石、啄木、桃水、タカハシゲンイチロウら明治と現代の小説家たちが時空を超えて入り乱れ、文学を語り、愛を交わす、著者初の官能小説。朝日新聞連載時より話題沸騰の衝撃作、いよいよ文庫版で登場。

感想・レビュー・書評

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  • なぜ、この本が絶版なのだろうか。書くというのはどういうことなのか、考えてゆくと、あまりにも哀しい情景がそこにはあった。なにもない。書いていくということはこんなに残酷なことか。どんなに書いたって、書かなくたって、暴力なのだ。書かないのは、書くのをやめたのは、じぶんの内なる検閲ではないのか。書くことは、規定してしまうことではないのか。なにも書けないのに、なぜひとは書けるふりをするのだろう。なにもできないのに、できるふりを。それは、じぶんの中の、奥底には、ほんとうはなにもないことを、わざわざ知るためだ。そこから、人間がはじまることを、この作者はよく知っているからだ。

  • 主人公は、本を書く才能に苦悩するご本人?高橋源一郎。
    彼が憧れる明治時代からタイムスリップしてきた夏目漱石や森鴎外との語りを通して、文学とはなんぞや、そしてタイトル通り文学史についても学べる。誰もが知っている明治時代の文壇のスキャンダルで本当のところが謎の樋口一葉とその師の半井桃水の不倫関係についても、パラレルワールドの様に話が展開する。

    鴎外がとっても自由すぎて、髪を金髪にして、終いにはAV男優にもなってしまうというはっちゃけぶり。それでも、結局、鴎外は鴎外で現代に復活しても本業は作家だし、文学には真摯に向かっている。作品がどれほどの苦労でこの世に生み出されるのかということに、自然と思いを馳せてしまう。

    高橋さんは彼の妻に偏見を持っており、避けてきたが、どうしてなかなかおもしろかった。
    樋口一葉と半井桃水だけが主人公と同じ時代なのか、過去に存在するのかがグレーゾーン。高橋さんの物語の中?樋口一葉がホスト上がりで、あけすけな文を書き、浮気を繰り返す。元妻で、同じく水商売上りの室井をモデルにしているのではないかとどうしても想像してします。作中の高橋さんにも、よく元妻から電話がかかってくるしね。

  • 挫折...

  • 2006年2月20日購入。
    2010年10月8日読了。

  • 森鴎外・樋口一葉・夏目漱石が現代によみがえった?
    そんな不思議な設定で書かれる、近代文学者パロディ小説。「日本文学盛衰史」が面白ければ、こちらも面白い。むしろ「盛衰史」よりストーリー性はっきりしているぶん、近代文学者目当てで読まないならば、こちらの本のほうが面白いような気がする。

  • オビがすごい。

  • 高校生の頃、朝日で連載されていたのを読んでびっくりしたのを今でも忘れられない。ちょうど半井先生が夏子さんの書いた小説を読んだ場面でした。

  • 明治パートが好き。コメントに困るけどなんかすごいぜ高橋さん・・・!

  • ここに出てくる夏目漱石がとてもタイプでなんだか嫌な感じにはまってしまった本。こんな文豪超素敵!って思う。
    これを高橋源一郎はどういう気持ちで書いたのか、全然知らないんだけど全体的に不思議なお話だよなあ。
    こういう気だるくテンポの良い話を書くのは流石です。私、話がどうこうっていうか高橋先生が好きなんだと思う。

  • 入手方法:まず朝日新聞紙上で。それから広島の紀伊国屋書店で。それが当時の彼氏に借りパクされたので、東京で再び購入しました。

    初めての高橋源一郎は、いまだ「ドリトル先生」を読んでいたわたしには衝撃的でした。
    新聞の配達があれほど楽しみだったことはありません。
    だから、わたしは処女のころからセックスが何をも解決しないことをうすうす感じ取っていたのです。

    初めて高橋源一郎を読む人には、これか「ゴースト・バスターズ」がおすすめです。
    彼の作品の中で最もエンターテイメント性が高いと言えるではないでしょうか。
    適度のゴシップ色と、適度の知性。
    メタフィクションとしても一級品です。

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著者プロフィール

作家・元明治学院大学教授

「2020年 『弱さの研究ー弱さで読み解くコロナの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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