傲慢と善良 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
4.24
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本棚登録 : 3325
感想 : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022650597

作品紹介・あらすじ

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》

感想・レビュー・書評

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  • 辻村さんの過去読んだ中で、個人的には1番。
    「島はぼくらと」に出てくる人物が後半現れて、そのあたりもワクワクした。
    未読だけど、「青空と逃げる」の登場人物も出てるみたい。他の本の人物出てくると、なぜか親近感というか、嬉しくなるー。

    しかし、しかし、
    本編は、もう人間の本質、心理が、これでもかー?ってくらい深められていく全体感。
    そして、自分の内面を見つめさせられてこわい。

    婚約者が突然失踪してしまう…
    ん?ミステリーなのか?婚活?恋愛?いったいなんだろ?というところから、最後まで一気読みです!
    ページから手が離せない感覚久しぶり、、。

    話の中のフレーズ(結婚相談所の人が話者)で婚活に限らないかもですが、
    うまくいく→自分の欲しいものが明確で、未来こうなりたいとビジョンがある人
    ピンとこない→自分につけてる点数より相手が下回るとき
    ピンとこないって割と使われてる単語と思うけど
    日常思い返すと、ギョッとする。。

    傲慢と善良という本のタイトルは、もうしつこいくらい何度も語りかけてきます。逃げられないくらい何度も、、、これは他人事ではないと改めて考えさせられる、両方とも少なからず全人間あるのでは?と思わされる。この時代の身近に起きている事であり、ほんと、なんだろ、、自分に置き換えると?と問われまくった気持ちでございます。。

    解説は朝井リョウさん、これまた来たーっ!この本の内容の解説に適任!と思ってしまいました笑 

  •  これは、間違いなく辻村深月さんの傑作に数えられる小説だと思います!
     読み進めるごとに、これはミステリー? 恋愛小説? ホラーか⁉︎ と自問自答しました。人は、誰もが無意識下の言動に様々な〝顔〟が現れるものだと思いますが、そんな人間の深層心理が晒され、見せつけられ、更には問い詰められているような、凄みさえ感じる物語でした。
     そもそも人間は多面的で、前述の通り傲慢さや善良さは誰もが持ち合わせている一側面だと思います。だからこそ、読み手は自分の心理を見透かされ、加えてミステリー要素が迫り、より一層人間の二面性の怖さを覚えながら、グイグイ展開に引き込まれます。
     本文中の表現を借りると、「自分の価値観に重きを置く傲慢さと〝自分(の主体性)がない〟善良さ」。この二つが同じ人の中に存在してしまうからこそ、私たちは人間関係に悩むのでしょうね。この対比と展開での印象変化が実に見事です。
     それでも、「人を疑う」より「人を信じる」方でありたいと、我が身を振り返りながら、ささやかに綺麗事で理想を語る自分がいるのでした…(笑)。

  • 西澤架39歳は婚活アプリで知り合った坂庭真実と付き合うことになる。ある日、真実からストーカー被害に遭っていることを告げられ、結婚を意識するようになる。婚約した二人だが、真実が突然失踪してしまう。真実を探す架は、彼女の故郷などで自分の知らない真実のことを知るうち、あることに気づく…。

    ミステリーかと思いきや、結婚に際して人を選ぶときの傲慢さと善良さを、丁寧に描いた物語だ。ここで言う善良さとは、何も自分で決められない、自分が無いという意味だ。自分に言われてるような気がして胸が苦しかった。

    結婚相談所の小野里さんが言った「皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。」という台詞もグサリときた。

  • 本作は婚活アプリで知り合った2人の物語なのですが、突如、彼女が失踪してしまうことから物語が始まります。

    主人公が彼女のストーカーの正体を探る中で、婚活相談所の人や、彼女の家族、彼女が婚活中に知り合った人達と接するうちに、「男女が出会い、相手を選ぶこと」について考えさせられる様は、独身である自分の心に重く響きました。

    そして、本作のタイトルにもなっている、「傲慢と善良」というキーワードはこれから婚活をする人にとっては考えさせられる内容だったように感じました。

    この本を読み、自分のことを振り返ってみると、その傲慢さと善良っぷりに少し辟易しましたが、作品としてはとても面白かったので、おすすめの一冊です!

  • NEW文庫化作品。読み進めるうちに、どんどん見える景色が変わっていった。

    傲慢さと善良さは紙一重。
    無自覚な傲慢さは誰にでもある…ここまで心の奥を言語化し、表に晒してしまうなんて。。。

    真面目でいい子の善良な真実(まみ)と、かつてモテ男だった架(かける)の婚活恋愛小説は、チクンと読者にトゲを刺す。

    私も男子に点数をつけてたなぁ〜と、その頃の自分の傲慢さを省みた。

    「傲慢さと善良さが矛盾なく同じ人の中に存在する」=文中より。

    「島はぼくらと」「青空と逃げる」の2冊と登場人物リンクが嬉しかった。

  • うっひゃ〜〜‼︎ ビックリしちゃった!面白くて一気読みでした。凄いなあ。

    簡単に言っちゃうと、恋愛小説であり、ミステリーでもあり、婚活小説ともいえます。けど、私的には、なんというか…人生において、何に重きをおいて、何を選んで、何を手放していくか、どうやって自分で決めていくか…ということの心理を細かく細かく描いている!と思いました。・・・そしたら、朝井リョウさんの解説でバッチリでした‼︎
    「この小説はヘビーなのである。それは恋愛や婚活にまつわる紆余曲折が描かれているからーーというよりも、何か・誰かを“選ぶ”とき、私たちの身に起きていることを極限まで解像度を高めて描写することを主題としている」と!そう、まさにそうなのです‼︎

    恋愛経験も多かった東京育ちの架が、元カノの結婚に対するヴィジョンを怖いと思ってしまうところや、真実がお見合い相手に対して感じてしまう感情など、傲慢ともいえるかもしれないけれど、誰だって口には出さずとも、心の奥では考えたりしてると思う。

    傲慢と善良という題名の通り、誰の心のなかにも、その二つは同時に存在しているものなのだなあ〜と思った。そう、傲慢な時もあれば、善良な面もあるのが人間なのだと。
    この架や、その女友達や、真実や、その母親など、いろいろなシーンで、うわっ嫌だなと思ったり、この人バカだなとか感じもするけど、よく考えたら、誰しも1つの性格で生き抜いてるわけじゃない。自分自身だって、人と比べてみたり、いろいろ考えて発言しても、自分の思った通りのことが伝わらず、良かれと思ったことが悪く取られたり、誰かと出会ったことで考え方も変わったりもする。

    若い頃、だいたい常に彼氏がいた私は「25歳くらいの頃に付き合ってる人と結婚するんだろうなあ〜」って本気で思ってました。まさに傲慢!(笑)全然そんなすんなりじゃない恋愛を経て、30代で結婚しましたが…そんな自分の若い頃からの人生を、何を選んできたのかも思い出しながらも読んでいました。

    印象に残ったところ少し。
    ーーーーー
    特別でない、と思っていた恋人だった。けれど、そもそもそんなふうに思うこと自体が傲慢であり、間違いだった。

    婚活がうまくいかない理由を、そういう、本来は自分の長所であるはずの部分を相手が理解しないせいだと考えると自分が傷つかなくてすみますよね。

    あなたがそうしたい、と強く思わないのだったら、人生はあなたの好きなことだけでいいの。興味が持てないことは恥ではないから。

    恋愛と結婚が違うなんて、私にはわからない。

    今の若い人だぢって、自分が恋愛してっかどうかも人に言われなきゃわがんねえの?
    ーーーーー
    お互いに好きだって思えて、自然に一緒に暮らそうって結婚する、当たり前のようだけど、そういう真っ直ぐな道が見えている時が一番幸せだよなあ〜としみじみ感じたのでした。圧倒的な作品でした‼︎

  • おそらく誰もが持っている 傲慢 なトコロ。
    登場人物の中に感じる部分と思いながら読んではいるが、自分自身にもたくさん当てはまってしまう。
    本当に人が隠しているだろう感情とか思いを登場人物に乗せて表現されていて、共感できる、してしまうところがあって、自分の過去やこれからの行動や発言について考えさせられた。
    すごい作品で、ホントに一気に読んでしまいました。
    ヨシノさんや早苗さんが出てきて、こんな所でもつながっているんだと。コレもスゴいです。
    自分がどれ程の人間なのか。謙虚にいかないと。
    あと、女同士は怖いとこあるんだろうな。

  • 今年、32歳。独身。何年か前にマッチングアプリをがんばってみたけど全然ダメだったことがあり、現在はたくさん本を読んだりしつつ、実家暮らし。

    という状況の人間が読むと、もう刺さる刺さる。
    いろんな立場のいろんな気持ちに共感してしまう。

    よくこんな上手に人の感情を書けるなあと感心してしまいます。アプリやってた時は、ほんとうにこういうことを考えてました。

    傲慢と善良。うん、そうね。そうだと思います。

    自分がもうほんとに傲慢で善良な人間だと思うから、批判される文章に抉られてきついかなと思ったけど、もはや気持ちよかった。

    なんとなく怒られたかったという部分もあるし、違いますって反発する元気もないので、その通りだよって思って諦めて読んでいたけど、物語の後半で主人公の感情がそういう感じの心境に成熟して行って、そして最後にあんな風な結末に連れて行ってくれたのは、正直意外で、その意外な感じとかも含めて全面的に共感した作品でした。

    読後、じわじわと押し寄せる感動と今はもう人との出会いを半ば諦めてしまっている現在への落胆がブレンドされて涙が出そうで出ませんが、大きな余韻が残る好きな作品でした。今、読めたのがよかったと思います。

  • ここまで心の動きを言語化しているのがすごい。一気に引き込まれた。
    真実の心の葛藤が痛いほどわかる。そこを乗り越えての結婚だからこそ、これからは、子供の生き方も尊重して架と良い家庭を築いていくのではないかな。

  • 最後の方まで読んでいて、
    自分は何を望んでいるんだろうと考えていた。
    どんな結末なら、納得するんだろう。
    それこそ、傲慢な考え方。
    でも正直言って、モヤモヤしている。


    結婚するはずだった婚約者が
    突然姿を消してしまう、
    もしかしたら事件に巻き込まれたのかも、
    という始まりは乃南アサさんの涙という小説と似ている。
    いなくなった婚約者を探す過程で
    知らなかった一面を知っていくのも同じ。
    ただ、それに対して感じた私の気持ちは大きく違う。

    私も途中でなんとなく思っていた。
    『ストーカーはいないんじゃないか?』と。
    だとしたらとんでもねぇ嘘で男を縛る女だな!が半分、
    なぜそこまで追い詰められてしまったのか、
    そこに至るまでの苦しみを思うと責められない気がする、が半分。

    私が真美に同情してしまうのは、
    女友達と真美のタイプは明らかに違っているのに、
    考えなしの架に集まりに連れて行かれたこと。
    (たまにあるあの新しい彼女品評会みたいなやつ、
    あれなんなんだろう。俺の友はお前の友、っていう
    ジャイアン的発想なのだろうか)
    さらに美奈子たちが真美を悪く言っているのに
    怒るでもなく図星かも、と思っているところ。
    そういう意味で、架が鈍感だという真美の気付きは正しいのかもしれない。

    どちらかといえば私も真美寄りの人間、
    少なくとも美奈子タイプではないからかもしれない。
    私も、美奈子たちが嫌いだと思った。
    無邪気で、親切で、さっぱりとしたフリをして、
    束になって人を傷つける。
    結局は友達でしかないくせに、
    何故か小さな頃から知っているかのような顔をする。
    そのくせいざとなると、当の本には顔を見せず
    「言ったのは〇〇なんだけどね?」と前置きする。
    お前ら、全員同類で同罪なんだよ、と言いたい。

    ここまで書いて、モヤモヤの原因を突き止めた。

    真美、本当にいいの?
    架と結婚して。
    架といるということは、大原くんと付き合うということで
    大原くんと付き合うということは、美奈子たちが後ろにいるんだよ。
    (さすがに真美と美奈子たちを直接付き合わせるとは思えないので)
    あんな失礼な人達との関わりを、本当に続けていけるの?
    帰ってきたからといって、あいつら反省しないよ、きっと。
    嫌な姑より厄介よ。

    そしてさらに、気がついた。

    私も真美の母親と同じことをしている、と。
    真美は自分の意思で失踪して、式場をキャンセルして、
    そして架と結婚することを選んだ。
    たぶん、前の真美とは違うのだ。
    それをわたしはまだ信じられていない。
    信じられないから、危ないところに近寄って
    傷つかなくてもいいんじゃない?なんて、
    余計な気を回してしまう。
    本当に余計なお世話。傲慢。

    考えてみたら人ってほとんど傲慢なことしかしてないかも。
    貴方のためを思って、なんて大体が傲慢である。

    きっと、真美は大丈夫なのだ。
    だって彼女は悪意を感じることができた。
    巻き込まれて、どうしようもなく悟り、
    嘘をついても欲しいものを手に入れようとした。
    もうその時から、変わり始めていたのだ。

    あと出来ることは、信じることしかない。
    善良な心で、彼女を見守っていこうと思う。

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著者プロフィール

1980年2月29日生まれ。千葉大学教育学部卒業。2004年『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で直木三十五賞を受賞。2018年には『かがみの孤城』で本屋大賞第1位に。本書の本編『ハケンアニメ!』は、2015年に本屋大賞3位に選ばれ、2022年5月には映画公開が予定されている。主な著書に『スロウハイツの神様』『V.T.R.』『ハケンアニメ!』『島はぼくらと』『朝が来る』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』などがある。

「2022年 『レジェンドアニメ! 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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