願い針 結実の産婆みならい帖 (朝日文庫 い 89-5)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 57
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022650672

作品紹介・あらすじ

『むすび橋』『星巡る』に続く、幕末の江戸・八丁堀で産婆をする結実の成長を描く、シリーズ第三作! 結婚・出産・育児・仕事……いまも昔も、女の人生は決断の連続。 旗本の嫡男との駆け落ちに失敗し、身籠っていた子を産んだその日に里子に出されてしまった蝋燭屋・守田屋の一人娘、静。静はその後、親の言うままに番頭と祝言と上げ、男子を出産する。喜ぶ家族をよそに、浮かない顔のまま赤ん坊の世話をする静が心配になった結実は、静にある女性と話をさせることにするが……

感想・レビュー・書評

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  • 前向きに

  • 現時点での最終編、
    (次作もあるらしい…)を読み終えて、
    やはり素敵なお話だったなと思う。

    出産と産婆というテーマを主軸に
    時代の違いを全く感じさせない筆致と
    読みやすさ…3連休だったこともあり、
    3部作を一気に読み込んだ。

    ここまで読んできて、私は意外にもタケが
    好きだ。主軸キャラじゃないし、描写も
    少ないけど、人の良さや真面目さ、
    仕事も丁寧で気もきく、かなりのイケてる女性に
    感じる。
    貧乏子だくさんで、さゆり、金太を連れて、
    結実のいる別宅に通い、洗濯や子守りなどを
    一気に引き受ける、肝っ玉母ちゃんでもある。
    今でいうなら、かなり時代の最先端をいく
    キャリアウーマンとも言える。

    今作、印象深いのは表題どおりの「願い針」
    恵太郎の母、静の思い…
    我が子の名も呼ばずに産後の育児をする姿、
    読者もその理由を探ってしまう。
    ここでまた活躍するのは、芸者の菊千代と
    娘の千鶴、静にはキツい物言いだったが、
    やはり気持ちは通じるものだと安堵する。
    どうやって解決するのか…と気を揉んだ読者も
    ここでホッと一安心。

    最後の章で、子授け麻守も出てくる。
    お産の時に妊婦の髪をしばっていた麻紐を
    真っ赤な袋に入れて贈る、習わしらしい。
    なんと、結実には7つも!笑
    次は母になるのかな?
    源太郎は西洋医学の道へ進むらしい。
    気持ちの良いこの2人の未来が気になる。
    自作も楽しみ!

  • 今回も面白かった。「初霜おりる」で真砂が子ども時代を振り返るから、まさか?と思ったら何でもなかった。良かった。
    結実の産婆の腕も上がってきて結婚もして、順調に見えるけど家庭や仕事のことで悩むのはいつの時代も同じだなあ。この当時は特に風当たりが強かったかな。
    結実もすずも頑張れー。

  • 結実は産婆としてはしっかりしてきたと思うんですが、色々人の機微に疎いのでなんだかまだまだ半人前の印象。とはいえ仕事がしっかり出来ているので安心して読んでいられます。

  • このシリーズを読むのは2作目
    順番は前後している
    江戸時代の人情小説はどれも読んでも面白い
    久しぶりの結実
    読み始めて、多くのことがよみがえってきた

  • 若い産婆のすずと結美。
    それぞれの結婚生活、子育てという環境の変化で、江戸の頃、女性の仕事として確立していたサンバという仕事が深く描かれる。

    若い女性の心情や当時の時代性も描かれ面白みのあるシリーズ!

  • 章太郎の笑みには、歌舞伎にいっしょに行くことになってよかったという思いがこもっていると思った途端、はっとした。

  • 産婆の過酷な仕事ぶりに、リスペクトを感じた!

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著者プロフィール

1956年、山形県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業。女性誌を中心にライターとして広く活躍。著書に「結実の産婆みならい帖」「読売屋お吉甘味帖」「女房は式神遣い! あらやま神社妖異録」シリーズ、『妻恋稲荷 煮売屋ごよみ』などがある。

「2023年 『桜色の風 茶屋「蒲公英」の料理帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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