朝日vs.産経ソウル発―どうするどうなる朝鮮半島 (朝日新書 20)

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731203

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  • 産経新聞と朝日新聞のソウル特派員である黒田さんと市川さんの対談。

    誰が見ても意見も論調も正反対のこの二社の二人が、朝鮮半島について意見を戦わす。非常に斬新で面白い。

    韓国に対して、北朝鮮に対してどんな態度で臨むかということは在韓の日本人が、あるいは韓国・北朝鮮研究者が一度は葛藤する大きな壁である、と思う。正直、産経の態度や論調は気に食わないことが多いが、一理があると思うこともある。朝日的な日本人を啓蒙するための記事を書く朝日は、それで正しい姿勢だと思うがそれが韓国で「良心的」ともてはやされるのも気に食わない。

    結局、どこの新聞社も、様々な意見を集約して書くことはできない。だからトピックによって産経的であったり朝日的であったりするという色が出てきてしまう。
    しかし、意見の違う個人が話し合ったとすればまた違うものが見えてくる。極右派といわれる産経の黒田さんは25年の間ソウルで暮らした知韓派である。彼の主張する意見にも一理あると思うし、感情的にも理解できる部分が多い。彼個人がただただ産経的、であるとはいいがたい。ご自分でも話してらっしゃるが、むしろ親韓派じゃないかと思われるような考えももっているようである。

    どちらかが絶対に正しい考えであるというようなことはない。
    ただ、自分がどのように朝鮮半島と、そして何よりも日本と向かい合っていくのか、それを考える一つの機会となることは間違いない。
    また、記事だけを見ればただ右派、左派などと批判されたりするが、書いている人々がこういう考えを持っていて、こういう葛藤を持ちながら書いているんだということを知って読めば、また違う側面が見えてくるのではないだろうか。

著者プロフィール

1941年、大阪生まれ。産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1964年、京都大学経済学部を卒業後、共同通信社に入社。1978年、韓国・延世大学留学後、共同通信ソウル支局長に。1989~2011年、産経新聞ソウル支局長兼論説委員。1992年、ボーン・上田記念国際記者賞、2005年には菊池寛賞および日本記者クラブ賞を受賞。著書に『韓国 反日感情の正体』『韓めし政治学』(角川新書)、『隣国への足跡 ソウル在住35年 日本人記者が追った日韓歴史事件簿』(KADOKAWA)ほか多数。在韓40年。

「2022年 『韓国語楽習法 私のハングル修行40年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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