臓器は若返る メタボリックドミノの真実 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022733535

感想・レビュー・書評

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  • レビューを拝見して知った本です。ありがとうございます。

    今年の9月に日帰りの外科手術を受けて、しばらく動かないでいたので、体重増加、歩いた時の息切れなどが気になっていました。
    ここ数日間、食事をなるべく8割におさえ、毎日、速足で20分歩くか、自転車で30分走るを続けただけで、昨日、内科の月に一度の定期健査で「自転車で坂道を走ってきてこの血圧なら全く問題ありません。体重もひと月で2キロ減っていますね」といわれました。これからもできるだけ続けていこうと思います。


    以下要点を抜粋。
    ・臓器たちを最初に躓かせるのは肥満だ。現在、実に世界の死亡の原因の50%以上は肥満によって起こされる病気であるといわれている。
    ・ある臓器が倒れると別の臓器も次々とやられていく。これをメタボリックドミノと呼んでいる。
    ・病気や老いに抗する方法があるとすれば、たったひとつ。わたしたちのミトコンドリアを生き生きとさせることだ。
    ・メタボが行きつく先は結局、血管病なのだ。
    ・ミトコンドリアの疲れと老い。軽い運動でも息が切れたり、足が腫れたりする。
    ・メタボリックドミノの進行と阻止には、ミトコンドリアの機能を回復させることが鍵を握っている。
    ・カロリー制限説では、通常食べている量を7割から8割にすれば、長生きできることが示されている。
    ・「いつもお腹が減っている感じ」にしてください。
    ・食べる量を変えないで運動してやせるのは無理、絶対に。しかしメタボ対策では、運動は減量と違った意味で実は大変重要なのである。一カ月間のベットでの安静で弱った体は三カ月間のリハビリをしないと元に戻らない。
    ・高効率ミトコンドリアが特に増えるのは「ちょいきつめ」の運動。ただ食べるものを減らすより、積極的に、体を動かすよほうが、ミトコンドリアをより活性化できる。
    ・「ちょいきつめ」の運動をすると、ある程度の活性酸素が発生してしまう。この程よい量の活性酸素が、実は「体を鍛える」のだ。
    ・きつめの運動をしたときには、苦しいが、まだ耐えられる。しかし、狭心症や心筋梗塞のときには、死ぬほど痛い。それほど、大量の活性酸素が障害された脳や心臓から発生しているのだ。
    ・適度な運動はミトコンドリアを鍛えてくれる。活性酸素に対抗する力を蓄えてくれる。理想的には、きつめの運動をできるだけ長く続けることが望ましい。少し息がはずむけど、会話はできるような、いわゆるニコニコペースの運動。
    ・こうした少し強めの有酸素運動を一回20分~40分、週、2~3回くらいから始めるのがよい。ウオーキングやジョギングなど。まず3か月、そして6カ月継続すれば必ず体力レベルは上がり、ミトコンドリアを鍛えることにつながる。

  •  アンチエイジング、メタボ対策の本なのだが、著者が第一級の医学研究者なので、科学的な裏づけの部分に厚みと説得力があって素晴らしい。ちまたにあふれるいいかげんな「健康本」など足元にも及ばない、本格的な「健康本」である。

     若さを保つため、メタボを防ぐために何をすべきかという本書の結論は、食事を腹八分目にするとか、「ちょいきつめ」の運動を励行するとか、規則正しい生活をするといった、ごくあたりまえのこと。
     「なんだ、それだけか。もっと魔法のような若返りの秘策が書かれているかと思ったのに……」とガッカリする向きもあろう。だが、本書の価値は、そのあたりまえの「健康の智恵」がどれほど理にかなっているかが、医学的に詳細に解説されている点にある。
     たとえば、こんな一節がある。

    《老化に伴い、筋肉ではいくつかの遺伝子の働きが変わることが知られている。「年齢と関連して変化する596遺伝子のうち179遺伝子が運動により回復する」という研究結果もある。回復する遺伝子の中には、ミトコンドリアの中で、ブドウ糖や脂肪を使ってATPを作ることにかかわるTCA回路や電子伝達系の酵素の遺伝子も含まれている。まさに運動は筋肉の老化を回復させるのだ。》

     たんに「運動で老化が防げますよ」などと言われても「何をあたりまえのことを」としか思わないが、このように解説されると「ははーっ!」と平伏して拝聴したくなる。
     男というのはとかく、「健康にいいよ」と言われても理詰めで説明されないと納得できないところがある。メタボの恐ろしさとメタボ脱却のコツを徹底的に理詰めで解説した本書は、まさに男性向け。「メタボってるから運動しなきゃ」とか思いつつ行動に移せない中高年男性の、背中をポンと押してくれる一冊である。

     まあ、正直「こちとら医学生じゃないんだから、そんなに詳細に解説されてもなあ」という部分もあるのだが、そういうところはナナメに読み飛ばせばよい。

     実用書として有益であるとともに、“人間が物を食べて生きていくことの意味”を改めて解説してくれる本として、読み物としても面白い。たとえば――。

    《われわれは血が流れていないと生きられない。血液が酸素を運んでいるからだ。では、酸素が最も使われる臓器は何だろうか? それはその臓器に酸素を送り込んでいる血流量をみるとわかる。
    (中略)
     なんと、酸素を使う一位は消化器である。臓器全体の実に30%もの酸素を使う。
    (中略)
     食事のときには、消化器にさらに多くの血液が送り込まれ、運動時には、骨格筋への血流が増える。食事のあと、頭がボーッとしたり眠くなったりするのは、消化器への血流が優先されるので、頭に血が回らなくなるからだ。やはり、生物にとって「食べること」が最も重要なのである。》

    《われわれ人間は、他の動物と比べてみて明らかに太っている。このことは二足歩行をすることと同じくらい、他の動物とは異なった人間の際立った特徴となっている。
     同じサイズの哺乳類と比べて人間は脂肪細胞の数が10倍以上多い。エネルギーを貯蔵するポケットをたくさんもっているわけだ。一つひとつの脂肪細胞が膨らむには限界があるが、エネルギー摂取が多くなり過ぎると、人間はたくさんあるポケットを次から次へと膨らませて、どんどん太ることができるのだ。》

  • 運動するピンク。

  • 肥満が引き起こすメタボリックドミノ倒し。ミトコンドリアの疲れが老いにつながる。腹八分目と週2-3回、30分程度の有酸素運動から始める鍛錬で太く長く生きられる。

  • まず表紙についてる内臓脂肪の写真に驚かされる。
    胃が内臓脂肪の海に浮いている写真なのだけれども、その脂肪が鳥のもも肉とかについている脂にそっくり・・・。
    直感的に、これはよろしくないというのが一目でわかる。

  • 下手なB級グラビアアイドル(熊田曜子あたり?)のダイエット本よかよっぽどダイエットのモチベーションあげてくれます。この本自体はダイエット本というわけではないのですが、30代以降でアンチエイジングとダイエットが気になる女性(そうじゃない女性ってあんまいないと思いますが)にはダイエット=身体の臓器の点からもアンチエイジングに繋がる、という内容が書かれてますのでとても苦しいダイエットもアンチエイジングを兼ねてる、と思えばforever young!って感じで乗り越えられます。

    ただ、B級グラビアアイドルが書くダイエット本と大きく違い、エライ医学者の人が書いたもので医学専門用語てんこ盛りなので私のようなユル脳には全部理解するのは無理です。
    なので星は1コマイナスにしときました。

  • 運動して腹八分目にしたら、病気にならず長生き出来る体になるそうです。

  • ミトコンドリアの重要性が説かれている。具体的な実践方法は,カロリーを制限したり,運動したりとあまり目新しいことはないように感じた。

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著者プロフィール

慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授、医学博士。1957年、京都市生まれ。京都大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。ハーバード大学およびスタンフォード大学医学部博士研究員、京都大学大学院医学研究科助教授などを経て現職。国際高血圧学会副理事長、日本肥満学会理事も務める。専門は内分泌学、高血圧、糖尿病、抗加齢医学。世界ではじめて「メタボリックドミノ」を提唱した。高峰譲吉賞、井村臨床研究賞など受賞多数。著書に『臓器の時間』『「超・長寿」の秘密』など。

「2022年 『いい肥満、悪い肥満』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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