ブラック企業ビジネス (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022735317

感想・レビュー・書評

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  • タイトルからすると「ブラック企業のビジネス」について学べるように思えるが(もちろんその記述もあるものの)、私としてはブラック企業と一部の弁護士の関わり方をして、「ブラック企業向けビジネス」として紹介しているのかなと思う。 ブラック企業側に立つ弁護士が、非効率な戦い方をクライアントに提案し、クライアントからより多くのお金を巻き上げる手口。そういった手口で仕事を増やさざるを得ない司法制度改革後の弁護士業界の窮状は、業界外の人間からすると非常に興味深く見ることができた。

  • 前著「ブラック企業」(読んでない)がブラック企業そのものに注目したらしいのに対し、これはビジネスとしてブラック企業に寄り添う面々に注目したもの。
    例えば、ブラック企業の被害者(従業員、元従業員、ルポライターなど)に対して圧力的な要求や裁判をふっかけるのは、そういうのを生業としている弁護士(ブラック弁護士)がいるから。この場合、企業側が負けてもブラック弁護士側は商売として成り立っている。万が一、企業側が敗訴・廃業となったとしても、ブラック弁護士は痛くも痒くもない。
    またブラック弁護士活躍の背景の一つが司法制度改革。弁護士が増えても裁判官が増えないので弁護士が余る。そうすると若い経験のない弁護士は経験を積むことができず食えなくなってしまう。そうすると名義貸しというようなことまでやってしまう。
    さらに学校もブラック企業を支えるビジネスの一つ。学校のうりの一つが就職率。ブラック企業に卒業生をどんどん送り込むを就職率がアップ。で、卒業生がどんどん辞めていくと、さらに次の卒業生を送り込むことができる。まさに持続可能な世界。
    あと家庭(親)もブラック企業を支えている。せっかく入社したんだから諦めずに頑張れよ、とか。
    ブラック企業の被害者は若者だけかというと、決してそんなことはなく巡り巡って社会全体のコストを上げている。
    なので、社会全体で考えていくべき問題。

    とはいっても、アンケートを取ってみるとブラック企業と呼んで企業をいじめている、というような意見も少なくないとか。
    難しいね~

    とちょうど昨日のニュースだと、ハローワークがブラック企業の求人拒否を検討しているそうで。
    いいことだと思う。

    とそんなこんなでいろいろおもしろかった。★4つ。

  • 弁護士の実在像がショックだった。
    社会がブラック企業化していることや思わぬ提携など、働くことを、考える一冊

  • ブラック企業の話かと思って読み出したが、焦点はブラック企業を支える(?)周辺ビジネス、具体的には社会保険労務士と弁護士に焦点が当たっている。
    結局、資本の論理というか拝金主義というかが根底にあり、社会正義の実現なんて考慮外、効率的に儲けることだけを考える、そういう思考法がこういう若者を搾取するブラック企業を支えるビジネスを生んでいるということ。何となく堤未果の著作を思い出した。彼女は米国についての著作が多いけれど、本書はその日本版かもしれない。

  • ■ブラック企業が跋扈するようになってしまった理由は,
     様々な規制が緩和され,すべてがビジネス(お金儲け)に
     なってしまったから。
    ■対処法として下記のことをあげている。
     ①「ビジネス」の論理ではない専門家や業界の組織づくり。
     ②個々人としては学校,弁護士等をよく見定める。
    ■ブラック企業から身を守るためにできる,3つのこと
     ①自分を責めないこと。
     ②勤務記録を付けること。
     ③専門家に相談すること。
    ■一方に偏っている感はあるが,全体としては面白かった。
     お金がないと,基本的に何もできないのだなぁ…と。

  • ブラック士業とは違法か違法ギリギリの経営戦略を手伝うような法律知識の悪用者でブラック企業の味方かと思えば、本書によれば、「お金が儲かればなんでもいい」というスタンスらしく呆れてしまった。お金さえ稼げれば、企業からお金をいただこうが、労働者からお金をいただこうが、一切構わないらしい。

著者プロフィール

POSSE代表

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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