銀行ゼロ時代 (朝日新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950369

感想・レビュー・書評

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  • 銀行の一消費者利用者として読んだ。

    銀行金融界隈は、銀行自体も数は多いし合併や連携もあり子会社もあり、色んな業界が参入してさらに各社色んなサービスがあり、そもそも金融の仕組みは複雑である。
    イライラすることが正直多かった。

    本書では以下の現状がわかりやすく述べられている。
    •銀行の経営状況→深刻。
    •銀行を取り巻く社会状況→少子高齢化による人口減少、長期化する低金利、テクノロジーの発展と多くの企業の金融業界への参入 
    •異業種企業の参入→GAFA、LINE
    •生き残り戦略→会社合併、統廃合。同業異業問わずの連携提携。デジタル•AI化。
    •様々な新サービスの紹介→ネット化•スマホ化。キャッシュレス決済。オンライン銀行。AIレンディング。
    •銀行現場の実情→かなり否定的な書き方。

    銀行も生き残りのために大変で必死なのだとわかる。
    (*そもそも銀行とは何なのか、根本的な機能は何なのか。そのへんも知れたら嬉しかったが、本書では触れられていない。)


    上記の現状を踏まえた多くの展望も述べられている。
    しかし本書(2019年9月出版)から2年半たった現在、その展望とは異なる現実となっているところもある。
    一番はQRコード決済。
    「電子マネーに取って代わることはないだろう」「いずれ自然消滅する可能性もあろう」と述べられている。しかし現実は凄まじく普及している。
    数年先の未来予測はそもそも難しい時代なのだろうが、本書の展望についての記載は全体的に少しひいた目でみたし、ここで紹介もしない。

    銀行は多量の複雑な金融商品を展開して、多種多様な事業に手を広げている。
    それで世の中良くなったこともあるのかもしれないが、利用するのにちょっとわかりにくすぎるし、なんか「チャらい」と感じる。
    色々とお疲れ様です。でもどうかまずはコア業務を誠実に丁寧に消費者利用者の目線で行なっていって下さい。

  • ★3章の「内部崩壊が止まらない銀行組織」は銀行員必読★
    細部に異論はあるが、最終結論はおおむね納得できる。
    異論としては「本部はコスト部門」という考え方は昭和時代のもの。
    本部だけのインターネット専業銀行がなぜ強いか考えると良い。
    「外交営業に注力しろ」も、ズレている。
    店舗にお客さんに来てもらう工夫が必要。

  • 本棚の整理に合わせて積ん読を消化。2019年当時そこそこ流行ったビジネス新書、という印象だったが期待外れ。

    貸出しや手数料で収益を上げる従来のビジネスモデルは既に崩壊し、ネットバンキングに取って代わられる。3大メガバンクは0〜2グループに合併した上サイズダウン、地銀は公共性に優る信金やゆうちょに負ける、というのが大まかな論旨。

    しかし、肝心の大企業向け融資はなぜ当てにできないのか等の説明が端折られており説得力に乏しい印象。
    全体的に議論が緻密でなく、未来はこうなる可能性が高い、というよりは「こうなるんじゃないかという予想を立てることが可能だ」というレベルの仮説にしかなっていないと感じた。
    金融庁や銀行の施策や、銀行組織の体質に対するダメ出しも多いが、そちらもあまり興味をそそられない。

    最終章ではこれからの銀行が生き残るための提言がいくつかなされたが、どれも無責任な机上の空論で、実現性を考慮せず言いたいことを言っていると取られても仕方がないと思う。
    「銀行は法人向け融資から個人向けにシフトして、シニアのための見守りサービスで付加価値を出せ」というのはいいとして、そのまま介護の資格を取って介護士になれ、では何の問題をどう解決したいのか分からない。

    総じて適当に書いた本なんだろうなと思った。著者は金融コンサルティング会社の経営者らしいが、クライアントに向ける真摯さの一部でも読者に向けてくれればよかったのに。

  • ふむ

  • ●同じ銀行の店舗内なのに、ATMは顧客の行列、誰もいないソファー席、黙々と作業する多くの銀行員と言うシュールな光景が広がっている。
    ●手数料収入の占める割合は約4分の1、さらに右肩下がりで減少している。
    ●金融システムが安定していることにより、実は金融庁は暇である。だから仮想通貨を取り込める前のめりになったりする。
    ●楽天やLINEが銀行を傘下に持ってるのに、銀行は楽天を傘下に持つことができない不公平。
    ●デジタル金融年金省を作れば
    ●そもそも対価を払うほどの価値ある情報提供を、百戦錬磨の企業経営者やその業界の専門家に対して、銀行員ができるのだろうか。
    ●韓国系のイメージや、個人情報に関する安全性や信頼性への不安を持つ一部ユーザーへの対応策としても、LINEにとって日本を代表するメガバンクであるみずほFGとの提携は願ってもないことだったと言える。
    ●デジタルプラットフォーマーの下請けになる
    ●Suicaに慣れた消費者が、いちいち店舗でスマホのアプリを立ち上げてQRコードを読み取らせ、金額を確認して決済するQRコード決済を本当に使うのだろうか?
    ●電子マネーでの給与支払解禁により、銀行口座を使わない仕組みが。
    ●信用金庫は高校野球、地方銀行はプロ野球
    ●民営化が先送りされ続けている商工中金
    ●104ある地方銀行(80グループ)は20程に
    ●休日研修よりも、土日営業をしてくれ。
    ●個人向け資産運用にシフトするのが唯一の生き残り戦略。事業承継や相続にかかる不動産仲介の解禁や、税理士業務の解禁などが待たれる。ダウンサイジングは不可避。早急に対応しないと絶滅する。
    ●顧客訪問が基本となり、やはり店舗は不用。
    ●墓地、納骨堂に同居隣接して、銀行が貸金庫や相続資産運用相談窓口を。郵便局みたいにシニア見守りサービス。



  • GAFA時代における銀行のあり方と危機を述べた本。プラットフォーマーの動きや決済サービスとそれに対して銀行が受ける影響がよくまとまっていた第二章は面白かった。
    一方筆者は銀行出身のため思うところがあるのだろう、やや断定的かつ銀行を否定するような論調が目立った。特に後半は銀行への文句と提言に終始し、銀行員ではない私にはあまり参考にならなかった。


    以下学びになった点。
    ・苦し紛れのコンサルサービスは、質の担保が難しく、かつ金になりにくい
    ・貸出業務はオリックス子会社の弥生、マネーフォワードビズアクセル、楽天、リクルートなどが会計データや予算ノウハウ、日々の決済データなどからAIで行い始めている。
    →一方で債権回収はどのくらい回ってるのか気になった。結局人が見て貸した方がいいとはならないのか。
    ・LINE銀行にはみずほが出資。メガバンク自身にDXできる小回りが利かないがゆえの決断か。日系バンク資本だけの銀行であることの安心感が得られた点はLINEのメリット。
    ・PFは金融事業で儲けることも、フックにして他で儲けることもできる。店舗も人員もないので変化にも対応しやすい。金融一本足の銀行にはかなり手強い相手。
    →スーパーアプリになれば、どんな変化が起きてもどこからでもマネタイズできることが強みなんだと思う。
    ・今、リアル店舗にどこまでいきたいと思うか。アップルストアのように少なくしてショールーム化した方がいいのではないか。
    ・PF金融の強みは圧倒的認知度、本業でも稼げるしそこから資本投下できる、DI力、判断の速さ、余剰店舗・人員がなく小回りきくの5つ

    総じて、金融事業は他事業のフックでしかなくなるのかもしれない。

  • マイナス金利政策を境に不況とも言われる銀行の状況を痛烈に書き下ろした本。
    読んでいてあまり良い気持ちはしなかった。
    銀行がゼロになることは無いと思う。

  • 『銀行ゼロ時代』(高橋克英 著/朝日新聞出版)vol.522
    https://shirayu.com/blog/topstory/other/8733.html

  • 世の中にとって必要な機能の担い手が、デジタル化によって一変するということ。
    時代の変化と共にいくつも起きてきた事象なんでしょうが、そのスピードが違うというのが、今の時代の特徴的なことの気がする。
    そして、この事象は何も銀行に限ってのことではなく、同時多発的に色々な業種で進行中なのも令和という時代なのかなぁ。

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著者プロフィール

高橋克英:株式会社マリブジャパン代表取締役。1969年岐阜県生まれ。93年慶應義塾大学経済学部卒業。2000年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。日本金融学会会員。三菱銀行、シティグループ証券、シティバンクで、おもに銀行クレジットアナリスト、富裕層向け資産運用アドバイザーとして活躍。その後、独立。著書に『銀行ゼロ時代』(朝日新書)、『人生100 年時代の銀行シニアビジネス事例』(近代セールス社)、『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(講談社+α新書)などがある。

「2021年 『地銀消滅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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