頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022951472

作品紹介・あらすじ

草創期の脆弱な鎌倉幕府をまとめ上げていたのは、情に厚い親分肌の源頼朝の個性だった! 従来の頼朝像を一変させる刺激的な論考。さらに2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時についても頼朝の後継者として詳しく言及している。

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ〜、面白かった。

    なんと言っても文体が面白かった!

    かなり砕けた文体で、分かりやすく書いてくれています。たとえば頼朝が伊豆に配流されたあたりのところでは、

    >頼朝は四月生まれなので(『武家年代記』治承四年条)、この時、数え年では十四歳だが、満年齢なら十三歳になる直前、もうすぐ卒業式を控えた小学六年生である。
    「頼朝の武士団」より

    このように、初心者でも非常に分かりやすく書かれています。

    他にも、面白くて分かりやすくたとえたり、「ちびまる子ちゃん」のナレーションのようなツッコミが入っていたりと、とても楽しく読み進められました。

    特に、史料に残っている頼朝や政子などが話したことの”意訳”が面白いんです。承久の乱においての政子の演説の”意訳”は、

    >「みんな。心を一つにして、きいて。あたしの最後の言葉よ。あたしの佐殿(頼朝)が、悪いヤツらを全部やっつけて、この関東(鎌倉幕府)を作ってくれてから、官位(官職と位階)でも、シノギ(収入)でも、佐殿が、みんなにしてくれたことの恩は、山よりも高くて海よりも深いでしょ?(後略)」
    「頼朝の武士団」より

    このような感じです。

    初心者でも本当に読みやすいので、鎌倉時代が苦手で「鎌倉殿の13人」の予習をしたいけど…という方はぜひぜひ公式サイトの人物相関図を見ながら、この「頼朝の武士団」を読んでみて下さい。

  •  やー、おもしろいわぁ。これはいい。わかりやすい。現代の私たちに置き換えて説明してくれるから、頭での理解はもちろん、感覚としてわかる。遠い鎌倉時代の武士たちが、実際に生きた人間としてすごく身近に感じられる。『吾妻鏡』などの史書に書かれているセリフも、〈直訳だと雰囲気が伝わらないので〉と、現代の言葉づかいに意訳されているので、笑えるし、リアル。

     鎌倉幕府に関する本は、1180(治承四)年の源頼朝の挙兵あたりから始まることが多いようだけど、本書は、頼朝の出自、ひいては源氏のルーツから書かれており、さらに貴族の説明にいたっては710年の大宝律令までさかのぼるので、物事の根本から知ることができます。

     そして、この朝日新書版には「付編 頼朝の後・後の頼朝」が128ページにわたって書き下ろされていて、これがものすごく良かった。ついこの間まで仲間としていっしょに戦っていた御家人たちが頼朝の死後に繰り広げる抗争と、承久の乱の経過記録は、臨場感と緊張感で手に汗握ったし、何度も涙ぐんでしまった。

     いい本を読みました。頼朝と鎌倉時代について知りたい人には、本書をまずおすすめしたい。執権北条氏、また北条政子のイメージが、だいぶ変わりました。政子、かなり好きになりました。

     歴史を知るって、ほんっっとに楽しい!

  • 面白い。今までの鎌倉関係と違って、頼朝や御家人の意訳が面白いし分かりやすく、楽しい。

  • 大河ドラマの予習に。
    著者言うところのこの時代の「物騒とゆるさ」「残虐とほのぼの」感、初心者にもわかりやすく面白かった。
    くだけた現代語訳や文章の調子は、好き嫌いわかれるかも(自分は途中から大泉洋の声で再生された。笑)
    付編もボリュームあります。

  • 鎌倉殿の13人&アニメ平家物語視聴にあたっての副読本として。この時代、自分はいまいち体系的な理解が出来ていなかったので学び直しができて良かった。1年間の大河市長の間、ちまちま読み返す!

  • 頼朝時代の鎌倉幕府の実態と御家人との関係性を、様々なエピソードを元に描き出そうとする一冊。再刊にあたって加筆修正と、頼朝後を扱った付編が追加されている。かなりフランクな意訳が特徴的で、併記されている読み下し文と比べると面白い。

  • 鎌倉殿の13人の予習に。ドラマの続きがますます楽しみになりました。

  • 本編(付編を除くP259まで)を読んだところで書いてしまうが、むちゃくちゃ面白かった。
    頼朝もしくは鎌倉時代の知らなかった常識がたくさんわかった。
    加えて、説明がていねいである。とくに(批判されることもあるようだが)著者の語り口がとてもわかりやすい。内容はもちろん一流であろう。学者の方でこれだけのものを書ける著者は貴重である。
    著者は学歴コンプレックスを持っているようなことを告白しているが(もちろん博士課程まで進んでいて遜色はない)、そのことを含めた著者のこれまでの経歴が、このような本が書ける才能につながったと思う。
    もっとたくさん一般向けの書籍を書いて、歴史の面白さを広めてほしい。(そのために、この本ももっともっと売れてほしい)

  • <目次>
    プロローグ  物騒な主従漫才
    第1章    流人の生活
    第2章    ドキュメント・鎌倉入り
    第3章    「オレたちの町」鎌倉
    第4章    御家人たちの「溜まり場」鎌倉幕府
    第5章    御家人たちのハートを掴んだ頼朝
    第6章    故郷としての都市鎌倉
    付編     頼朝の後、後の頼朝
     第1章   頼朝の後
     第2章   後の頼朝

    <内容>
    2021年刊の洋泉社歴史新書y(今は出版社ごと消滅)の再編集、付編を合わせた”完全版”。この本の魅力は、当時の史料の訳が「超訳」なのこと。「チョー!ムカつくんだよ!」とか「~聞いてくだせエ」とか。そこが歴史書としての傷であり、読み物としての美点である。また著者は、大学教授などになれなかった人なのだが、ほんの1ページにだが、その屈折した思いが吐露されている(探してください)。今年の大河ドラマとリンクした内容であり、類書より大河ドラマと「合致」している。

  • 面白かったです。著者の砕けた書き方が、すごく分かりやすかったです。書き方は批判があるかもしれないです。ただ、頼朝と御家人の関係がよく分かりました。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。立正大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学。博士(文学)。現在、中世内乱研究会総裁。著書に、『鎌倉政権得宗専制論』(吉川弘文館)、『鎌倉幕府の滅亡』(吉川弘文館)、『執権 北条氏と鎌倉幕府』(講談社学術文庫)、『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』(朝日新書)など。

「2022年 『論考 日本中世史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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