ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生 (朝日新書)
- 朝日新聞出版 (2023年4月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022952110
作品紹介・あらすじ
日本人はなぜ、こんなにもポテチが好きなのか?ジャガイモ復権の狼煙「のり塩」、洋食への憧れが育てた「コンソメパンチ」、団塊ジュニアを魅了した「ピザポテト」。ポテトチップスを軸に語る戦後食文化史×日本人論!●本書の構成【第1章】 ジャガイモを受け入れた戦後日本 ――日本食化するポテチ【第2章】 団塊ジュニアの胃袋を狙う ――大衆化するポテチ【第3章】 欲望と消費と経済成長と ――プラットフォーム化するポテチ【第4章】 下流社会が求めた“貧者のパン” ――ジャンクフード化するポテチ【第5章】 経済低迷とダイバーシティ ――国民食化するポテチ
感想・レビュー・書評
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「あぁ、ポテチはおいしいな」
罪悪感を抱きながら、ついつい手が伸びてしまい、気づくと1袋完食している。ポテチチップスを食べる時、いつも思うのはカルビーと湖池屋の戦略。老舗の湖池屋が強力な販売網を持つカルビーにどう対処したのか?自分の見解は「カラムーチョ」「ドンタコス」などの戦術が答えと思っていた。そんな時、本屋でこの本を見つけて読んでみたら、自分の理解は少し違うことが判明。答えは本の中。
カルビーは広島発祥、ポテチは本当は湖池屋しか使えないフレーズ、などなど。大変楽しい書物です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ポテトチップスの歴史と日本人の関係について本気で書かれた一冊!
今までのポテトチップスが紹介されてて楽しく読み進められます。 -
私にとってポテトチップスは、無くてはならないもの。
身体に良くないと思いつつ、それでも買ってしまう。そして、一人で一袋ペロリ……今金男しゃくは、毎年買ってしまう。
なぜ、こんなにポテトチップスが好きなのか知りたくてこの本を手にしました。こんなに歴史が詰まっているなんて、思いもしなかった。
企業努力&戦略に、感謝!
そして、今日も湖池屋からポテトチップスが段ボールで届きました!味わおう! -
2023/4/21読了。
帯に「ポテトチップスを軸に語る 戦後食文化史×日本人論」とある通りの本だった。語り口は軽くて読みやすく、しかし真面目に証言や文献やデータを積み重ねており、説得力と信憑性がある。カルビーVS湖池屋のバトル史という側面もあって次の展開への興味が尽きず、ページの一枚一枚がポテトチップスの一枚一枚のようにやめられない止まらない。気づけば一日で一気読みだった。 -
読んでたら無性にポテチが食べたくなった!ダイエットの意味もあって控えているというのに・・・なんとなくポテチといえばカルビーのイメージがあったのだけれど(シェアは一位というし)、スーパー行って売り場を改めてじっくり見ると湖池屋商品がたくさんあって、いかに売り場を素通りしていたのかと・・・(だって見たら買いたくなるもん!)そして商品もいろいろバラエティ豊かで驚いた。その裏でいかに業界の人たちががんばっていたのかを知れて、読んで良かった。
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日本におけるポテトチップスが、どのような歴史を辿り日本人にどんな影響を与えたのか論じた画期的な一冊。
この表紙を見て完全に衝動買いをしてしまいましたが、子どもの頃から今に至るまでポテトチップスを好んで食べている私にとって、衝撃の内容でした。ほぼ同年代である著者の思い出は自分と重なることも多く、我が事のように読み進めました。
著者は、ポテトチップスが「日本社会に必要不可欠な食べ物」であるとし、「国民食」の定義「国民の食生活に必要不可欠である」と照らし合わせ、現代日本の国民食であると結論づけています。
また、なぜ日本人がこんなにもポテトチップスが好きになったのかという点について、本書では「欲望の充足装置として機能したから」という論が軸に展開されており、日本における開発の秘話、歴史などを紹介しながら、当時の世相や経済状況、日本人の気質などと合わせて論じている本書の内容に
感心するばかり。なかなか興味深い一冊となりました。
▼それらのサービスは「安価」で提供されなければ許されない。
日本のプロダクト生産者たちは、それがたとえ信じられないほど安価なモノやサービスであっても、「消費者の嗜好を微に入り細に穿って把握し、完璧に叶える」ことに長年心血を注いできた。これぞ日本が誇るサービスの美点であり、かつての国際競争力の源泉であったのは確かだ。
一方、たった数百円のファストフードにすら最高の品質を求め、時給数百円のバイト店員にすら最高のホスピタリティを求める、悪しき「お客様は神様」気質が抜けない国民性もまた、この国の伝統だ。
▼現在のSNSで、見た目や質感が映える料理写真ほどバズって拡散されることに通じるものがある。極論すれば「おいしいから食べる」のではない。「コミュニケーションが捗るから食べる」。40年間変わらぬ日本人気質と呼ぶべきか。
▼百数十円ぽっちの袋の中に、日本の食品加工技術の粋が詰まっている。思えば牛丼チェーンの定食にしろ、激安だった頃のファストフードのセットメニューにしろ、つくづく筆者も含む団塊ジュニアは「圧倒的に安く、圧倒的に高い品質のサービス」に若い頃から慣れ、というよりも甘やかされて育った。
▼ポテトチップスメーカーの先人たちが、日本人をポテトチップス好きにしたのだ。
彼らは日本人の味覚に合うフレーバーを探し、試行錯誤を重ねて開発し、人々に受け入れられる商品を生み出し続けた。日本人のポテトチップス好きは、戦後の短期間で成し遂げられた「人の作りし嗜好」である。ジャパニーズ・ポテトチップスは、日本人が極めて短期間の間に、ある意思のもと人為的に作り上げた食文化だ。
日本人は海外のものをそのまま受け入れるのではなく、自分たちの嗜好や環境にフィットさせるべく、念入りに調整と改造を重ねる。
▼自国文化をベースにアジアも欧米も節操なく取り入れ、こねくり回しながら、最終的には自家薬籠中の物としてしまう。日本人が古から得意とするそんな手腕は、ポテトチップスというフォーマット上でもいかんなく発揮された。
<目次>
序章 2017年のポテチ会
第1章 ジャガイモを受け入れた戦後日本ー日本食化するポテチ
第2章 団塊ジュニアの胃袋を狙うー大衆化するポテチ
第3章 欲望と消費と経済成長とプラットフォーム化するポテチ
第4章 下流社会が求めた“貧者のパン”ージャンクフード化するポテチ
第5章 経済低迷とダイバーシティー国民食化するポテチ -
日本人によるポテトチップスの受容史・需要史はそのまま、日本社会が豊かになり、日本人が食に対してささやかなる欲望をむき出しにしていった過程の映し鏡でもある。
私はポテチをたくさん食べる方でも無いが、
全く嫌いではなく、ちょっとヘルシー気味に過ごしたい気持ちがあるからなんとなく避けているだけで。
この本読みながら何回のり塩を食べたかわからない。
(九州しょうゆ一択で過ごしてきた自分を殴りたい)
ポテチは欲望の充足装置であり、流通と安定供給をかなえるカルビーと戦う湖池屋の高級化戦略というブランディング対決の場であり、SNS時代の自己表現ツールである。とても面白かった! -
ポテトチップスの歴史、そしてどのように日本人の間に広がってきたのかよくわかります。各メーカーが試行錯誤して凌ぎを削ってきました。お菓子ではありますが、国民食の一つと言ってもいいのではないでしょうか? 私もポテトチップスは大好きです。カルビーなら「バターしょうゆ」「しあわせバター」、ギザギザ「味わいしお味」が、湖池屋なら「プライドポテト」が好きです。
ポテトチップスが食べたくなってきました! -
アメリカにおけるポテトチップスの発祥から日本へ持ち込まれた経緯、じゃがいもの戦中戦後の生産量やじゃがいもに対する国民感情、栄養状態による求める味覚の変化や健康との関係、湖池屋とカルビーを軸に進むポテトチップス史。などなど、思いつく範囲の内容はすべて書かれていたし、出てくる商品名も懐かしいものや昨今食べたもの。
自分の生活の中にあったポテトチップスを振り返りながら読み、とても楽しい読書だった。