福島原発の真実 最高幹部の独白

  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023310742

作品紹介・あらすじ

「直ちに人体に影響はない」「原子炉は冷温停止状態になった」…。「大本営発表」でしか知ることができなかった「未曽有の人災」。福島第一原発最高幹部の一人が、初めて重い口を開いた。手帳に残されたメモから当時をたどると、そこには「事故の真実」、そして、作業員たちの命をかけた戦いがあった。

感想・レビュー・書評

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  • 福島原発の現場で働いていた東電の幹部からの情報を源として
    週刊朝日の記者が現場で何がおこり、どう思っていたかをまとめた本。

    現場では自己直後 メルトダウンなど 想像せずに 緊急冷却できていると
    思っていたとか
    本店との温度差が広がるばかりとか

    てんやわんやの現場にいきなり 飛び込んできて現場を混乱させた管直人とか 
    なるほどそうだったんだろうという記述が満載。
    こういう本を読めば読むほど その当時 誰がどうして 何がダメだったよいう話より、事前の備え(メルトダウンが確実視された事態に遭遇したら
    どうするかという訓練や機材の確保)が何よりも大切なことがよくわかる。


    また 空白の55分も 菅直人も斑目も海水注入中止などといっていないのに東電の幹部が官邸筋を慮って 勝手に中止にしろいっていた。(これは他の本でもすでにあきらかだが)。こういう指揮命令系統の混乱が簡単におきてしまうというところに有事に備えていないことが露呈している。

    原発の技術をこれまで こんなに 育ててきたのだら いま やめるべきではないというのは これは原子力ムラの 勝手な言い分だ。

    まだ収束していない。 原子炉建屋も格納容器もボロボロだ、本当に核燃料 安全に とりだせるのだろうか。

  • 事故当時の原発の現場の様子がよくわかった。また政府や東電の発表が全くでたらめだったことも伝わってきた。これじゃ、40年以上経った原発の安全性だって全く信じられない。どの世界でも大きな組織の上に立つ者はトラブルが発生した時、自らの保身と利益しか考えないのだろう。

  • 筆者・今西の俺が俺が感がハンパない

  • 3.11の一ヶ月ちょいたって、世の中がようやく真実を追い始めたころ、いち早く現場に入り込んで取材を試みた今西氏のルポ。
    フクイチの最高幹部がすごいと思う。
    あれから間もなく二年。原発再稼働はもとより、新設容認まで議論され始めたのは予想通り。だからこそ今、事実を直視すべきかと。

  • ジャーナリストらしいルポルタージュ。

  • 改めてだけど、現場と政府・東電本社の温度差というかズレ具合がひどい。
    結局いろんなことがよくわからないまま運用してきてしまったんですね。
    一カ所気になったのが、最後の最後でこの「幹部」の方が「原発を続けさせてもらいたい」とか言っちゃってるところ。
    それまでの話で、東電に全面的に責任があるとか現場がどれだけ苦労しているかとか語ってたのに、???でした。

  • 必読の書。

  • 「彼」は一体誰なのだろう。新刊書店で本書のタイトルを観た時に、
    真っ先に思い浮かんだのは福島第一原発で陣頭指揮を執った
    吉田前所長だった。しかし、それはないだろうな。

    想定を遥かに超える地震と津波。その直後から始まった福島第一
    原発の危機的状況。事故の対応に当たりながら、「彼」はメモを
    残す。

    引き続く余震と再度の津波襲来の恐怖のなか、書かれたメモは時に
    誤字があり、ひらがなだけだったり。それだけでも現場の緊迫感が
    理解出来る。

    全交流電源喪失、計器の異常、実際の原子炉のなかの状態が分
    からない。そして爆発と放射性物質拡散の可能性。

    人間の技術が作り出した原発という悪魔と闘う一方で、現場はもう
    一方の敵と闘わなければならなかった。それが、政府と東電本店
    だった。

    政府はアメリカをはじめとした海外へのパフォーマンスに固執し、
    本店は保身に走る。現場との温度差は益々開くばかりだ。

    福島第一原発の事故が人災であることは既に周知の事実。それ
    なのに、今後の出世しか頭にない本店幹部。

    東京電力に求められているコストカットだが、この為に現場の
    作業員の待遇が悪くなっているって…。カットするところが違う
    だろうに。ちなみに事故前の東電の社長・会長の役員報酬は
    7千万円台という。50%カットとか言っているけど、それでも
    3千万円台だぞ。

    日本政府は2011年末、原子炉の冷温停止状態を宣言した。
    しかし、誤魔化されてはいけない。これも海外向けのパフォーマンス
    だ。燃料棒がどのような状態になっているか、未だ分かって
    いないのだから。

    尚、著者の今西氏は「彼」の協力でマスコミの立ち入りが許可されて
    いない原発敷地内に潜入している。東電本店は犯人探しにやっきに
    なっていたとか。そうだろうな、お役所よりもお役所的な会社だもの。

    それにしても菅直人である。必要性の全くない事故翌日の原発視察
    では、やはり怒鳴り散らしていたらしい。さもありなん。

    無用な自衛隊ヘリからの注水といい、こいつは政治家なんかじゃない。
    人殺しだ。

  • 23―3―11の原発事故の真相がここにあるのか?なぜここに書かれてあることがマスコミで報道されないのか、現政府が国のこと、国民のことを真に考えていない…この先の日本が心配。

  • 発災当時の内部で働く人々の様子、最初からオールジャパンでやればよかった汚染水処理施設の問題・・・現場が目に浮かぶような迫真の内容です。

    何よりも、現場は相当早い時期からメルトダウンを前提に動いていたということ・・それを2か月ものらりくらりと会見ではぐらかしていた盗電・・。

    印象的だったのは
    「日本にある消防車を全部集めたのかと思えるくらい構内は真っ赤だった」
    「放水作業の自衛隊員が水蒸気が多くて前が見えないのでマスクを外して作業」

    そして、決死でのぞんだ1号機の手動ベント作業は一度で作業員さんは100ミリシーベルトを浴びていた・・・。

    現場で今も働く作業員さんたちに改めて頭が下がる思いと同時に、未だに反省の色も見せず、体裁を繕うだけの本店と上層幹部たちへの怒りを改めて覚えます。

    割りと気軽にすぐに読めるので、通勤電車の中でもどうぞ。

    本当はふくいち潜入の写真をもうちょっと入れてくれるとよかったけど。。。

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著者プロフィール

1966年、大阪府に生まれる。ジャーナリスト。
大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。
著書に『無法回収』(椎名麻紗枝との共著、講談社)、『内部告発──権力者に弓を引いた三人の男たち』(鹿砦社)などがある。

「2010年 『闇に消えた1100億円』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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