作品紹介・あらすじ
ぼくが招待されたのは、SNSの仮想空間「奇譚ルーム」。ぼくをふくむ10人のゲストが、奇譚‐不思議な話‐を語りあうために集まった。そのとき突然、発言主不明のふきだしが現れる。「わたしは殺人者。これから、きみたちをひとりずつ殺していくのだよ」殺人者とはいったいだれなのか?死の制裁にはなんの目的があるのか?衝撃のラストがきみを待っている!
感想・レビュー・書評
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テーマが設定された中でチャットを楽しむSNS「ルーム」ある日主人公は奇譚好きのルームに招待される。10人の参加者が集まった時点で急に「マーダラー」と名乗るルームのホストが面白い奇譚を披露しないと一人ずつ殺していくと宣言。アバターと現実をリンクさせた為アバターが消えれば実際に死ぬと説明された中一人ずつアバターが消えていく。10人の中に潜む「マーダラー」は誰だ?無茶な設定だと思ったけどやや飛び道具だが地に足がついた真相に行き着いたのは流石。アイコンに吹き出しがついた横書き形式が実際のSNSを追っている感じで楽しい。奇譚の内容は人形遣いと遊民が良かった。自分の認識している世界と地続きな不思議はやはり魅力的だ。
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先日、小説を読み終わると突然「奇譚ルーム がいますぐ読みたい。」という衝動に駆られました。すぐに図書館に行きたかったのですが行けず今日やっと図書館に行くことができ、再読することができました。
再読した感想ですが、やはり何度読んでも面白く感じました。内容としては、ルームというSNSで奇譚を語り面白くなかったらマーダラーに殺されるといったものとなっておりとてもハラハラする物語となっております。
良いと感じる所は会話形式が吹き出しになっている為キャラクター逹のわちゃわちゃ感が感じられるところです。また、要所要所で奇譚が語られるのですが物語に関係ないわけではなく謎に深く関わっており最後にはなるほどと感じるところだと思います。
残念だと思う所はエンディングです。第9の奇譚で解決しているように思うのですがエンディングがあることにより解決したことが解決しなくなります。エンディングだけは、蛇足では?と感じてしまいます。
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⭐あらすじ
ホストがテーマを持った部屋を設置し、そこへゲストを招待するSNS「ルーム」。
ルームに設置された「奇譚マニア」に招待された10人はホストの司会が始まるのを待っていた。突如として発信者不明の吹き出しが現れる。それは、奇譚ルームの進行を促すものではなく、面白い奇譚を語らなければ殺害するといった殺害予告で。
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2023年12月16日 読了
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夏休みルーム読後、こちらも気になって。
ここで探偵とボクは知り合ったのか〜。いろんなアバターがいたけど、意外とすんなり読み込めた。最後はそういうことかと思ったけど、ルームはなかなか不思議な空間だなぁ。
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このテの推理もの(シチュエーションスリラー?)は多くの作品を見てきた大人になると純粋に楽しめなくなってしまうのが残念。ものすごく楽しそうに読んでいた中学生の子供がうらやましい。ただ、謎の行方やオチについては上記のとおりにしても、それ以外の人物や物語の部分でも十分楽しめた。
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たまたま本屋さんではやみねかおる先生の本を見つけたので。
昔の夢水清志郎シリーズや怪盗クイーンシリーズの感覚で読んでたけど、ゆるっとしたミステリーでした。児童書だから少し読みやすくなってるのかな。
最初の数ページで違和感が満載だった。あの最初のパソコンやスマートフォンがたくさんある(全部足した機械の台数もちゃんとヒントだった)時点で察しがいい人は気付くよね。
話が進むにつれて、みんなが忌憚を話出せばその違和感は増していく…。みんなの話の内容もだし、主人公である語り手の情報が最初のパソコンの下り以降一切出てこない。そもそも主人公は何者なのかが一切わからない時点で怪しさいっぱい。ただ最後にお前も別人格側なんかい!ってなったけど、あの子を残す意味はあったのか?あの子がまた別人格を形成するかもしれないのに?とは思ったかな。
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5.6年。再読。SNSで奇譚を話しあう部屋に招待された主人公。10人しか入れない部屋になぜか11人目のホストが現れ、話が面白くないと殺されるという設定。横書きチャット形式、イラストレーターの使用、身近なデジタル話から紹介すると手に取られやすい一冊。
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表紙が可愛いと思って、図書館からかりて読み始めました。
横文章っていうのかな?昔のケータイ小説みたいな感じに書かれていて、懐かしい!バーチャル空間でチャット機能を作品で使用してるからなのか、キャラクターの会話がチャット方式でされている感じになっています。ちゃんとアイコンもついていますし、どのキャラクターがどのアイコンを使うのかは、最初でイラスト付きで説明があるので分かりやすい!表紙も含めて可愛らしい絵なので、読んでて文章と共にイラストのおかげで没頭できたと思います。
登場人物が10人いるんですが、初っ端から1VS9人みたいになります。そりゃ、そうだ。いきなりルームのホストが「奇譚を話をしてもらって、面白くなかったら殺していきます」みたいなセリフがあったから。最初から空気が怖くて、これは夜に読んだのは間違えかなって考えるくらいに。段々読み進めていくと、真相が分かってきて落ち着いたんですが…驚いたのが、10人の登場人物いるのに、本当に実在するのは2人だったってことです。読んでる途中で気づいたとき、納得と驚きが同時に来ました。似たようなお話を1度、別の作品で大分前になるんですが…読んだことがあります。読みながら、「そうなのかな?」と自分の中でずっと考えていました。まさか、当たるなんて(笑)どのキャラクターが実在するのかは、読む楽しみとして伏せておきたいと思います。序章を読んだ恐怖と後からキャラクター達が犯人捜しをしながら、何かに気づいていく姿が印象的でした。最後の解説を読んでいると「あのキャラクター、なんであんな行動をしたのか…こういうことだったのか。」って理解できます。
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横書き、アイコン、吹き出しと
まさにSNSの時代の本となっていて
とてもおもしろかった。
読みやすさは、いつも通りだが
あとがきもかわいかった。
ぜひ、次回作も読みたい。
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文字通り"心理"戦だったなぁ...
奇譚について
いずれの奇譚も、「自分ではない自分、もう一人の自分」がテーマになっている。そして、いくつかは精神病・神経症・脳の障害、催眠術にも触れている。
第1:引き受けきれなかった仕事を脱稿した自分が分離
第2:夢の中限定でヒーローになった自分
第3:人形に操られる自分
第4:催眠術で植え付けられた自我
第5:夢(集合的無意識?)に追いやった欲望に忠実な自分
第6:教師からは見抜かれなかった自分だけが知っている自分
第7:ネット上で運命を演じる自分
第8・第9:臨床心理学から見たクライエント(来談者)
・第2の奇譚:確かに話としては薄っぺらいが、その理由が「主人公がヒーローとはどういうものかを理解していないから」であることを思うと、ヒーローらしいヒーローを考えるのって難しい。
・第3の奇譚:自我が芽生えた人形に妙な愛着を持ってしまって、友好的な関係を築けたら面白いかもという気持ちがホラーをちょっと上回った。言葉も通じそうだし。でもやっぱり、例え一時でも自由意思が奪われるというのは怖い。
・第5の奇譚:あちら側で欲望を満たしたら幸せなのかと疑問だけど、こちら側で互恵的なコミュニティに属せる幸せがあるからこそかもしれない。住み分けが面白い。そして、秘密を共有できて喜ぶピロの笑顔が悲しい。
・第6の奇譚:動機が気になる。
・第7の奇譚:自分たちが不本意な結婚によって生まれたこと(望まれてない子であること)を改めて突き付けられるわけで、遺産のためとはいえなかなかえぐい。
人格について
・人格の作られ方に、主人公の研究熱心さが感じられ、理解や経験の限界から来る個性も面白かった。
・女性アイドルの人格を生み出すために男性主人公がなりきっていることを考えると、アイドルはそういう意味でも異端な人格って感じある。
・人格というものをどう捉えるべきか。知識、経験、思考の器と考えたら分かりやすいだろうか。
構造について
・一人ひとり消えていく+犯人の頭の中で完結という点で辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』を連想した。あちらは外部から入り込んでいて一人ひとりの話が作り込まれていたが、こちらは人物描写が薄かったのは、一部のなりきりの経験しか受け継がない『別人格』だったからか
・吹き出しを用いた演出は、賛否が出やすいかもしれない。
著者プロフィール
三重県生まれ。『怪盗道化師』で第30回講談社児童文学新人賞に入選し、同作品でデビュー。主な作品に「名探偵夢水清志郎」シリーズ、「怪盗クイーン」シリーズ、「虹北恭助」シリーズ、『ぼくと未来屋の夏』『ぼくらの先生!』『恐竜がくれた夏休み』『復活!! 虹北学園文芸部』『令夢の世界はスリップする 赤い夢へようこそー前奏曲ー』(いずれも講談社)、『めんどくさがりなきみのための文章教室』(飛鳥新社)などがある。
「2023年 『都会のトム&ソーヤ 日めくり名言カレンダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」
はやみねかおるの作品