- Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
- / ISBN・EAN: 9784036521401
感想・レビュー・書評
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船が難波し辿り着いた孤島では,恐ろしい生物学研究が行われていた。動物人間の実験からの逃亡や,その退化まで,恐怖とサバイバルは独創的で面白い。
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#絶海の孤島 なるタグを設けた。
「 蠅の王 」「 二年間の休暇 」「 神秘の島 」などなど、私は“絶海の孤島もの”が好きである。
この小説は絶海の孤島で悪魔の実験にいそしむ狂気の科学者のお話である。絶海の孤島、悪魔、狂気。
これらの組み合わせ、なんともしびれる。男のロマンですらある。
冒頭の書き出しもまたしびれる。
「 この帆船は、…一八八七年一月に、パニヤの港を出たあと、行方不明になった。」
かような語り口である。真実味を醸し出し、かつ不穏な空気が濃厚な語り出し。冒頭から引き込まれる。
物語終盤はペシミスティックな趣を深める。
主人公はモロー博士の島を後にし英国に帰還。しかしロンドン市街の群衆を目にした彼は、その人間たちもまた「獣人」のように思えて慄然とする。
人間も獣も変わらない、あるいは、人間における獣性、といったモチーフを思わせる。
さて、下記のような一節がある。
「…われわれのお客だから、そまつにはせんつもりだ -いくらおしかけの客であっても」
島に上陸した主人公プレンディックに対するモロー博士の言葉である。
この言葉、岩波文庫の翻訳ではこうなっていた。
「 君はお客です。できるだけのことはしてあげよう。……招かれざる客ですがね。」
偕成社版は小中学生向けの翻訳でもあり、訳が少しやわらかい感じ。作品世界のダークさを思うに岩波文庫版翻訳の嫌味な感じ、屈折と悪意を滲ませた表現のほうが“気分”であると思う。 -
怪奇SF、まあまあ面白い。
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獣人間の容姿のおぞましさがよく伝わる描写がよかった。モロー博士はなんでこんな研究上手くいくと思ったのかいまいちわかんなかった。人体実験とかキメラとかタブーっぽいものが出てくる話にワクワクする人と弱くて普通そうなのに意外と有能な主人公が好きな人におすすめです。
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タイトルはとても有名で知っていたけど、読んだことがなかったので挑戦してみた。100年以上前に書かれた本だと思えない内容で、当時のキリスト教徒にはタブーが満載だったのではないかと考えると、改めてすごい名作だと思う。
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モロー博士によって人間に作り替えられた動物たち…。理性を持たされたがゆえに、逆に不幸な人生を送る動物人間は、神と人間を象徴するものでもある。神を目指して理性的な人生を送ることと、動物的な本能に従って生きること、どちらが幸せなのだろうか。知恵のリンゴを食べたことで楽園から追い出されたというのはそういうことなのか。深い。
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SF。古典。マッドサイエンティスト。映画『ドクター・モローの島』視聴済み。
映画とは少し違う。ヒロインは登場しないのね。
この作品の怖さは、映像の方がよく伝わるか。映画の方が多少良かったかな?
発表されたのが1896年というのは驚愕。 -
獣を人間に作り変えるという何がメリットなのか良く分からない研究を、離れ島で研究するマッド・サイエンティストの話。バート・ランカスター主演の映画は話を大幅に作り変えているが、原作の方は謎の美女も出てこないので、やはり映画の方が面白かったというべきか。