モロ-博士の島 (偕成社文庫 3214)

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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036521401

感想・レビュー・書評

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  • 船が難波し辿り着いた孤島では,恐ろしい生物学研究が行われていた。動物人間の実験からの逃亡や,その退化まで,恐怖とサバイバルは独創的で面白い。

  • マッドサイエンティストの夢の国。なんてこった。
    面白かったです。動物を人間に作り変えても、また動物に近付いていってしまう…というのは興味深い。元々の動物の種類によって性格も違います。
    モロー博士=主(創造主?)になっているのも凄い。
    主人公は孤島を脱出出来たけれど、ロンドンへ戻ってきてからも人間への不信が拭えず今はまた僻地で一人暮らしているラストも薄ら寒くて良いです。
    古き良き古典児童書みたいな書籍の様子だけれど、ハードSFでした。対象年齢は小学校高学年からっぽい。先輩から教えてもらった本です。

  • #絶海の孤島 なるタグを設けた。
    「 蠅の王 」「 二年間の休暇 」「 神秘の島 」などなど、私は“絶海の孤島もの”が好きである。
    この小説は絶海の孤島で悪魔の実験にいそしむ狂気の科学者のお話である。絶海の孤島、悪魔、狂気。
    これらの組み合わせ、なんともしびれる。男のロマンですらある。

    冒頭の書き出しもまたしびれる。

    「 この帆船は、…一八八七年一月に、パニヤの港を出たあと、行方不明になった。」

    かような語り口である。真実味を醸し出し、かつ不穏な空気が濃厚な語り出し。冒頭から引き込まれる。

    物語終盤はペシミスティックな趣を深める。
    主人公はモロー博士の島を後にし英国に帰還。しかしロンドン市街の群衆を目にした彼は、その人間たちもまた「獣人」のように思えて慄然とする。
    人間も獣も変わらない、あるいは、人間における獣性、といったモチーフを思わせる。

    さて、下記のような一節がある。
    「…われわれのお客だから、そまつにはせんつもりだ -いくらおしかけの客であっても」
    島に上陸した主人公プレンディックに対するモロー博士の言葉である。

    この言葉、岩波文庫の翻訳ではこうなっていた。
    「 君はお客です。できるだけのことはしてあげよう。……招かれざる客ですがね。」
    偕成社版は小中学生向けの翻訳でもあり、訳が少しやわらかい感じ。作品世界のダークさを思うに岩波文庫版翻訳の嫌味な感じ、屈折と悪意を滲ませた表現のほうが“気分”であると思う。

  • 久々に本を読み終えた。
    確かこの本が欲しかったのはホラーというか、怪奇的なテーマに惹かれたからなのだが、解説まで読んでみてキリスト教的な考え方への風刺を含む物語であると紹介されておりなるほどなと思った。
    確かに動物人間たちが本質的な理解ができていないにも関わらず教えを唱え"主"に畏れを抱いたり、それを喪って理性的な分別が瓦解しかけるシーンは印象的だ。そしてしまいには抑制しきれない動物的本能が蘇り、獣の状態に戻っていく…
    (この辺りの展開、構造だけ見ると『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせる。『モロー博士の島』は人間の理性の退化を予見して客観的に恐怖している内容なので明白な違いはあるが)
    妄信の対象が精神的支柱がとなり、西洋の人々の理性をいかに支えているかについて考えさせられる。この考え方は今も根深いのだろうか?日本人の宗教観には今も昔も合致しないので考えにくいが、この本の刊行当時の西洋の時代背景を考えるとなかなか鋭い示唆に富んだ内容だったのではないだろうか。

  • 怪奇SF、まあまあ面白い。

  • 獣人間の容姿のおぞましさがよく伝わる描写がよかった。モロー博士はなんでこんな研究上手くいくと思ったのかいまいちわかんなかった。人体実験とかキメラとかタブーっぽいものが出てくる話にワクワクする人と弱くて普通そうなのに意外と有能な主人公が好きな人におすすめです。

  • タイトルはとても有名で知っていたけど、読んだことがなかったので挑戦してみた。100年以上前に書かれた本だと思えない内容で、当時のキリスト教徒にはタブーが満載だったのではないかと考えると、改めてすごい名作だと思う。

  • モロー博士によって人間に作り替えられた動物たち…。理性を持たされたがゆえに、逆に不幸な人生を送る動物人間は、神と人間を象徴するものでもある。神を目指して理性的な人生を送ることと、動物的な本能に従って生きること、どちらが幸せなのだろうか。知恵のリンゴを食べたことで楽園から追い出されたというのはそういうことなのか。深い。

  • SF。古典。マッドサイエンティスト。映画『ドクター・モローの島』視聴済み。
    映画とは少し違う。ヒロインは登場しないのね。
    この作品の怖さは、映像の方がよく伝わるか。映画の方が多少良かったかな?
    発表されたのが1896年というのは驚愕。

  • 獣を人間に作り変えるという何がメリットなのか良く分からない研究を、離れ島で研究するマッド・サイエンティストの話。バート・ランカスター主演の映画は話を大幅に作り変えているが、原作の方は謎の美女も出てこないので、やはり映画の方が面白かったというべきか。

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