軽装版 夢の守り人 (軽装版 偕成社ポッシュ)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037500405

作品紹介・あらすじ

今、明かされる大呪術師トロガイの過去と"花"の夢。人の夢を必要とする異界の"花"が開花のときをむかえた。夢にとらわれた者を救おうとして、逆に魂を奪われ人鬼と化したタンダを女用心棒バルサはとりもどすことができるのか。路傍の石文学賞、巖谷小波文芸賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 守り人シリーズ、3作目。
    これまでの2作と違い、そんなに血生臭い感じはしない。バルサの槍も今回はそんなに活躍しない。
    今回は、トロガイ師やタンダの生い立ちもわかってくる。
    これまでよりもっともっと異質な世界の幻想的なお話。
    正直なところ、私の想像力がついていかないところがあって、
    何度も頭の中に疑問符が浮かび、「えっと、で、この人は、何だっけ?どんな役目?」と、何度も立ち止まってしまっては、やはりよくわからず読み進め、そんなことを繰り返しているうちに読み終わってしまった感じ。

    夢に囚われて現実世界に魂が戻ってこない。そんな世界を描いているという捉え方は端的に言い過ぎだろうか。タンダは、夢の世界に囚われた魂を救うため、自らそこに入っていくが、罠にはまり・・・というところから物語は大きく動く。
    一ノ妃の、子を失った胸をえぐられるような哀しみ、そこから夢の世界に囚われ、もう現実には戻りたくないという思い、そして他の誰かをも巻き添えにしようという画策。現実では、きっとどうにかコントロールできている哀しみ、憎しみ、妬みに歯止めがきかなくなる夢の世界に、想像力がついていかないながらも、わかるなぁ、「生きる」って時に辛いよなぁ、と共感を覚えた。

    タンダとバルサのつながり、チャグムとの再会には心が温まった。3人(とトロガイ師)の絆はお互いを支える大事な大事なものになったのだなぁ。

  • シリーズ、二と三 一気読み。
    『花』に囚われた、一の后、タンガ、そして
    チャグム。
    あれから成長をみせたチャグムの皇太子としての
    生き様も頼もしい。
    バルサの苦悩も闘いもまだまだ続く。
     

  • (2014年10月21日 再読)


    トロガイの過去とも深くかかわる、夢に囚われる不思議な花のお話。
    タンダが命を懸けて頑張ります。
    バルサとタンダの口には出さないお互いを想う気持ちがいいよね。
    チャグムとの束の間の再会もあり、彼の成長が感じられる部分もあり、これからだねー。

  • 異世界の人の夢を食べる花に囚われてしまったタンダの姪っ子カヤ。そして同じ様に眠り続ける一の妃。
    カヤを救うために魂のみとなって花の世界に入ったタンダは、騙されて化け物となり、自分の体が傷つくのも構わず、リー・トゥ・ルエン<木霊の想い人>の歌い手ユグノを襲い続ける。

    今回もおもしろかったけど、前作2つの方が良かった。
    気まぐれなユグノがどうしても好きになれないのと、花の世界観がいまいちつかみきれなかった。
    チャグムとの再会は嬉しかったけど、一気に賢く理知溢れる性格になってしまっていてちょっとさみしい。
    でも、シュガとチャグムのやり取りや王宮の描写はかなり面白かったし、タンダの性格やトロガイ師の過去も良かった。
    今回はバルサの影が薄くて残念!

  • チャグムがゆめに閉じ込められてしまったりいつもバルサが活躍していたがこの本ではタンダが活躍していてナユグの事も沢山しれて色んなことがあきらかになってドキドキしました。

  • 神の守り人まで読んで、今のところ一番すきだな。

    「すぐに役にたたないものが、無駄なものとはかぎらんよってね。」
    追い詰められたり、急かされたりしているときは
    遠回りする余裕がなくなるけれど、思わぬところでつながったりするものな。

    生きる理由を必要とするようになったのに理由ってあるんだろうか?
    きっと偶々そういう風に作られて、うまく適用できたから生き残っているだけなんだろうけれど。喜びや強さも生まれるけれど辛さやどうしようもなさも生み出すよな。

    はずれ者は、気楽なかわりに、ささえてくれる手もない。
    いつか来るかもしれない何かに備えて人の輪に属しておくべきなのか
    そうせず強く生きられるといいんだけれどな。

    泣くために泣く、憎しみや悲しみが晒されはじめたのを恥じることはない
    怒るために怒るみたいなことってある。それを手放してしまうことが
    過去の自分だったり出来事に対してよくない事のように感じてしまうことが。

    夢を逃げ道にできるような人生をわたしは送ってこなかった、
    バルサが言うからとても重いけれど、そこまで重い人生を生きていなくても
    何だか夢に/もしに逃避できない人がいると思う。
    今とは違う楽しい幸せな未来を思い描けないような。

    チャグムたくましくなっているな。

  • 呪術師トロガイとタンダの呪術師になった経緯がよくわかった!
    チャグムとバルサが久々に会えた場面が個人的には1番感動した。

  • 2021.01.01.読了

    守り人シリーズ第3弾
    トロガイとタンダの話

  • 守り人シリーズ。
    今回はバルサの盟友であり同志であり、思い人でもあるタンダとその師匠のトロガイの物語。
    夢の世界に閉じ込められた、様々な思いを解放するための戦い。
    闇と光は、湖に移る理想郷のように表裏一体、どちらが本物の思いなのか・・・と、思う。

  • 守り人シリーズ3冊目。

    トロガイ師の過去に迫ります。
    最初名前が出て来た時に男性だと思っていた自分が懐かしい。
    チャグムやシュガ、帝の隠密部隊も登場し、一作目好きな方には嬉しかったと思う。

    花や花の守り人を主軸にしつつ、裏テーマは恋愛だと思っている。

    個人的にはバルサとタンダの恋愛(?)の行方がとても気になる!!
    バルサがより自覚したって事で進展あるのかな?

    そしてバルサの『ガキの頃は不幸を呪っていたけれど、幸福を認める気になったのはこんな年になってからだ』ってセリフがささる!
    あんなに強くて格好良いバルサも色々な人や戦いを経て、情緒面でまだ成長(?)していくんだなぁ…って。バルサ可愛い。

    トロガイ師が最後にタンダやユグノに語る台詞がひたすらに優しい…。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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