流麗島署オカルト班事件簿 闇は道連れ 世は裁け (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040746814

作品紹介・あらすじ

 刑事、時和龍之介は霊が見える。
 硬派な見た目に反し怖がりなので決して認めないけれど、気づいた元上司にその能力を買われ異動の辞令が下りる。
 配属先は流麗島特別オカルト捜査班。離島にある、科学捜査では解明できない事件専門の、公にはできない部署だ。
 時和は引っ越し早々心霊絡みの事件に巻き込まれ、伝承に詳しいという准教授、樹神彗を紹介される。
 樹神の冷たく整った風貌と飄々とした人柄に時和は翻弄されるけれど、その助言は的確で……強がり刑事と変わり者准教授の謎解き事件簿、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 離島なのに殺人事件多いな……正確には人が不審死するケースか。
    「立証できる」殺人事件は結局一件だけ。
    他は実は亡くなっていたとか、自殺もあったので。
    実に様々なケースを見た気がする。

    幽霊だったり予知夢だったり占いだったりで事件の真相を突き止めていくお話。
    相棒は人類学の准教授。
    彼もまた後程どんな力を持っているのかが明らかになる。

    超常的な力で解決していく一方で、事件の真相自体は現実的。
    と思っていたら、最後の最後に出てきた事件だけは、現実的な解決が不可能。
    てっきり解決にのみ力を使って、全部実現可能なトリックで済ます推理ものかと思いきや、振り切ったなあ。
    この島、一筋縄ではいかない模様。
    それはそうか、わざわざオカルト捜査班が作られるくらいだもの。
    この島で生きていくのは、色々な意味で大変そうだ……

  • 赴任した先は、普通ではない部署だった。

    不思議なものによって解決をする、という
    すごい状態の捜査班です。
    島、というのもあってか、人が死んでいても
    のんびり、とした感じです。

    准教授は変人…とまではいかないですが
    妙に変な人(笑)
    連続短編なので読みやすいですし、明後日方向の
    准教授の思考回路も面白いw
    しかし、他の人の能力から考えると
    主人公の霊を視る能力が普通のような…??w

  • オカルト事件を美形だけど変わってる助教授と
    幽霊が見えるくせにオカルト大嫌いな刑事が
    島でおこるオカルト事件に挑む連作短編集。
    刑事さんは後に助教授の豪邸に居候する。
    この設定が好きなら楽しい作品だとおもう。

  • 表紙の2人の見た目と中身の違いが意外性ありました
    霊視出来てしまう怖がり刑事と文化人類学准教授によるライトミステリ

    特に四話目が土着信仰色が強く絡んだ事件だったので面白かったです

  • バディもの。島の中でこんなに人が頻繁に死んでて大丈夫??と思わなくもない。
    中学生のお話はやるせなさすぎてしんどい。

  • 時和は、幽霊が視えるが彼らが恐ろしく、関わりたくないと思っていた。しかし、視える能力を買われ怪奇事件を解決する課に配属されてしまう。そして、その先で大学教授、樹神に出会い彼の日常は全く異なった方向へと進んでいく。

    ***

    堅物そうな見た目とは裏腹に、幽霊が視えてそれが恐ろしい刑事、時和とつかみどころのない雰囲気を醸し出す大学教授、樹神が不可解な事件を解決していくバディもの。キャラ文庫なのでどちらもかなりキャラが立っており、漫画を読んでいるような感覚で読んでいける一冊。
    本庁に勤務していた時和だが、異動を命じられる。新たな勤務先は流麗島。島の名前は綺麗であるが、由来は罪人や陰陽師などの術者を島流しにした際の行き先だったことからきている。土地には、流されたものの恨みなどが遺されており、その所為か、昔から奇妙な事件が起こりやすい島だといわれていた。異動先にいた元上司には幽霊が視えることがばれておりその能力を買われ特別オカルト捜査班というものに配属されてしまう。タロット占いや予知能力もちの同僚に囲まれ、これから起こるであろう出来事に頭を抱えていた時和。
    極めつけに、事件が行き詰った際の助言役である大学教授の樹神の登場で、時和の、なるべく幽霊にかかわらない生き方は次第に困難になっていく。 島という閉鎖的な空間で巻き起こる数々の怪奇事件。時には猟奇的な側面を見せるそれらは、静かな海に囲まれた離島で起るにしては少々血なまぐさい。それもこれも土地に根付くものの所為だろうか。 第一章読んだ後ぐらいは、ちょっと感動系の展開だったので今後もこんな感じかなと油断して読んでいた。そのあとの第二章から不穏な空気が漂い始め、第三章、第四章は人間臭さを孕んだ気持ち悪さが漂う話だった。人怖いという話はないが、事件の当事者、あるいは被害者が恨みや身勝手な感情を爆発させた果ての結末に息をのむ。

    第三章の「嗤う少女」は廃墟で見つかった少女の遺体。状況から自殺であると考えられるが、体の周りに撒かれた樹木の葉っぱの所為で捜査は難航していく。霊視で事件の手がかりをつかもうとする時和であったが、少女の異様な最期に戦慄する。調べれば調べるほど異常な状況の事件に辟易しつつも操作を進めていく捜査陣と樹神であったが、その先にある辛くも悲しい現実に直面する。 この話は人間の醜さに蹂躙された少女がひたすらにかわいそうだった。被害者ともいうべき女子高生の不憫さに胸が苦しい思いだった。とっくの昔にちぐはぐになっていた家族。その中で生きなければいけなかった少女。最後の心のよりどころが、よりどころでなかったという衝撃の事実を知り、すべてを恨んだ少女。よくこういう感じの話をボタンの掛け違えっていうけど、そういう表現じゃ生ぬるいかもしれない。

    少女の家庭がそうでなければ起こりえなかった悲劇。というか、この少女の両親の倫理観かなりおかしい。どういう人生送ってたらこうなるんだろ。大人になって変な見栄をこじらすと人の人生も台無しにするといういい例な気がする。それに巻き込まれた少女はかわいそうすぎるけど。少女が最後に何を思いながら、やり遂げたかを考えるとやるせない気持ちになってしまう。この少女をここまで追い詰めた両親に天罰あれ。 この物語はシリーズ化するのかな?時和の過去、樹神の過去などキャラの立っている登場人物たちの過去がちょっと気になる。

    特に時和にとって幽霊が怖い存在となった理由が知りたい。話の中に出てくる風習など知らない風習が数多く出てきたので、それもかなり面白かった。続刊が出ることを期待したい。

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著者プロフィール

須垣りつ
7月25日生まれ しし座 東京都在住
第2回招き猫文庫時代小説新人賞優秀賞受賞。
カバーイラストの招き猫耳黒さんがあまりにも可愛くて、思わず手を合わせてしまっています。

「2020年 『地獄谷の陰陽師に、デリバリーはじめました~さくさくコロッケと猫のもののけ~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

須垣りつの作品

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