都合のいい地雷系彼女とカラダだけの関係を (ファンタジア文庫)
- KADOKAWA (2023年8月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040750989
作品紹介・あらすじ
「その気になったら襲ってくれていいからね?」見た目、地雷系。ネトゲで知り合い、初対面で下着姿のまま一緒にゲームをした美少女リヨン。いつでも会えるのに、本名も知らない。そんな関係がなぜか心地よくて――。
感想・レビュー・書評
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【Bookwalker】『地雷系彼女だからといって"地雷女"と思った?』背徳感漂う標題と扇情的なプロローグから、どんなドキドキの物語が展開されるかと思っていたら、純愛作品でした。メインヒロインのリヨンは見た目こそ『地雷系』ですが純粋で、主人公のアキも奥手だけど誠実であることから、両片思い系の純情ラブコメ的なテイストがあって良いですね。一方、後輩・妹的サブヒロインが肉食系なのが物語にアクセントを添えていているのも楽しく感じます。彼らの関係がどうなっていくのか、続きを楽しみにしています。
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昨今サブカル界隈で著しく流行しているヒロイン像がある。"地雷系"である。
地雷系とはいったいどういう人たちのことを指すのか。明確な定義が存在するわけではなく、巷間の囁きがいつしかひとつのモデルとして確立したものであろう。
承認欲求が強く、束縛がきつい、精神的に不安定な少女というのが大体言われるところであろう。更にはこういった傾向を持つ少女たちが好む傾向にあるファッション(という偏見?)というものも存在し、既に記号化が為されている。
本作は地雷系と呼ばれる少女達が登場するが、概ねそれはファッションに於いてである。精神面については必ずしも地雷系というわけではなく、已むに已まれぬ事情から特異なファッションに身を包んでいるケースもある。
『見た目地雷系の女子高生を甘やかしたら?』『地雷なんですか?地原さん』等等地雷系少女をヒロインとする小説・漫画等のサブカルチャーは枚挙に遑が無いものの、本作含めこれらはファッション面の占める比重が大きく、内面に就いては地雷系特有のシリアスさは(程度の差はあるものの)マイルドに表現されている。
地雷系を謳いつつも娯楽として気楽に楽しめる作品群だと言えるだろう。
自分の知る限りシリアスな地雷系作品を挙げるならば矢張り『NEEDY GIRL OVERDOSE』であろうか。CERO指定Dということもあって過激でシリアスな描写が生々しいゲーム作品だ。
原作者のにゃるら氏には『承認欲求女子図鑑』なる著作が存在する。自傷やパパ活、SNSへの過激な自撮りの投稿、薬のODなどが辞められない女性の方々に実際にインタビューをしてみたという他に類を見ないトチ狂った企画である。此方の取材によるリアルな女性像がヒロインに投影されているように思われる。
SNS全盛の現代に在って地雷系とは、承認欲求という現代の病理が産んだ新しいヒロイン像なのかも知れない。