時代劇入門 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 188
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040822631

作品紹介・あらすじ

「ワンパターンの勧善懲悪は一部に過ぎない」「異世界ファンタジーのように楽しむ」「専門用語は調べなくてよい」……知識ゼロから時代劇を楽しむための入門書。歴史、名優、監督、ヒーローほか、一冊で重要なキーワードとジャンルの全体像がわかる!


【目次】
第一部 時代劇への接し方
ガイダンス~気軽に楽しむための「なんとなく」と「とりあえず」/時代劇ってなに?

第二部 時代劇の歩み
戦前の時代劇/戦後の時代劇/映画の衰退、テレビの登場/パターン化とジャンルの衰退

第三部 とりあえず知っておきたい基礎知識
主なジャンルとヒーロー/時代劇ヒーロー30 /スター30 /監督10 /原作者10

第四部 もう少しだけ掘り下げておきたい重要なテーマ
「忠臣蔵」超入門/忍者の変遷/大河ドラマの楽しみ方

第五部 チャンバラの愉しみ
殺陣はプロレスである! /ラブシーンとしての決闘/殺陣の入門編としてのガンダム

特別インタビュー:富野由悠季監督が語るチャンバラ演出の極意         ほか

感想・レビュー・書評

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  • 時代劇研究家の春日太一さんによる時代劇を気軽に見てもらえるようになるための入門書的新書。
    とはいえ、時代劇とは何か?からスター、監督、見るべき映画、ドラマから分類など、項目は多岐にわたる。しかし、説明方法はちょっとした人名などは、あとで説明することにして、まずは単語とみなして読み進めるようにして、平易に進められるようにしたり、おすすめも名作だけでなく、見知った俳優が出てくるものを紹介するなど、まず、時代劇に触れてもらおうというスタンスで進められるので、読みやすい。決闘シーンをプロレスの流れや恋愛に置き換えるなど、趣味やこれまでの著作からの引き出しで興味を持たせる書き方もおもしろい。他著作でも述べているなぜ衰退していったのか、現状も描いている。
    自分は子供時代の時代劇に触れた経験が、必殺シリーズからなので、春日さんの書いている時代劇の持つ現代風刺的なところなどは、親しんでる方かなと思っているが、改めて裾野の広さを感じることができた。
    何より役者や作品の観点で、興味をそそるものが出てきたのがよい。説明のうまさや興味を引き出す書きっぷりは、やはりさすがである。各役者の特徴を読むと、過去に見たシーンを思い出さずにはいられないし、スターの歴史が途切れているのも感じてしまう。
    そして巻末のガンダムと殺陣、富野由悠季インタビューは、ガンダム世代としては、まさに目から鱗で、ガンダムとグフの殺陣のシーンなど詳細解説を元に思い出すとなるほどと膝を打ってしまう。インタビューは、相変わらずの富野節ながら、春日さんの視点を楽しんでいる風にもあり、また表現の考え方は、唸らせるものがあった。刀の重さを感じさせる殺陣を重要としながら、アニメでは描けないから、劇が必要など考えさせる点が多かった。
    改めて時代劇の面白さに触れられたと思うが、やはり実際に見ないことにはですね。

  • 「時代劇」と聞くと、『水戸黄門』などの特定の時代劇作品を思い浮かべてしまうが、時代劇はそれだけではない。
    時代劇の流れと、初心者向けに、作品、登場人物をカテゴリ整理したわかりやすい入門書。
    数多い時代劇作品の見所も記載してくれている。

  • ◎面白い。時代劇のよさがわかります。年々年をとると、時代劇のパターンがいい。ドクターXも同じ感じかなあ。

  • 時代劇ファンだが、本作で時代劇の見方がだいぶ変わった。時代劇の王道である水戸黄門が、実は時代劇の歴史で見たら亜流であるということは目からウロコ。
    時代劇の入門書としては最適。

  • ・この手の本で、オススメされてる作品はやっぱり観たくなる。特に『座頭市』シリーズはほぼ未見なので、観てみたい。一方で「あれが成功していたら……」という近年の作品評も面白い。
    ・富野由悠季インタビューも読みどころ。富野由悠季のインタビューはいつも微妙に期待してるポイントを外してくる。そこがまた面白い。
    ・改めて、自分が好きだった時代劇。父や祖父の付き合いではなく、自分で積極的に観てた作品を並べると、『三匹が斬る』『必殺仕事人』『大江戸捜査網』とチームヒーローばかり。映画でも『七人の侍』や『十三人の刺客』も好き。「赤穂浪士」「里見八犬伝」「真田十勇士」も好き。僕はチームヒーローが好きなんだと改めて気付いた。

  • 【概略】
     時代劇は難しくない。勧善懲悪のパターンだけではなく、異世界・SFファンタジーという見方、楽しみ方を本書を通じて楽しむ。

    2022年07月23日 読了
    【書評】
     仕事の関係でご縁が強くなっている「歴史」、その歴史の一部をエンターテイメントとして具現化している時代劇。その楽しみ方、その一片に触れることができるということで、手に取ってみた。
     時代劇に興味のない方達に時代劇を楽しんでもらいたいという目的があったとしたならば、ちょっと弱いかなぁ~とは感じたかな。自分のマネージャーは、その話しぶりから時代劇には興味がない状態で。そのマネージャーを念頭に置きながら読み進んでも、「うーん、これで彼女は『時代劇を観よう!』という気になるかな」という感覚だったね。
     純粋に読み手・喜餅としての感想としては、興味深く読ませてもらったかな。とりわけ忠臣蔵の概略を知るうえではありがたかった。神田伯山師匠の講談でもよく取り上げられる(出会う機会がある)忠臣蔵、やはり知っているのと知っていないのとでは楽しみ方が全く違う、深さが全く変わってくる。それはありがたいね。
     先程の「時代劇に興味のない・・・」部分を、「英語落語」に置き換えた場合、自分の中でも切り口を増やしていく必要があるなと思った。たとえば忠臣蔵をなんとかして現代の、たとえばサラリーマンの世界に置き換えた形で紐解いてみるといったもの。本質を抽出して、別の媒体に込める、こういったことができるようになれば、自身の英語落語・スピーチの幅が広がるだろうなぁと思ったね。 

  • ラジオで話した際の資料でももとにしているから、話し言葉なのかな。本当の初心者がこの本を手に取るのだろうか?

  •  時代劇をその歴史にふれながら紹介していくことで時代劇とは何かがすんなりと入ってくる。『水戸黄門』のような勧善懲悪ものはむしろ時代劇の歴史の中ではマンネリ回帰だったのだ(それが大当たりしてしまった)。実際の時代劇はとても多様なのだ。
     さらに役者や監督、人物ごとの紹介もあり、データベース的な価値も大きい。
     
     時代劇を食わず嫌いする前にぜひ読んでほしい一冊。

  • 面白かったな。

    時代劇って、こんなに面白い。
    水戸黄門や、暴れん坊将軍は時代劇のスタンダードではない。

    昔、江戸の貴とか好きやったからわかるけど。

    改めて見ると、きっと面白いんだ。
    ただ、そのためには、これはファンタジーだと思えないとダメ。思わせるのも、腕だろう。
    時代考証について、かなり否定的で、そんなこと気にしないで楽しもうよというのもわかるが、そういうことが気になるのは悪いことか。

    そうではない。

    その部分、で、ファンタジーは今や、時代劇である必要もない、大概。アニメでそれは担われているのだ。

    時代劇は面白い。

    それはいい。

    だが、必要かといえば、必要とされtない。
    俺自身は、日本人として、日本の映画はアニメと時代劇でいいと思ってるので辛いんだけどな。

  • 終章のガンダムの話がとても面白かった。

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著者プロフィール

映画史・時代劇研究家。1977年東京都生まれ。日本大学大学院博士後期課程修了。映画界を彩った俳優とスタッフたちのインタビューをライフワークにしている。著書に『時代劇聖地巡礼』(ミシマ社)、『天才 勝新太郎』(文春新書)、『ドラマ「鬼平犯科帳」ができるまで』(文春文庫)、『すべての道は役者に通ず』(小学館)、『時代劇は死なず! 完全版』(河出文庫)、『大河ドラマの黄金時代』(NHK出版新書)、『忠臣蔵入門 映像で読み解く物語の魅力』(角川新書)など多数。

「2023年 『時代劇聖地巡礼 関西ディープ編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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