- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040823393
作品紹介・あらすじ
デジタルトランスフォーメーション、略して「DX」。現在および近未来のネットインフラを活用した高効率化だ。特に日本は少子高齢化で、人手や税金の不足を補うためにも必要不可欠である。しかし正しく理解し実践されているケースは稀だ。DXを推し進めるために必要なことは何か。世界に先駆けるコンピュータ学者が提言する。
感想・レビュー・書評
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機会があり著者・坂村健先生のお話を聞くことがあった。
工学博士としては勿論、とても引き込まれるお話で是非とも著作を手に取ってみたいと思いあまり馴染みのない世界に足を踏み入れてみました。
なかなか聞きなれない単語もありながらも、解りやすい解説でボンヤリながら情報の世界の入り口が見えたような気がする。
DXが進まないのは、日本人の国民性も大きいのだということは根本的な所での躓きでこの国では世代交代が進まない限り抵抗が大きいのでは・・・。だいたい、国会があんなに密で行われているようではこの議論は国主体では絶対に進まないだろう。折角のデジタル庁が上手く進められることをきたいしよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
DXの解説から掘り下げ、新型コロナ渦における事例も引きながら、何故、DXが進まないかまで考察する。技術ではなく、考え方や制度の問題だと。例えば、台湾はオードリータンが仕組みを作り、マスクの転売を防ぎ、必要な数を国民に配分した。しかし、同じ仕組みを適用しようとも、日本は国民がマイナンバーカードなどのデジタルツールの活用が普及していない。これは国民の意識の問題だと言う。また、DX化の人減らしの側面は、労働組合とも衝突しかねない。この本では、綺麗事ではないDX化における「リアル」が語られている。
だからこそ、破壊を伴う革命、革新の精神で臨まなければならないという事。必要なのは意識、覚悟か。 -
企業のDX推進の勘所を知りたくて読み出したが、内容は社会全般の意識に関することだった、が、非常に面白かった。
技術や知見やインフラはオープンにすることで威力を発揮する(道路交通網もインターネットもGitHubも)こと、行政も企業も個人もクレンジングされた良質なデータを適切に提供し利用し合うことで社会がより便利になること、そのためには「絶対安全」の思い込み(100%の安全が本来あるべき姿で、リスクがあるのは誰かのミスであるという思想)から安全度もスペックの一つであるとする「機能安全」の思想への転換とセキュリティと利便性の適切なバランス感覚を社会全体で持つことが重要であること、「正しさ」もまた確率的なものでありディープラーニングによってコンピュータの世界でもベイズ理論に基づく判断ができるようになったことでAIが発展したこと、など、非常に勉強になった。
筆が走りまくって、コロナ禍に関する国民やマスコミの無理解ヘの批判が展開される章も、読み物として楽しめた。 -
「TORON」の開発者の人のDX論
単に企業の組織論に終始せず、「新しいものを恐れる」日本の抱える足枷についても掘り下げてあって読み応えがあった
1番最初にRPAはDXではなく制度改革こそが本質と言い切るところに小気味のよさを感じる
オープンデータ、アジャイルといったエンジニアにはお馴染みの話題から、「正しさ」とはデジタルではなくアナログな指標といった哲学的な話題まで隙なく揃えている印象 -
この本から14年くらい前に書かれた「変われる国、日本へ」という、坂村健の本を読んだ時にも感じたことだが、なぜ日本は自ら変われないのだろう?大切なことを先送りし、無駄なことをいつまでも続けている。ウチの会社もそんな感じだし、一部の優秀な会社を除いて恐らく殆どの会社がこの国と同じような閉塞感の中から抜け出せない状況なのだろう。とても勉強になる。自分が変わらないと。
■RPAはDXではない
■オープンという考え方
■程度の問題
■インターネットはユーザーも含め、関係者間で問題が
ないように最大限の努力をすることで成り立っている。
→諦観をベースとするベストエフォート型 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/778057 -
336.17||Sa
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DXについてざっくり知りたくて連れてきた本。そもそも何かがわからないのに、仕事でこれに関わる必要が出てきたため。DXとは何かについては記述は十分。ただ、これについては本の半分以下の紙数で十分なため、後半以降は関係ないことの羅列が目立った。坂村さんはトロンの開発で知られる、コンピュータ科学の人。このため、この分野に興味ある人は後半部分も楽しめるか。半分以上の内容がタイトルとずれていたため星2つにしたものの、DXについて必要な情報はあるので、ざっくり知りたい人にはおすすめ。内容も平易で理解しやすい。
以下、Twitter。
https://twitter.com/htyanaka/status/1657226706883674112?s=46&t=0gP_965LypERIQ-wy6elTA
読了本。坂村健「DXとは何か 意識改革からニューノーマルへ (角川新書)」 https://amzn.to/3NROLJo DXについて業務上知る必要が出てきて、そもそもなぁに?が知りたくて読んだ本。そもそもなぁには理解できた。ただ、後半はDXと関係ない著者の気ままな文が続いてテーマとは違う内容 #hrp #book #2023b -
● DXの当初の意味は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と言うものだった。
●RPA (ルーチンワークを自動化させる) = DXではない。その作業自体がそもそも必要なのかそこから考え直すのがDX。
●API。自分のプログラムに、他人の作ったシステムの機能を取り込むことができるようになる。グルメサイトの地図は多くの場合Google マップが使われている。
●オープンソースとして公開することにより、進化が加速する。
●データは隠すものではなく、社会のために積極的に使うものとして、皆の認識を変えていくことが大事。
●クラウドに対する過度の不信感のように、科学技術に関するトレードオフを理解し「正しく恐れる」事は難しい。IPS細胞や原発の事故など。
●人工ニューロンを作ろうとして考えられたのがパーセプトロン。
●インターネットは関係者間で問題がないように最大限の努力をすることで成り立っている(ベストエフォート)逆に、管理の考え方として対極にあるのが誰かが全体に責任を持ってくれてお任せ保証してくれるシステム(ギャランティー)
●フィンランドは2009年頃に、ブロードバンドのアクセスを国民の権利として法律で保障すると言う宣言を発表した。 -
「DX」日経新聞には毎日のようにこの言葉が載っているといっても過言ではないほど頻繁に目にするようになった。「デジタルトランスフォーメンション」の略だが、「え?じゃ、どうして”DT”じゃないの?」という素朴な疑問をもった私に、本書は回答を提示してくれた。スッキリ。さらに、DXは手段ではあり、目的ではないこと。やり方を変えるのは技術力ではなく、我々の意識改革であり、変える「勇気」であること。第1章から「勇気」が沸いてくる構成だ。
印象に残ったのは第5章のオープンの哲学。100%の安全を大前提としてしまう日本人気質に警鐘を鳴らしている。高品質を得意とする日本の技術力に対し、プロセス認証に基づく機能安全を主流とする欧米が”反撃”という構造。なるほど。安全に対する認識も大きく変わった。