黄金の王 白銀の王 (角川文庫)

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著者 : 沢村凜
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000106

作品紹介

二人は仇同士であった。二人は義兄弟であった。そして、二人は囚われの王と統べる王であった-。翠の国は百数十年、鳳穐と旺厦という二つの氏族が覇権を争い、現在は鳳穐の頭領・〓(ひづち)が治めていた。ある日、〓(ひづち)は幽閉してきた旺厦の頭領・薫衣と対面する。生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられた二人の王。彼らが選んだのは最も困難な道、「共闘」だった。日本ファンタジーの最高峰作品。

黄金の王 白銀の王 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 敵対する一族の頭領が密かに手を結び国の安泰のために力を尽くす。かたや国の王としてかたや囚われの身として。名を捨て人に指差されも恥とせず成すことを成すために生きる。その生き様が瑞々しい筆致で描かれています。架空歴史物語が好きな身としては堪らなく面白かったです。魅力的な人物が自分の生きる道を見つけて突き進む姿は素敵です。
    二人の頭首の葛藤をはらんだ関係が面白いです。初めは先祖伝来の仇敵として出逢い、統べる者と囚われの者としての関係、婚姻による義兄弟としての関係、お互いの力を認め合う関係、時代とともに移り行く関係。しかし相対する一族の頭首としての関係を貫いているため、緊張感に満ちた関係でもあります。だからこそお互いに認め合い手に手を取って国を治めていくのかと思った先に待つ展開に驚かされました。いやあ、面白い。

  • 翠の国という小さな島で元をたどれば同じ祖先を持つ、鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)というふたつの氏族のお話。

    見開きすぐに地図があったので期待に胸ふくらませたのですが、架空の国というだけで内容はほぼ氏族争いで。ファンタジー色も薄くちょっと拍子抜けしました。地図いらない。

    長年の因縁に終止符を打つべく、鳳穐の頭領、穭(ひづち)が幽閉中の旺廈の頭領、薫衣(くのえ)に共闘を提案するところからお話が始まりますが、そのために犠牲になるのは薫衣ばかり。

    15歳であの決断ができたことにも驚きでしたが、表向きは鳳穐の天下のまま。
    なので薫衣は鳳穐の民にも旺廈の民にも理解されず、卑下され酷い仕打ちを受けます。それを耐え続ける姿がもう切なくて。

    解説にもありましたが、普通この展開なら、そしてこの薫衣ならば、かならず逆転の機会があるんだろう思ったいたので、あの結末には衝撃を受けました。

    あとは穭の妹、稲積(にお)も素敵だったな。

    前半は読みづらさも感じましたが結果的には楽しめたので、ファンタジー好きなら一読する価値はあるかと思います。

  • ファンタジーといっても、想像していたものとは違って、シリアスで淡々としたものだった。

    2人の王の心情もさることながら、目指す未来に立ちはだかる家臣の暗殺、さらには何もしていないのに身代わりとして罪を着せられ処刑される名前すらない人々の存在も重い。
    けっこう分厚い文庫なのに、肝心なこの国の行く末は最後のたった2行に込められていた。それがまた印象に残った。
    語ればこれだけの厚みになり、語らなければ2行で収まる。
    歴史っていうのは怖いなぁ。。

    最近ラブコメを読んでいたので、「なんか良い本読んだなぁ!」な気分です( ̄▽ ̄)

  • “異色”という点を強調した架空の歴史ファンタジー。
    序盤の読みにくさはガマンが必要w
    そこを耐えて、中盤まで行けば、アトは一気読み出来るんじゃないかと♪ 特に海の向こうから侵略してくる大国の巨大軍船が襲来する辺りからは怒涛の展開なので、性別を問わず入り込めそう。ただ、やっぱりそこに至るまでは辛抱強さが要求される気がww

    タイトルが示す通り、2人の対照的な王 (元は同じ王家の血を引く一族の頭領にして、それぞれの一族の人間にとって絶対的な上位の存在) の立場、存在意義、生き様がメイン。
    どちらかの一族が国の絶対権力者・為政者となり、もう片方はそれを奪い返すことにのみ一族の命運をかける内乱状態が永く続いている中、現段階で玉座に就いている若い王は、過去誰も試みたことの無い決断を下す。それにはもう1人の王の存在・協力が絶対に欠かせない。本来なら殺さなければならない敵である、もう1人の王。
    それぞれの王は、果たして立場が逆転していても、実際と同じ行動・思考を持ち得ただろうか? 鏡に映したように表裏一体にも見えるし、不倶戴天の敵同士にも見える2人の若者が辿る運命。そのドラマが、この手のジャンルには珍しく合戦などのスペクタルがほとんどない(迫力ある大きな戦、戦略・戦術を駆使するようなシーンは実際には1つだけ、とも言えるほど)にも関わらず、飽きさせずに最後まで読者を惹き付ける♪

    残念な点があるとすれば、表紙がどうにも内容とミスマッチに思えてならないことw 男性読者は手に取りづらいんじゃないかと (私は手にしましたがw) 女性読者向けにしたかったんでしょうが、内容を考えて、もうちょっと何とかならなかったのか?という気がしてしまいますw

    この手のジャンルにありがちな、何年もかけて何冊も発行するシリーズ化を念頭におかず、1冊でキレイに完結させているところもウレシイ♪
    できることなら、ですが  続編はナシで (続編を書くくらいなら、まったく別の新作を読みたい♪) キレイなこのままの形での完結を望みたいです♪

  • この物語、ファンタジー小説ではあるが、それらしい劇的なことは、実はそれほど起こらない。
    が、
    いやあ、まあ面白い。

    この物語のテーマは、「共闘」だと思う。

    共闘というワードから結びつけやすいのは「外敵」で、
    事実冒頭では海向こうの大国の脅威が語られるが、その脅威はなんと物語前半で解消してしまう。

    もちろんその後も揉め事、厄介ごとは物語のなかで絶えず起こっているのだが、しかしこうしたファンタジーとしては、基本的にはこの世界はきわめて平和だ。
    にも関わらず、引きつけられる面白さがこの物語にはある。

    秀逸なのが、主人公である二人の王の描き方。ともに英邁でありながら、タイプの異なるふたりの王。とくに、主な視点役である櫓が、もうひとりの王である薫衣の才を認めながらも畏れ、時には憎みながらも認めていく様子は、北方三国志の劉備に対する曹操を彷彿とさせるものがある。

    そしてこの二人がときに反目しながらも認め合い、並び立つ様には、物語によくあるライバル構造をみて思う感情 ―このふたりが手を組んだらどうなるんだろう― を満足させてくれる。

    歴史に裏打ちされた変えがたい人の心、政治的なしがらみ、そうしたものに少しずつ、粘り強く立ち向かう「共闘するライバル」の姿が、この小説の魅力の核ではなかろうか。

    そして、きっとそれを描くために、架空の世界を舞台に選んだのだろう。


    「空想世界ならではの魅力」を打ち出した小説ももちろん大好きだが、ファンタジーにはこんな活かし方もあるのだ。
    剣と魔法と中二病だけがファンタジーじゃないぜ。


    そして衝撃的ながらもどこか淡々と静かなラスト。

    断言しよう。帯と背表紙に書いてある、
    「国内最高峰ファンタジー」
    のアオリ文句は誇大広告ではない。

  • 「十二国記」を彷彿とさせる東洋風の世界観のファンタジー小説。雰囲気だけでなく、クオリティにおいても劣らぬ、すばらしい作品だと思います。

    鳳穐(ほうしゅう)と旺厦(おうか)という二部族が常に争いを続けてきた翠という国を舞台に、その骨肉の争いに終止符を打つべく動くそれぞれの部族の頭領、穭(ひづち)と薫衣(くのえ)が主人公。しかし、実際のパレスチナ問題にも似たその状況を変えることは、想像を絶するほど困難なもの。

    長い年月をかけて人々の中に積み重ねられた憎しみは非常に根深いため、内紛の火種を常に抱えているような状況。それに加えて他国からの侵略、偏った歴史観に根ざした歪んだ教育など、異世界ながら現実世界と変わらぬ課題・問題点があり、多くのことを考えさせられました。

    そして、その解決の為に苦心・苦悩する主人公たちにあっという間に感情移入させられたためか、感動もひとしお。本来は政略結婚だったはずなのに心から慕い合う薫衣と穭の妹。そして複雑な境遇の元に生まれながらも、屈託なく真っすぐ成長する彼らの息子、鶲(ひたき)。そして、なによりも大義の為に凄絶な覚悟をもって行動する穭と薫衣の姿に、幾度となく感動させられました。

    何巻も続く大長編ではないのに、そうした小説に負けない重厚感とスケールの大きなストーリーに大満足。もっといろんな人に知ってほしいし、読んだ人たちと話題を共有したいと久々に思った大傑作でした。

  • ぶつかりあって勝敗をつけることだけが戦いではない。児童文学のようなイメージで読み始めましたが、これが良い意味での大外れ。大人にこそ読んでもらいたい、どっしりとした重みのあるファンタジーでした。憎み合う互いを潰し合うのではなく、一つにまとまろうとすることの、何と障害の多いことか。現在の日本と諸外国の関係をうっすらと思いながら、その困難さを思いました。派手な戦いや大仰な演出ではなく、裏からの手回しだとか暗殺のような地味な画策を丁寧に書いてあって、けれど説明的にはならず、胸を熱くさせる場面もしっかり存在し、架空の一国の行く末を見事に描き切った作品だと思います。いや、面白かった。

  • ただ一つの目標に向かって、様々な手段を講じながら突き進む、そのひたむきさに頭が下がります。
    主人公二人の距離も、最初はぶつかりながらもだんだんと同調し始め、後半は螺旋のようになっていきます。
    ラストの描写は、ある程度想定していたものの、「やはりそう来るのか、そう来ちゃうのか・・・!!」と心にずっしりときます。
    「信念」みたいなキーワードにビビっと来る人には必読です。

  • 淡々と話がすすんでいきます。利己にとらわれない施政者の姿が新鮮でした。美しい志。愛があるのが救いです。

  • 重厚な物語を読ませていただきました。
    二人の王はともには生きられない運命だったのか…。薫衣といい、穭といい、互いに国のことを思っていたのに…。
    1冊だけで終わるのは勿体ないような話だけれど、これは続けるのも難しいか。

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