夢のカルテ (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000786

作品紹介・あらすじ

銃撃事件に遭遇した麻生刑事は、毎夜の悪夢に苦しめられていた。心理療法を受けようとした彼は、来生夢衣というカウンセラーに出会う。若いが有能な彼女には、ある特殊な能力が秘められていた。他人の夢の中に入ることができたのだ。その能力を活かして患者の心を救おうとする夢衣と、凶悪犯罪に立ち向かう麻生。二人は次第に惹かれ合っていくが-幻想的な愛の中に四つの難事件を織り込んだ、感動のファンタジック・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 久々の高野和明さん!(共作やけど)
    夢分析か…
    フロイトとかユングとか言われても、精神の分野はさっぱりですわ…(−_−;)

    人の夢の中に入れるとかいうと、何かサイコダイバーシリーズを思い浮かべてしまうが、それほどバイオレンスしてないし、ドロドロしてない。

    夢衣さん、人の夢の中に入れるという特技で、心理カウンセラーしてる。まずは、刑事さんをカウンセリングして、不眠症を撃破。しかし、自身のハートも撃破。
    最後は、ハラハラしてミステリーするけど、途中は、2人の恋愛にイライラ…ええ大人が何してんねん!と思うけど、羨ましくもある。
    夢からとはいえ、人の心の中を読めるというのは、いいのか悪いのか悩みますな…
    分からんからこそ楽しいってのもあるしね。

  • 夢の中が現実に。カウンセラーの主体的な話。

  • 萩尾望都さんの『バルバラ異界』で、
    他人の夢に入り込む夢先案内人、という設定に夢中になった私。
    ブクログ仲間さんのレビューでこの『夢のカルテ』を見つけて
    これはもう、絶対に読まなくちゃ!と、早速借りてきました。

    雑居ビルの一室で、たったひとりでカウンセリングルームを営んでいる夢衣(ゆい)。
    毎夜、女性を襲う殺人鬼となった自分の夢を見る男性も訪れたりするのに
    かよわい女性ひとりっきりで大丈夫なの?と心配になってしまうのですが、
    彼女が他人の夢の中に入り込めると気付いたのは、なんと4歳の頃。
    女手ひとつで自分を育ててくれた母親と、少しでも長く一緒にいたかったから、
    というのがいじらしい。

    第一章『刑事の夢』で出会った健介と、さまざまな事件の謎を解きながら過去の傷を癒し、
    心を通わせていく物語なのだけれど
    愛する人の夢も覗き込める上に、心理学の素養もあるのだから
    彼の心をつかむのもさぞや簡単なのだろうと思ったら
    彼への恋愛感情は逆転移なのでは?とか
    彼が自分に寄せてくれる好意も、実は患者にありがちな陽性転移なのでは?とか
    カウンセラーならではの悩みの、なんと複雑なこと!

    映画やテレビの脚本を書かれていた高野さんらしく
    登場人物の輪郭がくっきりと際立っているので
    例によって脳内キャスティングが着々と進行したりして。
    夢の中を漂い、入り口となるポイントにすうっと身を滑り込ませる
    儚げな夢衣の姿を、ぜひ映像で見たくなる物語です。

    • まろんさん
      まっき~♪さん☆

      まっき~♪さんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューのおかげで
      手に取り、読むことができた本です。いつもありがと...
      まっき~♪さん☆

      まっき~♪さんはじめ、尊敬するブクログ仲間さんたちのレビューのおかげで
      手に取り、読むことができた本です。いつもありがとうございます♪

      そうそう、夢衣が夢の中に入り込むシーン、映像が浮かんでくるようで素敵でした。
      カウンセリングを進めるにつれ、
      夢衣が介入することで夢の風景が変わっていくのも、とてもおもしろくて。

      『バルバラ異界』、ちょっと背筋が凍るようなシーンもあるのですが
      夢先案内人とか、バルバラの雰囲気とかがとても素敵で
      読むたびに新しい発見がある本です。
      夢や精神分析やSFに造詣の深いまっき~♪さんに読んでいただけたら、
      萩尾さんファンの私としては、とてもうれしいです(*'-')フフ♪
      2013/05/01
  • 「ジェノサイド」に衝撃を受け「13階段」を読み、ますます高野和明さんファンになって手に取った3冊目。
     共著だからなのか、それとも恋愛要素が含まれているからなのか前出2冊とは違う雰囲気を持っていて新鮮だった。

     人の夢の中に入ることができるカウンセラーの主人公:夢衣(ゆい)が4人の患者の夢に入り込み、苦しむ心を救おうと奮闘する一方で、患者として出会ったもう1人の主人公:麻生刑事と互いに惹かれあう。
    湧き上がる恋愛感情に戸惑いながらも共に事件解決に立ち向かう2人。恋愛軸強めのサスペンス物語。

    4章のうち、個人的には特に【第2章:婚約者の夢】が切なくて、でも美しい物語で好き。

    4章通して夢衣と健介の恋愛が描かれており、普通の恋愛としてみたらモヤモヤする場面が多々あるが、元々がカウンセラーとクライアントの関係だったからこそ恋愛移転や過去の体験からくる影響などで判別が難しくもあるのは何となく理解できた。
    映画とかドラマになりそうな話で、お互いが過去の経験と向き合いながらも2人で前進していこうと決める想いと行動がステキ。

     

  • どのエピソードも面白かったですが、2つ目のお話しで少し潤っとさせられました。

    ファンタジーなミステリーで全体的に読みやすく、面白かったです。

    恋についてはカウンセラーとして自己分析しながら葛藤してるのがもどかしく...楽しめました(笑)

    高野さんの作品は久しぶりに読みましたが、どの作品も面白く、楽しめます。

  • 他人の夢の中に入れるという特殊な能力を持つ心理カウンセラーと刑事さんの恋愛ミステリー。

    心理カウンセラーとか精神科医とか心理学者とかってほんと大変だな。
    恋をするにも自分や相手の心の奥底を探ったり、なぜ相手に惹かれるのかなんてのを考えてしまうのだから。
    恋は理屈じゃないのに。
    それともそんなこと言ってるから世の中離婚率が高いのか?
    もっと自分の心や潜在意識を研究すべきなのか?

    とかいいつつも心理学ってなんか惹かれる。
    自分や相手の心の奥底をもっと知りたいってのはみんなが持ってる欲求だと思う。

    恋愛と犯罪が絡んでどきどきハラハラさせられて、一気に読んでしまった。
    面白かった。
    ほんと高野さんの小説はどれもハズレがないな。

  • 人の夢に入れる能力は本当に要らないですね。あと入られたらすごく嫌。夢の中での変な事って本当に変だから、見られて勝手におかしい人判定されるのも辛い。
    そんな人の夢に入れる能力を使ってカウンセリングする話です。

  • T図書館 2005年
    カウンセラーの来生夢衣は夢の中に入ることができる
    刑事の麻生健介の治療をきっかけに、2人は仲良くなり、側面から事件解決の糸口を見つける…

    ドラマを見ている感じですいすいと読めた
    夢の中に入り込み何回かやることで、本人が忘れている行動の順番をはっきりさせたり、犯人の顔を思い出させたりする
    探偵や物理の先生と違うタイプの犯人逮捕のやり方だった
    メインの人達が少々危険にはなるが、いつもの高野節の怖い感じや残虐性がなかったのでよかった
    よかったのに物足りなかった
    高野氏の作品は中毒性があるのだろうか、怖

  • 面白かった
    表題のとおり「夢」をテーマにしたファンタジック恋愛ミステリー

    人の夢の中に入り込める特殊能力を持った心理カウンセラー夢衣。その能力を生かして、患者の心を救おうとします。
    最初のクライアントは刑事の麻生。発砲事件で一般市民が撃たれたことを悩んでいます。
    その刑事の夢の中で見たものとは?

    その後、植物状態になった婚約者、さらには夢の中で殺人を犯す男、父親を亡くし口のきけなくなった少女をカウンセリングしていくことに。

    これらの出来ごとを通して、次第にひかれ合う二人ですが、本当の恋愛感情なのかどうかって、これまた、面倒くさい(笑)
    心理学者の恋愛って変なところで悩むのね。

    そして、少女の案件では凶悪犯罪に巻き込まれ、
    夢衣と少女はどうなる?
    そして、夢衣と麻生の関係は?
    といった展開

    心理学の難しい話や心理療法、精神分析、夢分析、過去のトラウマなどなど、リアリティを感じます。
    さらには、夢をベースとした伏線も回収されてとてもスッキリ!

    面白い設定で、ベタなストーリ展開でとても楽しめました。

  • 他人の夢に入り込める特殊な能力を持つ心理カウンセラー。
    さまざまなクライエントの心の奥底に眠る闇の根源を探る。
    象徴的にしか見えない夢の中。
    無意識下に閉じ込めた記憶は、その中には現れない。

    フロイトとユングの精神分析、間主観的夢、恋愛転移。
    この本では特に恋愛転移に重点を置いている。
    心理学に興味がある人には最適な一冊ではないでしょうか。
    でも、もっと丁寧に描いてほしかった部分もあり、少し残念でした。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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