吾輩は猫である (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041001011

作品紹介・あらすじ

苦沙弥先生に飼われる一匹の猫「吾輩」が観察する人間模様。ユーモアや風刺を交え、猫に託して展開される人間社会への痛烈な批判で、漱石の名を高からしめた。今なお爽快な共感を呼ぶ漱石処女作にして代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 先生と仲間たちと奥さんと猫…。
    面白い人間には面白い人間が集まる。
    相乗効果が見事である。
    肩の力を抜いて、ボンヤリした状態で読むととても気持ち良く読める。お酒のお供にしたい。
    夏目漱石の他の作品を読もう思う。

  •  シニカルかつキュートなネコが、飼い主やその周囲に集う友人・知人たちを観察し、その様子を、しれっと悪びれない姿勢とナイスな毒舌で語る、11編からなる連作短編集です。  英語教師のくせに、貧乏・偏屈・半ひきこもりと残念な三拍子が見事に揃った、語り手ネコの飼い主である苦沙弥(くしゃみ)先生の小汚い家は、所詮は類友と言うしかない、個性的かつ、それぞれにどこか残念でおかしな要素を持つ友人数名の溜まり場になっています。  

    訪問者は友人だけではありません。偏屈で名の通った先生の家には、あるくだらない事件を機に先生を目の敵にし、夫とともにしょうもない嫌がらせをするようになる器の小さい嫌味な成金オバサンやその手下ども、先生宅に連日ボールを投げ込みまくって先生を激怒させるクソガキたちなど、招かれざる客も多くやってきます。  

    目の前で繰り広げられる、先生と彼らの滑稽で時々アホくさい遣り取りに、(心の中で)ツッコミを入れ、鋭い批評を加えていく、皮肉屋ネコの的確かつコミカルで斬新な表現は、ニヤリとしてしまう笑いから、ププッ!と思わず吹き出してしまう笑い、アハハッ!と大爆笑してしまう笑いまで、多種多様なたくさんの笑いを引き起こします。

     薄暗い虚無感や厭世観が影を落としている部分もありますが、それでも11編全体を通して見ると、笑いが勝っており、まるで、上質な落語を文字に起こしたような作品です。  そして、この小説の魅力は、鋭い人間観察だけではありません。

     こっそりつまみ食いした雑煮のもちを喉に詰らせてアワアワしたり、飼い主家族にバカにされた悔しさから生まれて初めてネズミを取ろうと駆けずり回ったのに結局うまく取れずにグッタリしたりと、所々に散りばめられた語り手ネコの猫らしい愛すべき振る舞いもこの小説の目玉の一つとなっています。

     かくしゃくとした文体と、現代ではすっかり廃れてしまった100年前の常識に基づく表現が多く見られるため、読みづらい箇所も多々ありますが、それを差し引いても、ユニークで面白く、笑える小説でした。

  •  夏休みの課題図書に勝手に指定した恐るべき猫の物語。『坊っちゃん』を愛読してるくせに初めて全文読んだ。本文516ページはかなりの教養がないとサクサクとは読めない(現代人には無理?)。
     ただ、注釈を確認しながらも明治社会や漱石自身を含む教養人の生態を勢いのある文章で味わえる。「オタンチン・パレオロガス(189p)など“乾いた”ユーモアで笑える一方、「とにかく人間に個性の自由を許せば許すほどお互いの間が窮屈になるに相違ないよ(500p)など100年後の現代を予見するような記述にドキッとさせられる。恐るべき猫の最期は、“らしいな”と思った。

  • 一本の物語が大動脈としてあるのではなく、主人公の家にやってくる友人知人との珍妙なやり取りが描かれる。スパイシーな日常系小説(失礼)である。

    日露戦争の時代の日本人風刺、社会風刺を通じて、当時の人間や暮らしを垣間見ることができる。人間はいつの時代も変わらんのやなというところもみられる。

  • 先生のもとに集まるひとたちってよくまぁこんなに適当な話を思いつくものですね。
    最後はあっさりと、そしてまさかの展開で切ないです。

  • 猫目線が新鮮で面白い

  • いやー、面白くないですね。
    延々と続くダラダラした会話劇。最後まで読み続けるのがとにかく苦痛。ポップなタイトルに騙されて本著を手に取ってしまったがために「夏目漱石はつまらない」と心に刻み込まれた学生も多いのでは。
    暴論ですが、タイトルが1番面白いので、タイトルだけ知っとけば読む必要はないとすら思います。

  • 漱石の作品群の中での評価という意味も含めて★4つ、単品なら★5つでも良いかと思う。
    非常に独特の空気をもっており、これに続き並び評される作品はそんなにないと思う。
    ただ漱石好きの当方の感想は、やはり「デビュー作」であるということ。
    異様なまでのテンションなど才気に満ち満ちているのだが、詰め込みすぎで脱線のきらいもある。
    良い意味での乱雑さとその後の作品にて徐々に洗練されていく変化を作家の成長・成熟と見るか才能の枯渇と見るかは正直好みの問題だと思うが、当方は前者の立場。
    でも良い作品、これは疑いようもない。

  • 漱石は猫に始まり猫に終わる

  • ネコ小説の金字塔。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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