レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041005743

作品紹介・あらすじ

貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる。フランス文学の金字塔にして娯楽小説の真髄が、コンパクトな新訳で登場。

感想・レビュー・書評

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  • 傑作だ。
    完訳版もいつか必ず読む。


    ヴィクトル・ユーゴー(1802~1885)
    10代のときから詩人として名声を得ていた。
    二月革命(1848)以降は、政治活動も始める。
    が、1851年のルイ・ナポレオンのクーデターにより、ベルギーへ亡命を余儀なくされる(ユーゴーは市民ファーストの共和派)
    普仏戦争でルイ・ナポレオンが捕らわれる(1870)までの19年間、フランスに戻れず。
    その間に本作を執筆、1862年に発売された。

    物語は1815~1833年のフランスが舞台。
    上巻は、ナポレオンが失脚(1815)した、王政復古時代。
    七月革命(1830)はサラッと過ぎるが、1832年の六月暴動がクライマックスとして克明に描かれる(下巻)
    フランス大革命以後、10年ごとに革命が起きる乱世のフランスを生きる市井の人々=レ・ミゼラブル。

  • 厳しい時代のフランスで主人公ジャンバルジャンが前科者から聖人に至るまでの人生の旅路を描いた作品。

    ジャンバルジャンは何度も重要な決断を迫られる中で、ただ神の教えに従って、法に従って決断するのではなく、何が最善か苦しみを伴いながら葛藤する。何かに影響されて決断するのではなく何が善い行いか、自身が責任を負う事の恐怖に打ち勝つ覚悟が何よりも美しかった。

    以下印象に残ったシーン意訳
    他人の為に悪事を行うことについて
    自分の事しか考えてないな、良心の呵責に苦しむことと神に見捨てられ地獄に落ちる事がそんなに怖いのか、それもまた自分可愛さなんじゃないか。

  • 不変のテーマ。

    芝選書で紹介されていた、2冊で完結するレミゼ!
    いつか読みたいなぁ〜と思っていたので、読みやすいというこちらを。

    200年前のフランスが舞台なのに、共感できるところがたくさんあるのが非常に面白い。
    人は更生できるのか?真なる善とは?考えさせられる。

    主人公:ジャン・ヴァルジャンがとっても魅力的で、気になる存在。
    司教に出会って親切にされたことがきっかけで、心を入れ替えて他人のために生きている姿がかっこいい。
    人は、誰と出会うか、誰と出会わないか、が大切なんだね。(©MIU404志摩)
    市長としての地位を確立していたとき、全くの他人がジャン・ヴァルジャンと間違われて処刑されそうになった状況で、どう動くべきか、一人ひたすらに悩んでいるシーンが印象的。
    p.131〜p.148まで悩んでる。

    自分が言い出さなければ、他人がジャン・ヴァルジャンの代わりに処刑されてしまう。一方、言い出せば市長としての地位は無くなり、昔の酷い囚人生活に元通り。そして、気にかけて心配していた女性がひとりぼっちになってしまう。

    わたしだったらどうするかな、と考えながら読んだ。
    懺悔することや告白することは、主に自分のための行為だと思っている。逆に懺悔せず、告白しないことは自分の健康に悪影響を与えると思う。考えすぎて便秘になりそう。
    きっと、表に出すことでストレス発散してるのよね。
    例えば、仕事でミスっちゃったな〜ということを、全く仕事に関係していない家族に話すだけでも気持ちが晴れる。

    自分だけの問題だったら、この考え方で告白するを選択するけど、相手がいて、告白することで相手が不利な状況になる場合は、自分の中で閉じ込めておく、を選択するような気がする。
    ジャン・ヴァルジャンが陥っている状況は、どちらを選択しても相手が不利な状況になってしまうので、どちらの選択をするか結局は自分の中で答えが出ないまま、先が気になって読み進めてしまった。

    偽ジャン・ヴァルジャンの裁判に乗り込んだ時点で、きっとジャン・ヴァルジャンの心は決まっていたんだね。
    目の前で有罪判決を下される自分の身代わりを、黙って見過ごすような人ではないはず。
    偽ジャン・ヴァルジャンが有罪判決を下されそうになる瞬間、ジャン・ヴァルジャンが発言するシーンはとてもかっこよかった。
    下巻でのジャン・ヴァルジャンの活躍も楽しみ。

    宿敵:ジャヴェールの、権力に従い、罪人は許さず更生も信じないという角張った考えは、この物語の中に出てくると、なんでもっと柔軟性を持たないの?と思うけど、果たして普段の自分はジャヴェールになっていないか?と、考えさせられる。

    教会に通うおじいさんマブーフの考えも印象的だった。
    世界にはたくさんの異なるものであふれていて、それが普通であるにも関わらず、主義主張が違うからって憎しみ合うのは理解できない、と。
    言われてみるとたしかに。違うが当たり前なのに、なんでそれを人々は受け入れられないのだろう。
    これまた永遠のテーマ。

  • おもしろい!さすが名著!続きが気になる!

  • 某芝選書に影響されて買ってみた。外国文学の翻訳は、文体がどうにも苦手で、これもやはり変わらず。面白いと思うところと、読みにくくて辛い、と思うところがある。
    最後にもうひと盛り上がりして、ここでレミゼラブルか!で終わったので、続きが結局気になる。

  • こちらの本は最近でたと思うのだが、
    以前に文庫本4巻を読んだので、こちらの方がコンパクトにまとまっているのかもしれない。
    ミュージカルも観に行った大好きな作品。
    まだ本田美奈子が出ていた頃。

    文庫で読むレミゼは、当時の時代背景の中で、力強くも優しいジャンバルジャンの人柄に涙した。

  • 私が知っていると思っていたレミゼよりも壮大だった
    あと私が思ってるよりもずっと読みやすかった

  • まずは登場人物の名前や特徴を覚えるのに苦労しました。当時の時代背景の描写がはっきりしているので、貧富の差などが明確だった。

  • 百年以上も前に創られたこの物語が、今もなお色褪せることなく読まれている理由がよく理解できる。
    現代のあらゆる物語が出し尽くされた飽和時代においてでさえ、王道な構成、緻密に練られたプロット、丁寧に張られた伏線、回収タイミング、またその手法、すべてが秀逸に感じた。
    正直、下巻の展開は王道らしく、ある程度予想はできてしまうものの、頁を繰るのは楽しみである。

  • <背景>

    ナポレオン1世没落直後の1815年からルイ18世の王政復古時代を経ての18年を描いており、当時のフランスを取り巻く民衆の生活も物語の背景として詳しく記載されている。

  • 現代日本の朝ドラと昼ドラを合わせたような展開に、社会派エッセンスをまぶした娯楽大作!
    でも、これはダイジェスト版で、メインストーリー以外を端折っているというのだから、発表当時は作者のやりたい放題で結末が見えないまま書いていたんだろうな。

  • 初めて本作品を読むのに恐らく丁度良い量かと思います。
    パンを一斤盗んだら…から始まり、司教に出会ったジャン・ヴァルジャンは善も手探りながら心得るようになり、しかし過去の悪を知る彼は悩み、葛藤する。
    善と悪は紙一重であり、心得さえあれば…しかし難しい美徳の道へと一歩一歩進むことが出来る。
    その道は、悪を知る者、だいたい小さな悪というものを人間は持っているけれど、美徳にまっしぐらとは到底困難と思える。
    悪に落ちることは正反対に簡単だけれど、周りにとっても自身にとっても善人であることにの困難さ、司教の優しくも強い信念から始まる上巻は、どんどん読めてしまいました。

  • フランス革命後の混乱期、貧しさがその人本来の善良さも蝕んでいく。とにかく主要人物が不憫。
    前半の人生の辛さが、ジャン・バルジャンがコゼットと一緒にいることで幸せを感じられたのがどれだけ救いになったかを際立たせてる。

  • 美しいファンテーヌとその子コゼットが何とも不遇な人生で悲しくなる。お金がないだけで、こんな人生を歩むことになるのだろうか。
    ジャン・ヴァルジャンが宿屋の意地悪夫婦からコゼットを救い出した時は、本当に良かったなと思ったが、彼自身もまた戦い続けている。

  • 初めて読んだ。自分に正直でいる事の大切さ。一度罪を犯しても失敗しても人は変われる。
    果たして自分は正直に生きているのかな。改めて自分について考えようと思う。

  •  子供の頃に接した「ジャン・バルジャン物語」やミュージカル「レ・ミゼラブル」で分かったつもりになっていてはいけない。一度は原作を読んでみなければ…と思っていたが、文庫本4冊の完訳はやはり長すぎる。この「抄訳」で妥協したつもりだったが、これが面白い!!
     ユゴーの原作はさぞかしお固くて、重々しい社会派小説だと思っていた。しかし、読んでみると、解説にもあるように、冒険やミステリーなど様々な娯楽小説の要素に溢れ、ドラマチックな世界に入りこんでいく。
     だいたい、十五年間も服役していた男(ジャン・バルジャン)が、社会復帰してから、たった数年で市長になるなんて、いくらメディアで面が割れない19世紀でもあり得ない。そして、突然、ジャベール(ジャン・バルジャンをずっと追っていた警官)に見つかり、再び監獄に入り、半年ぐらいで脱獄してコゼットと何年も身を隠して暮していくなんて。それでも、そんな無茶な展開、実際フランス革命後の無茶苦茶荒れたフランス社会。極端に貧しい者達。王党派、共和派などの思想の対立。法の元の正義と神の御心にかなう正義の対比。ジャン・バルジャンの人生を物語るような風貌。怪力で犯罪者であるが底はかとない心の優しさ。彼らを見守る星の瞬き…。
     細かい所まで描写が丁寧で、舞台を見ているようである。ドラマチックで、頭の中、「民衆の歌」「夢やぶれて」や「One more day」などミュージカル「レ・ミゼラブル」の曲流れまくり。昔観て感動したのだが、原作の世界観と合っている。ユゴー自身も演劇を通じて大衆に対する社会的使命を果たそうとしていたらしいので、あのミュージカルを見ていたら喜んでいたのでは?と思いたくなった。
     ただ、ユゴーの原作は歴史背景や人物の背景を長く説明しすぎたり、物事の細かい説明が長すぎて本筋からそれることが多くて読みにくく、それで読者を遠ざけてきたらしい。そこで、1960年代にハーバード大学のペニシュー先生が、過剰な部分を削ぎ落とし、なおかつ辻褄の合うように調整し、元の半分弱のものに編集し直して抄訳版を英米で発表した。本書はその日本語訳である。こんな面白いのに敷居の高かった小説を皆が読みやすい所に下ろして下さった画期的な訳だと思う。
     この小説は今の私たちから見れば「歴史小説」だが、ユゴーの時代にとっては「現代」の小説だった。古い小説ってそういう面でも面白い。
     下巻に続く。
     

  • 個人的に初めてのフランス文学。
    悲しみを抱えつつ司教との出会いで生まれ変わったジャン・ヴァルジャンを中心に描かれる登場人物一人一人が個性を持っていて興味深く自然と読み進めてしまう作品でした。
    下巻も早く読みたいと思える作品だと思います。


  • フランス史を感じる。元囚人であり孤独と闘う老人と親族のいない孤児である少女。年齢や血筋は違えど2人はお互いを必要としているようでどこかダブった。

  • 舞台も映画も未鑑賞にて読み始める。
    新潮のは長そうなので、角川版。
    評判だけあってたしかに面白い。
    元日に上巻を読み終えたので、元日中に映画を観る。
    映画も良かった。なるほどこう物語は進むのね。
    早く下巻を読まなくては…


  • 国も時代も異なる世界であるのに、引き込まれる。
    登場人物の心の動きの描写がすごい

  • 下巻参照

  • これは大作。土壇場でチケットを購入できたミュージカルを鑑賞した後、何の予備知識を持たず鑑賞したことを悔い読んでみた。
    舞台は19世紀のフランス。アコギな大人にこき使われる孤児と、それを不憫に思って引き取った前科のある紳士を中心に物語は進む。繁栄と没落、純真と汚れた心、追う者追われる者など、人間の生々しい内面に迫る。
    これを読んでからミュージカルを見に行けば良かった…

  • 人の感情を揺さぶるエピソードが絶えず展開する、まさに娯楽小説。肩苦しいイメージの先入観はなく、時折挿入される名文に酔う。
    さらさら苦なく読めるのは翻訳の良さからか。
    ジャン・バルジャンと関わる人物達の群像劇の先が気になる。
    細やかな状況設定も物語に深みを与えている。
    下巻が楽しみです。
    当時物の挿絵も掲載してもらいたかったです。

  • 心さみしくなる
    続きが気になるけど登場人物達の心の寂しさや、境遇の悲惨さに苦しくなる

  • 小学生の頃に父のすすめで、あゝ無情を読んだが
    大人になって読んだレミゼラブルは胸に残る作品になった。
    コゼットのお母さんが歯を売って生活費を稼ぐまでが克明に描かれている。
    演劇や短編では描ききれないので
    レミゼラブルをおすすめする。

    レミゼラブルと罪と罰は学校の推薦図書になる向きがあり世界的な代表作として教科書などに登場する。
    どちらもキリスト教への親和性を高めている感じがする

    小説とは壁について描かれる。
    貧困と犯罪について、正義とはなにか
    ジレンマに陥る。そして倫理観を育てる。

  • 以前ぶっ飛ばして読んだので再読希望。

  • 人間の心の描写が、見事に描かれていると思いました。

  • 映画も見たので、頭に入りやすいし、また、訳も読みやすかった。
    マリウスの章は冗長だが、フランス革命の背景を知っていればもっと楽しめた。

  • さすがフランス文学の最高峰。一級の娯楽小説の側面もあり非常に面白く読むことができる。

    上巻は、忍耐のときが、まさにああ無情といった現実が多く描かれている。ジャン・バルジャンに神の祝福を!と祈らずにいられない。表紙の女の子はコゼットなのかな?

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著者プロフィール

1802年-1885年。フランス・ロマン主義を代表する詩人・小説家・戯曲家。10代の若さで詩人として国王ルイ18世に認められるなど、早くから頭角をあらわす。すぐに戯曲や小説を発表するようになり、1831年に『ノートル=ダム・ド・パリ』、1862年にフランス文学界の頂点といわれる『レ・ミゼラブル』を発表して、不動の名声を獲得。政界にも進出したが、激動の時代により亡命生活も経験している。

「2022年 『ノートル=ダム・ド・パリ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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