親指の恋人 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 835
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041006573

感想・レビュー・書評

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  • 「好きとか、恋だとか、そういうのが、ぼくにはよくわからない」
    この言葉に共感を覚えた私は、澄雄と違って異性とお付き合いをしたことのない人間だ。

    冒頭から「心中」という結末が分かっているので、終始ネガティブな文書もさほど暗くなることなく読むことができた。
    住むセカイの違う二人が出会い、愛を深め合った結果の「心中」。
    いや、結末はどうでも良かったのかもしれない。
    幾ら金があっても、生きる目標のない澄雄...これはまさに今の若者を指しているのでしょう。
    就職難、結婚、政治・年金問題、自殺...いろんな問題が降り注ぎ、やりたいこともなく、なんとなく働き、生かされてるような感覚。
    先の見えない真っ暗な道を歩き続けてる若者の悲壮感を描いているのかな、と思った。石田衣良さんだし。

  • 最初から結末が見えているというのは衝撃的だったが、最後まで切ない気持ちで読むことが出来た。
    なんだかんだいって、格差はあるものですね。

  • 2013年5月

  • 「ジュリアに会うまでのぼくは、半分しか生きてなかった気がする」。終わりがわかっているほうが、キラキラした世界を見れるのかな。「相手の幸せを一番に…」なんかじゃなく「"ふたり"で得た幸せ」。そんなストーリーなのかなって。

  • 悲しい人生を送っていた20歳の男女の最後の話。

    世界が違うと恋愛も大変だと思うけど、若さは極端に走るので怖いと思った。
    何とかならない世界の差っていうものあるのかもしれないけど、どこの妥協を取るのかって話ね。

    恋愛がうわっと加速するのはやっぱり自分の弱みを与えて共感を得られた時なんでしょうね。

  • 読み終わりたくなかった。
    ずっとずっと、二人が出会って、惹かれあって、苦しい現状でもふたりでいれば幸せって思っていたかった。

    格差を埋められるほどの気持ちがあってもダメなの?って悲しくなった。
    振り乱しても、泣き叫んでも、手に入らないものなの?
    ちょっと絶望する。

  • 最初から結末が分かっている、という珍しいパターンでした。


    私個人の意見としては、スミオがあまりに世間知らずというかお坊っちゃまというか。

    ジュリアは厳しい世界から這い上がろうとしているのに、自分はやりたいことを探すと言って恵まれた環境を利用しない。

    もし、スミオが与えられた環境(父親の影響力)を利用してでも働いて稼げば、ジュリアを守ることだって出来たのでは、と思うのは行き過ぎでしょうか。


    きっとこういう形の愛もあるのだろうけど、私は憧れはしないなぁというのが感想です。


    現代日本だってやはり格差社会なんだなと思い知らされる作品でした。

  • 結局救いがなかったのが少し残念だったけれど、儚くとも美しい、燃え尽きてしまった恋のはなし。

  • 暗かったな。。。

  • ただ、ただ暗くなるだけの内容だったなぁって読後感。
    救いはなくとも、暗くても読んで良かったと思える作品はたくさんあるのに。読んで何かが落ちてくるわけでもなく…

    石田衣良の気取った文体もダメなんだろうなー。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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