西巷説百物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.21
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本棚登録 : 900
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (626ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041007495

作品紹介・あらすじ

人が生きて行くには痛みが伴う。そして、人の数だけ痛みがあり、傷むところも、傷み方もそれぞれちがう……様々に生きづらさを背負う人間たちの業を、林蔵があざやかな仕掛けで解き放つ。

感想・レビュー・書評

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  • いやーーー
    最終話!最終話の野狐がとてもとても良かった。
    シリーズぶっ通しで読み直した甲斐がありました。

    京極夏彦、すごいひとやで、、、
    時系列も場所も入り乱れながら続いていくシリーズ、
    年表を参照しながらじゃないと、
    とてもじゃないけど、ついていけない。


    山岡百介がやっぱりとてもいい役割を演じていて、
    悲しい別れを知っているからこそ効いてくる。
    はああ〜〜嬉しかった。
    又市と林蔵の組み合わせだいすき。
    林の字、続きにも出てくるかなあ。
    このまま最新作読む!!

  • 御行の又市でなく、靄船の林蔵が仕掛ける七つの話からなる、巷説百物語。

    今のところシリーズ最後のこの一冊だけは、特に理由もないまま、随分長く手に取りませんでした。
    ただ、手にとってみれば、一編一編あっという間に読んでしまうくらい、それぞれのお話とも1行目からすーっと物語の中に引きずり込まれていく。
    分厚さも何のそのグイグイと読ませられてしまう京極節、久々に堪能しました。

    お馴染みのシリーズかとは思いますが、簡単に紹介しますと、市井の人の届かぬ思い、果たせぬ願い、叶わぬ望みを、様々な「仕掛け」をもって叶えることを生業とする悪党どもの物語です。
    京極さんは、ご自身なりの「必殺」シリーズをイメージされたと聞いたことがありますが、必ず人を殺して怨みを晴らすのではなく、むしろ殺さずしていかに依頼人の願いが叶う形にするかに重点がおかれているように思います。

    そして、そこは京極さん、各エピソードにしっかりと「妖怪」が絡んで参ります。
    ただ、ありふれた言い方ですが、怖いのは妖怪よりもやはり人間で、そしてまた、どうにも弱く脆く哀しく危ういのも人間やなと、何となくこんな風に考えさせられてしまうのも、このシリーズの魅力かと考えてます。

    まっとうに生きるのと、悪事に手を染め堕ちていく境目は、ほんまにぼんやりとしていて、ごく僅かの「何か」によってどっちに進むか転ぶかが決まるんでしょうね。

    地の文と台詞の間に、時折挿入される、仕掛けられる側の人間のモノローグ-心の声-の効果が素晴らしかったですね。読者として目に見えている、耳に聞こえている、心で感じていると思っているものが、ゾワゾワと不安が増して、揺らいでいく、足元が覚束ない感じにさせられる感覚がたまりません。

    読み終わって、平凡に暮らしている自分を確認できてよかったと思う、そんな物語です。

  • 借りてました。人間の深さを訥々と語りかけてくる物語たちにどっぷり浸って読書できました。借りてる京極さん前後しちゃったけどあと1冊。このシリーズ大好き。最後に、又市さんと百介さんにまた逢えた。

    • hs19501112さん
      このシリーズ、大好きです。
      大好き過ぎて、既巻を読み切ってしまうのが嫌で、番外編だという位置づけの「西~」は読敬遠していたのですが…。
      ...
      このシリーズ、大好きです。
      大好き過ぎて、既巻を読み切ってしまうのが嫌で、番外編だという位置づけの「西~」は読敬遠していたのですが…。
      このレビューを見て、やっぱり読んでみたくなりました。

      ※誉田哲也さん好きで京極夏彦ずきな本棚、フォローさせていただきました。
      2019/03/15
  • 林蔵!
    林蔵ってこんなにすかしたやつだったっけ?
    前巻までの記憶があいまいで時系列もよくわかっていないのでちょっと混乱しました。

    「鍛冶が嬶」「豆狸」が切なくて好き。
    特に「豆狸」では悪い人がいないので好き。
    「桂男」「遺言幽霊 水乞幽霊」は、ああこの人はどうしようもないなーと思って読むからあまりかなしくはならない。
    それでもなにかしらモヤモヤした読後感なのが、『巷説』の魅力でしょうか。

    「野狐」には又市もいる。
    これで終いの金毘羅さんや

  • 巷説百物語シリーズは、続、後、前ときて、あーもうおしまいか〜と思っていたら「西」ときた!このシリーズがまだ読めそうで嬉しい限り。

    登場人物それぞれがみんな味があり、その味がまた良い。今回は「西」の話だけれど、新しい人物に加え、ちゃんとあのおなじみの立役者たちも出てきます。

    特に妖怪に興味はありませんので、人間社会の、理屈で説明できないものを「妖」として胸におさめてきた先人の知恵に納得しつつ、しかし妖怪蘊蓄はざっと飛ばし読み。それでももちろん内容は本当に面白いです。

    複雑に絡み合う人と人、純真ゆえにそれが過ぎて罪となる、相手を思うがあまり道を踏み外す、深い情念にとらわれてしまう人々、どの話も一筋縄ではいかない複雑怪奇でありながら、純粋ですとんと胸に落ちてくる読後の爽快感、西巷説百物語はこのシリーズの中でもかなり良かった。

    特に最後の「野狐」は圧巻のからくりでした。

  • 再読

    林蔵さんってこんな人だっけ?と思いながらも、軽快なトークが愉しかった。

  • 林蔵ってそんなに良い男なの?
    上方の仕掛けは又市のものとは、やっぱり少し違うね。
    最後に又市さん、百介さんが出てきて嬉しかった。
    なんだかんだ、凄いのは小右衛門よな‥。
    小右衛門無双だね、巷説シリーズは。

  • さすが京極夏彦と言わせるシリーズ。巷説百物語は全作読んでいるが全然飽きない。是非ともテレビシリーズにして欲しい!知恵を使って悪を懲らしめる。受けるとおもうけどな。

  •  久々に読んだ京極作品。

     一気に「巷説」の世界にひきこまれた。面白かった。主人公の林蔵さんに、惚れた。

     「巷説百物語」シリーズの外伝的作品。主人公が違う、登場人物も舞台も違う、仕掛けのスタイルも違う。それでもやっぱり「巷説百物語」。

     また、シリーズを読み直したくなった。京極ワールド、大好き。

  • 読んだばかり。巷説シリーズ大好き。林蔵メインの巻かと思ってたら、最後に百介さんと又市さんが出てきてそれもかなり嬉しかった。
    巷説の時代もすごく惹かれるな。
    京極堂の時代も憧れる。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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