本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (608ページ) / ISBN・EAN: 9784041017777
作品紹介・あらすじ
死地から帰還した羽生。伝説となった男は、カトマンドゥにいた。狙うのは、エヴェレスト山頂、前人未踏の冬期単独登攀――! 山に賭ける男たちの姿を描ききり、柴田錬三郎賞に輝いた夢枕獏の代表作。
みんなの感想まとめ
過酷なエベレスト登攀をテーマに、主人公の羽生が山に賭ける姿を描いた作品は、登山の厳しさや男のロマンを強く表現しています。物語は時に遅々として進むものの、詩的な感性が織り交ぜられ、熱い情熱が感じられます...
感想・レビュー・書評
-
後半は
カメラマン深町は登山家羽生を追い、とうとうエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂を目指す
深町はどこまでついていけるのか…
それなりにトレーニングを積んだが、もちろん天才クライマー羽生とは比較にならない
羽生は8年間もかけて入念に準備をしてきたのだ
尋常ではない緊迫感がひたすら続く
氷塊、クレバス、雪崩、落石、垂直の岩壁…、凍傷、強風による低体温症、どんどん酸素は薄くなり、高度障害が出始める
読んでいるだけで苦しくて辛い
(軽い高山病の記憶がよみがえる そんな時でさえも、食事は喉を通らず、頭痛と吐き気がし、筋肉が鉛のように動かなくなる
次の一歩を出すのに使うエネルギーが足りず辛い この何百倍の辛さかと想像するだけで倒れそうである)
ここでの高山病の恐ろしさをピックアップしてみる
ちなみに富士山標高は3776メートル、エベレスト標高は8848メートルである
以下は本文からの抜粋
〜4000メートル越えた場所であっさり死ぬことも珍しくない
6000メートルが人間が順応できる限界か
ここを越えた場所に長時間滞在すると、大量の脳細胞が死んでゆく
ヒマラヤ登山は生物にとっての極限状態を日常に体験することだ
人によって高山病の症状が出る高度はまちまち、かつその時のその時で高度も違う、体調にも左右される
スタミナがあっても、高山病になればベースキャンプにさえ、たどり着けないことも…〜
その中で山頂アタックできるのは、体力だけでなく、強靭な精神力と強運(天候も含め)が必要である
そう最後は神に許された人間だけ…なのかもしれない
登頂中、カメラマン深町が羽生と直に接し、羽生のある意味生きる姿を目の当たりにして、深町は自分と向き合うことができたのだろう
その後、彼は何らかの答えを導き出していく…
何で人は山に登るのか…
不思議である
何で生きるのか…と同じ質問だ
何度か自問自答したことがある
大雨と暴風の中、「二度と山に行かない」と何度も心に誓いながら、とにかく早く終わらせるためだけに、無我夢中で歩いたこともある
1日、10時間以上、10Kg以上の荷物を担いで、山行した後、かわいそうな足の潰れたマメを見ながら、もうここまでの縦走はいいんじゃないの?
と自問自答する
参考計画を立てても行きたくなくなる…
こんなことの繰り返しで山に登っている自分が何だか可笑しい
答えがなくてもいいのだ
趣味で登山をする程度でさえも不思議な力にどうやら取り憑かれる
さてここからは番外編
ネパールについての知識
シェルパは職業的な名称だとずっと勘違いをしていた
シェルパはネパールのソロ・クンブ地方に住むシェルパ族を指す
「東の人」という意味の種族名とのこと
頑健な肉体と、高地に順応した心拍機能に着目し、イギリスが1900年代初めに、ガイドやサポーターとして雇ったのが始まり
イギリス人は彼らに英語を教え、登山道具を与えた
このようなシェルパと呼ばれる山岳ガイドが成立してゆく過程は、グルカという兵士集団が成立してゆく過程と似ている
グルカはイギリス陸軍に設けられた、ネパール人兵士の外国人部隊のことだ
こちらもグルカ族といういくつか部族の総称である
山岳部に住む民族のため、シェルパ族同様、
肉体は頑強、肺活量、忍耐力などの基礎体力が他の部族より優れる
地上最強の部隊と呼ばれた時代もある
いずれもネパール人でありながら、外国人のために生まれた職能集団である
経済的に貧しいこの国は、外貨をこのように得ている
そしてもちろん一番の収入源はヒマラヤを中心とした観光である
トレッキングから、外国人登山隊がおとしていく外貨や入山料なとである
入山料だけで約100万円以上である(日本の富士山にそんな制度はない)
ネパールは世界最貧国のひとつであり、カースト制、民族格差、教育問題、民主化など、様々な問題を抱えている国である
ネパールの国を垣間見れたことも興味深かった
どうも小説部分より、登山とネパールにフォーカスを当ててしまったが、一般的には小説としても充分楽しめる作品だろう
極寒の地でありながら、非常に暑苦しい世界が展開する
ヒリヒリする痛みを感じながら、息苦しさと、突き上げてくる熱い思いとともに一緒に冒険できる
そんな内容であった
誰に何と言われようとも、自分が納得した人生を送るための手段なんて人それぞれだ
そんなことをこの小説は教えてくれる気がする
但し、残念ながら個人的にカメラマン深町に全く共感できず…
昔読んだ鎌田敏夫氏の小説を読んでいるみたいで、もうそういう熱くて青い感じは受け入れられる年齢ではなくなったなぁと客観的に冷静にしか読めず…
もう少し若いころに読んでおくべきだった(笑)
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Amazonオーディブルで聴いた。
話が遅々として進まない。とてもとてもくどい。
やっぱりこういう物語の添え物的な女は要らなかったような…特に1人目の女。
主人公がフラれた後もものすごく未練タラタラだったのに、次の女が現れたらほとんど思い出さないのには笑った。
1人目の女は何だったんだ。
やっとエベレスト冬期無酸素単独登攀始まったァァァァ!と思ったら、高山病で幻覚幻聴が出て、支離滅裂な思考の堂々巡りを読まされる(登山の過酷さはよくわかりました)。
羽生や深町等の「山に賭ける男」なるものに何の共感も憧れもなく、早く終わらないかな〜と思ってしまった。どうもスンマセン。
やっぱり「男のロマン」的なものは合わない。 -
当方、この作家の小説を初めて読んだように思うのですが、畢竟の傑作ではないかと思います。
小説に詩の感性も加わった、何とも日本の小説という気がします。とにかく熱さ満載で、これは読んどかんとあかんでしょう、と思います。逆にこれ以上の作品がこの作家に書けるのかな?と思う位です。
(追記)
すいません、この作家の小説、1冊読んでました。完全に忘却の彼方です。。。 -
audibleで聞いたせいだろうか、物語自体は面白いが、いちいち説明が長いし、繰り返される。その中身もいわゆる男性読者向けのハードボイル系とでもいうんだろうか?男らしさ溢れる表現、男らしさ溢れる思想で、聞いていて違和感満々。ただその効果もあってか、高い場所へ登るための苦労というものはしっかりと伝わってくる。
小説や漫画だともう少し楽しめたのかもしれない。 -
長い…。
夢枕作品は初めて読みましたが、どのテーマでもこんなに長く語り調が続くのでしょうか。
小説でもルポでも描く対象との一定の距離が必要になると思うのですが、触れるのが剣呑なほど先鋭的な人間を描く場合は特に距離を意識しないとならないと思います。
羽生がいくらすごい人間でも深町がすごいすごいと騒いでは興ざめです。
彼の感情の揺れがいちいち安っぽく感じられて下巻後半部分は白けてしまいました。
高峰登山を描くには余計な言葉はいらないなと痛感します。
エンタメ部分と登山部分の温度差にも違和感があり、なじめない物語でした。 -
上下巻読み切った。
上巻の多少ののらりくらりを根気よく読んだ。
ラストに物語最大の山場(!?笑)が残されていてさらに感激。
山岳小説は(私だけかもしれないが)読んでる方も疲れるのが不思議だ。
終始、深町に感情移入できず、どこで脱落してもおかしくなかったが、最後まで読みきれたのは
羽生の不気味な程の山への執着心の行く末見届けたい一心だった。
唯一ターコイズのくだりについては女性目線だからか、全く共感できずモヤモヤするが、、読書体験は最高に良かった。 -
信念を感じられた
-
下巻ではいよいよ、エベレストに挑む本格的な登攀が描かれます。呼吸しても酸素が吸えず、氷壁はピッケルをはじき返す。人間の力では到底太刀打ちできず、一手でも間違えば死に直結する描写の連続に、緊張感があります。
そんな極限の環境で、人生すべてを振り絞るように進む羽生の姿は圧巻でした。人間離れした執念と孤高さが、ページをめくるたび胸を締めつけます。彼は他者を寄せ付けず、人として閉じていた存在ですが、同じ夢を追う深町と、あえて手を取り合うわけでもなく、ただ同じルートを進んでいく。
友情でも、利害でもない、奇妙で純度の高い関係性が、物語に独特の静かな熱を与えていました。
羽生という孤高の登山者が山と対峙する姿は、自己証明のようであり、破滅への道のようでもある。その苛烈さが作品全体を包む緊張感と美しさを生み、読後に深い余韻を残します。
山岳小説にあまり触れてこなかったのですが、描写・ドラマともに最高峰と呼べる完成度です。自然の圧倒的な力、極限状況での人間の矛盾と美しさ、そのすべてが詰まった傑作の下巻でした。 -
-
あれ?私ってエベレスト登ったことありましたっけ??と錯覚してしまうほどの鮮明な描写。間違いなく見たことのない景色なのに…山の姿が目の前に広がる。うわぁ…綺麗だなぁ…。
-
読んで良かった。
なぜ山に登るのか、なぜ生きるのか、自分は何がしたいのか、どこまでゆけるのか。
色んなことに迷ったら、もう一度読みたい。長いけれど、読み応えがある。 -
上•下巻に分かれていると、作品によっては下巻放置してしまう私ですが、そんな失態を犯さなくて良かった、、すごい本を読んだという感じ。なかなか出会えないような名作だと思う。
-
上下巻とも、絶対に体験できないスリルをリアルに体験しているような感覚で、のめり込んで読みました。こんな読書体験は初めてで、この本を読まなければ一生知ることのできないジャンルを知ることができてとても良かったです。知らない登山用語や情景は調べながら読みましたが、それも楽しめました。
正直、主人公の深町にイライラさせられたり、納得のいかないシーンもあるのですが、そう思うのもこの本にはまったからだと思います。もしかしたら登山に興味がない人はそうでもないかもしれませんが、ハマる人には眠れなくなるほどおもしろい本だと思います。 -
山にかける男たちの思いの交錯がとても深くえぐり出されている。
-
1,000ページを超える長編でしたが、ページをめくる手が止まりませんでした。
カトマンドゥの雰囲気や過酷な登山の描写が素晴らしく、一緒に登山をしているようでした。
サスペンス要素も面白かったです。 -
大長編だが途中からページを捲る手が止まらなくなる。
-
老若男女、みんな大好き、ミステリの王様「東野圭吾」ですが、このお話では事件が起きたり犯人を捜したりはしません。ただ、「クスノキに念を預けたり、誰かが預けた念を受け取ったりできる」という不思議なことが起こります。クスノキに関わる様々な人たちの、それぞれの感情が伝わって、最後は涙がこぼれます。
(K.M.先生) -
ここに俺がいるから。そう言えるだけの熱い思いが自分にはあるだろうか。
-
文句のつけようなど一つとしてございません。
漫画→アニメ映画→原作という順だが、
結局この原作小説が一番心に来た。
理由の一つに、とにかく夢枕獏氏の文章の巧みさ、読みやすさが上がる。
本当に賢い人は、誰にでも伝わりやすい言葉で簡単に表現できると言うが、
まさに氏のような方のことを指すはずだ。
とにかく氏の文章は、読み易いばかりでなく、人や時代が匂い立つように浮き上がる。
こと本作の表現の話題になると、
冬山の美しさや冷徹なまでの過酷さ、孤高の登山家の心の在りようなどに焦点が当たる。
しかし私はそれ以上に、
当時の日本の情景や日本人たちの描写が異様に巧みであるがために、
その勢いのまま、全く趣の異なるカトゥマンドゥの異国風景や、苛烈を極める冬山登山の場面にも、読者は異様な没入感を保ったまま読みふけることができると考える。
まあここまでの不朽の名作ともなれば、
上記のようなみみっちい考察なんて何の意味も持たない。
タイトルや題材の濃さ・骨太さで誤解されがちかもしれないが、
中学生や高校生くらいの年代にこそ強くお勧めすべき良作だと思う。
昨年だったか一昨年だったか公開されたアニメ映画。
本作の大ファンだというフランス人有志達の執念で膨大な時間の末に完成させたらしい。
映画という尺の制約の関係上、
どうしてもカットせざるを得ないシーンや展開もあるのだが、海を越えて創られた愛の詰まった作品。
よければ是非是非アニメ映画の方もご覧ください。
著者プロフィール
夢枕獏の作品
本棚登録 :
感想 :
