- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041028322
作品紹介・あらすじ
「世界はこんなに弱くてもろくて、滅ぼすなんて簡単なんだってことを……ウエダサマが教えてくれたんですよ」
7年前、旭ヶ丘の中学校で起きた、クラスメイト9人の無差別毒殺事件。
結婚を機にその地に越してきた私は、妻の連れ子である14歳の晴彦との距離をつかみかねていた。
前の学校でひどいいじめに遭っていた晴彦は、毒殺事件の犯人・上田祐太郎と面影が似ているらしい。
この夏、上田は社会に復帰し、ひそかに噂が流れる――世界の終わりを見せるために、ウエダサマが降臨した。
やがて旭ヶ丘に相次ぐ、不審者情報、飼い犬の変死、学校への脅迫状。
一方、晴彦は「友だちができたんだ」と笑う。信じたい。けれど、確かめるのが怖い。
そして再び、「事件」は起きた――。
【興奮と絶賛の声、続々!】
サスペンスがみなぎり、どんでん返しもある。いままでにない熱量に充ちた大胆な設定、叩きつけるような何ともエモーショナルな筆致。強烈な傑作である。(本の旅人2月号より)
――池上冬樹(文芸評論家)
日常の闇をのぞき込むような重くて深い物語に、何度となく立ち止まっては、そのたびに胸がざらついた。この恐るべき小説は、まるで私たち近未来の「黙示録」のようである。
――奥野修司(ジャーナリスト・ノンフィクション作家)
わかりやすい物語ばかりが広がる日本社会にあって、懸命に生きることを肯定する小説を世に送り出す。それ自体が一つの批評となっていると言えないだろうか。
――石戸諭(記者・ノンフィクションライター)
この本は世に出ていいのか? と思う程、心底恐しかった。超然たるリアリティで、じわじわと読み手の心にリンクして迫ってくる。心理描写がモンスター級の小説!!
――うさぎや 矢板店 山田恵理子
感想・レビュー・書評
-
まず、表紙に驚きます。
これ、重松清さんの本だよね?
重松清さんの本は心温まるものしか読んだことがなかったので、まずそこに驚きます。
物語の核となるのは7年前に中学二年生の男子が起こした給食への毒物混入事件。クラス全員を巻き込むもので、死者は9人。少年だった犯人の上田が7年後にこの街に戻って来た、という噂が広まり物語はまた動き始めます。
正直言って、理解できず混乱しました。でも、中学二年生の男子・晴彦の母と結婚した清水も同じように混乱しています。継父ではなくても、血のつながりのある親子だって分かり合えないよ、分かったつもりでいても本当は分かっていないんだよ、という重松清さんからのメッセージの一冊かな、と思いました。
いじめを受けている子ども、自殺願望のある子ども、深く悩んでいる子ども、その子ども達の頭の中、心の中は決して大人には分からない。だから分かった風な顔で寄り添ってみても全く見当違いなんだよ、と。
読者の年代によって、かなり印象の変わる物語なのだと思います。中学生は晴彦目線で読むのかもしれません。
重松清さんは、親の苦しみも子どもの苦しみも描いてくれたのかな?と思います。たとえ理解できなくとも、お互い苦しんでいるんだよと。
-
どんどんこの本の世界観に入っていける本だった。木曜日の子どもというタイトル。最初は「は?」っていう感じだったけど序盤ですぐに意味がわかった。ちなみに私は月曜日の子どもです。前半の方が面白かったですね。最後の方になるとややこしくて...でも面白かったので星4です!
-
14歳の晴彦は酷いいじめにあい、自殺未遂ののちに、母親の再婚と共に新しい生活を始める為に引っ越してきた旭ヶ丘は、かつて同級生による無差別殺人があった場所だった。
42歳で初婚である父親の清水の、私は愚かな父親だったのか。正しいか、間違っているかではない。強いか弱いかでもないし、ましてや勝つか負けるかなどどうでもいい。ただ、愚かだったのか、と自分に問う。その愚かしさがどこまでも悲しい・・・。
日々、無我夢中で子育てしている母親も父親も、同じような気持ちに一度は、いや何度となくなったことがあると思う。
血の繋がった我が子でも、やっぱり本音はわからない。本音を知るのは少し怖い。
上田と高木、そして晴彦も、子供の頃に未来を描く時間に、自分が居なくなった後の世界を描いたとあるが、自分はどうだったろう?
コロナ禍の世の中で、自死や、倒産が相次ぎ、ちょっとしたことでSNSに血祭り上げられる環境におかれている子供達には、ウエダサマはやはりヒーローになりうるのだろうか?
世界の終わりを見たくはないか・・?
世界の終わりなんて、なくなってみないとわからない。
-
学校が世界の全てである、中学生、高校生
その世代であれば、共感できる部分もあるんだろうと思うと怖いともおもうけど、そうなんだろうなぁとなっとくしてしまう部分もある…
SNSやら何やら行きづらくなってるこの世界では
スーパーヒーローよりも、ダークヒーローの方が
神や救世主になり得るのかもしれない
個人的な感想ですが、「かがみの孤城」の対になる作品なのではと思います。
本文より
「私思うんですよ。世界を滅亡させるとか、破滅させるとかって、よく言うじゃないですか。でも、本当は誰も本気で世界のことなんて相手にしてるわけじゃないんです。本気で滅ぼしたいのは、もっと小さな、身近な、そこらにいる誰かのことで…それを滅ぼすために、世界も「ついで」や「おまけ」で滅ぼされちゃうんじゃないか、って」 -
重松氏らしい文章。
でも、人がたくさん死んでいくのは、読んでいて少し辛い。
最後は、やっぱり自分が勇気をもって前を向かないと解決しない。
ちょっとジェネレーションギャップの問題もあり、読み直す気にはなれない・・ -
貴方なんかに、自分のことなんて、何一つ分かられたくない。分かった気になられて、勝手な憶測や期待をされるなんてたまらなくいやだ。
.....そんなことを思う自分がいるのも事実。
なんて卑屈な考えをしてるんだって、自分に辟易し続けてる。
だから、晴彦を全面否定する権利は私にはないな。
まっとうな人たちを見ていると、胸が苦しくなる。でも、あの頃の私が求めていたのはまっとうな人ではなかった。まっとうな人だからこそ、救われなかった自分もいる。
そんなこんなで、まっとうではないことに少し安心する自分がいるのも確か。 -
前半は面白くて、どんどんのめり込んでいったけれど、犯人とお父さんとのやり取りは何だかイライラというかムカムカというか、早く終らせて!って感じだった。
-
心がひりつく、一冊。
結婚を機に連れ子の義父となった主人公。主人公の必死に「家族」になろうとする姿に胸が痛む。
息子の完璧な笑顔、受け応え…誰もの心の奥に隠されたもの、真の顔を、一枚一枚仮面をはぎ取られるように見せられていく、そんな感じに終始心がひりつきながらも、ひきこまれ一気に読まされる世界だった。
どこまでもまとわりつくネット社会、簡単に思いを言葉を発し簡単に賛同を得られる世界。そしてそれに共感する世代、崇拝する人間が存在し、やがて巨大な思いをうみだすかもしれない…そこに何よりも恐ろしさを感じた。-
こんばんは(^-^)/
これ気になっていたよ!
でもちょっとどうなんって内容で迷ってた。
重松さんってこんな作品書いていたかなぁ...こんばんは(^-^)/
これ気になっていたよ!
でもちょっとどうなんって内容で迷ってた。
重松さんってこんな作品書いていたかなぁ…
まぁ、重かったよね。
くるたんが珍しく星3つなのが気になります(*≧艸≦)2019/04/17 -
けいたん♪おはよ♪
反応ありがとう♡
そうなんだよね、子供、家族がテーマの重い作品!
でもすごい読ませてくれる、ページをめくる手が止まらな...けいたん♪おはよ♪
反応ありがとう♡
そうなんだよね、子供、家族がテーマの重い作品!
でもすごい読ませてくれる、ページをめくる手が止まらなかったよ♪
だけど終盤の展開が…失速感が否めなくてね。
ちょっと、頭が ⁇状態だったのが正直な気持ちだよ(*vωv)
今時の子供ってこんなんなのかなぁ。って考えると怖い!2019/04/17
-
-
重松清は、夢中になって読み漁ったものだ。
一時はあらかた読んでしまい、読むものがなくなったから辻村深月にはまっていったという経緯がある。
いわば、重松清は私の青春だった。
なぜその二人に惹かれたのか。
当時私は学校が大嫌いだった。
小学校も、中学校も、高校も(中高は一貫だった)、「なかった」ことにしたい。
同級生、教師に虐められたこともあったしいじめた事もあった。
これを口にするのは本当に恥ずべき事だが、忘れないことが償いであり、自身への烙印だと思っている。
その痛みを抉るのが著者の作品だった。
しかし、著書に私は光明を見た。
主人公は、中学生の子供を持つ女性と結婚した。
まだ彼は「父」ではなく、お客さんの立場である。
この家族はかつて中学生による無差別殺人の起きた、旭ヶ丘にこしてきた。
「息子」の晴彦は「父」にどうも嘘をついているようだ。
「友達」の「高木くん」なんていない、が、誰か、はいるようだ。
いったいその「友達」は誰?
自分の命をかけるしかない復讐なんて!
命を差し出す価値が、その復讐にあるのか?
優しい晴彦よ、君のやっていることはゲームなんかじゃない。
「父」とは、親とはなんなのだろう。
傷つきやすく、切れないナイフを闇雲に振り回すしかなかったあの頃の私に、今の私は何をしてあげられるだろう。
子供を守るにはどうしたらいいのだろう。
切れないナイフも、切れるナイフも、私を、子供を助けてはくれなかった。
今や守る側にいる私は、何ができるだろう? -
読み進めるにつれ不安感なのか恐怖感なのか、ドキドキが止まらない。何故なのだ…
ー教えてあげますよ。あなたたちは、怖いんだ。犯罪者のことはもちろん怖いし、ほんとうは子どもも怖いんです。…だから安心したいんだ。犯罪者の場合なら、動機を解明して、背景を理解して、自分とは違うんだということをわかりたいんですよ。自分との間に早く一線を引きたくてしかたないんだ。早く安心したいんですよ。…臆病ですね。ずるいですよね。そして、申し訳ないけど、つまらないひとたちだなあって思いますよ。ー
ズバッと斬られてしまった一文。つまらないひとだと言われ、ぐうの音も出ない。でも安心したいんだ。知りたいんだ。分かり合えたらと願うんだ。これじゃダメなのかい?
著者プロフィール
重松清の作品






重松清さんの著書には、こんな作品もあるんですね。コットンさんの本棚は、私の読みたい本がずらりと並んでいて、ビッ...
重松清さんの著書には、こんな作品もあるんですね。コットンさんの本棚は、私の読みたい本がずらりと並んでいて、ビックリしました。これから、よろしくお願いしますね♪
こんな重松清さん、初めてでびっくりしましたよ〜
フリージアさんの本棚、私と重なるところと、そうでないところとあ...
こんな重松清さん、初めてでびっくりしましたよ〜
フリージアさんの本棚、私と重なるところと、そうでないところとあって、色々参考にさせていただきたいと思います(*^▽^*)
これから、よろしくお願いしますね♪