友達以上探偵未満

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 384
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041047484

作品紹介・あらすじ

忍者と芭蕉の故郷、三重県伊賀市の高校に通う伊賀ももと上野あおは、地元の謎解きイベントで殺人事件に巻き込まれる。 探偵好きの二人はこれ幸いと、ももの直観力とあおの論理力を生かし事件を推理していくが!?

感想・レビュー・書評

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  • うーん、大好きな先生だから期待しすぎてしまったのか…もうちょいパンチが欲しかった。でも内容は本格推理推理していた。一問も犯人当ては解けなかった。

  • 名探偵を目指す女子高生のももとあおがコンビで挑む事件3作。日常の謎とかいう軽いものではなくがっつり殺人事件でかつ問題編と解決編に分かれたミステリ。きちんと考えれば犯人特定出来るけど少し見落としあると罠に嵌まって悔しい。直感型のももと論理型のあおなのでももがワトソン役に見えるけど最後の二人の中学時代の「夏の合宿殺人事件」でのそれぞれの視点からの話を読むとタイトル通りの関係だと判るのがいい。ほんのり、いや結構百合です。「謎解きLIVE」見たけど記憶の彼方で真っ新な気持ちで読めたのは良かったのか。

  • 良くも悪くも麻耶さんらしさが無い作品。
    ライトタッチなので読みやすいが、麻耶さんらしさを求める読者には向かない。
    女子高生の凸凹コンビのコミカルさと、読者への挑戦状スタイルを楽しむも良し、二人の心の葛藤や事件の構図を楽しむも良し。
    個人的には、麻耶さんには貴族探偵シリーズみたいな作品を期待したい。

  • 麻耶入門としては良く出来た作品。ただ麻耶作品にしてはあまりに弱い。
    一、二編目はロジカルなミステリで、ある意味作者の特有のやや細か過ぎるほどの論理が楽しめる。犯人当てとして水準は高い。
    三編目はこの作者の本領発揮とも言える展開で、探偵と助手の関係や探偵の存在への観念的な問いかけが浮かび上がる。ただ麻耶ファンとしては今作もそれなりに楽しいが、「今更このネタをやられても」というのが本音かもしれない。一貫してやや真面目なミステリだった。
    ちなみにあお派です。でもももを手元に置いておきたいというのはちょっと分かる(笑)

  • ちょっと一つ目の話しでおもしろさが理解できず読了断念。ほかの方のレビューを拝見すると、ミステリーとして楽しめる作品っぽいことが書かれているので、単に自分にはあわなかっただけ、ということだと理解いたします(なので星の評価もなしにしておきます)。

  • 麻耶さんの新作なんだが、、、普通です。名探偵に憧れる女子高生二人の短編集。化石少女とかあぶない叔父さんとかポップな感じの中に一捻りあるミステリが最近の作では多かったのに普通なんです。いや、犯人当てミステリとしては、勿論相当完成度高いのですが、、、

    伊賀の里殺人事件、、、忍者屋敷での謎解きゲーム中の殺人。忍者の色が鍵となる正統派パズラー。犯人は当たるかも知れないけど、真相の看破は難しい。

    夢うつつ殺人事件、、、美術部の先輩の殺人計画を夢うつつで聞いてしまった後、亡霊騒動の後、本当に先輩が殺されてしまって、、、という話。これも正統派。犯人の絞り込みの過程がロジカル。

    夏の合宿殺人事件、、、主人公あおとももの過去編。二人の視点から語られる事件と名探偵に対する思いは面白いけど、裏切りがなくて残念。今までの麻耶さんの小説だったら、絶対あおが犯人になる流れかと思ってたのに、、、

  • 名探偵を目指す二人の女子高生の物語。
    ももの兄が刑事で捜査情報ダダ漏れとか全体的にライトで毒も少なめだが、もともとはNHKの謎解き番組の企画らしく納得。
    しかし第3話で明らかになるあおのももに対する想いは、さすが麻耶雄嵩である。

  • 飛び抜けて二人の個性が際立っているわけでもなく、萌え萌えしているわけでもなく、わりとたんたんと進む。風景や現場の状況がつかみづらく、いまいち入り込めなかった。第二話は空という名前がリーダビリティを下げていると感じた。パッと見、見上げると見える本物の空なのかと勘違いしてしまう。第三話まで読むに至らなかった。

  • うーん…すごく好きな作家さんなのだけれど。

    ひとつには、この人らしさがない。ある意味「らしい」んだけど、「らしくない」。
    というのは、本書はNHKの犯人当てドラマという企画先行作品なのだ。だから、冒頭で長々と主役2人のキャラクター(外見含む)を紹介したり、そもそもそのキャラクターがJKコンビなどと一般(?)ウケを狙いまくっていたりといった、およそこの人らしくもないことが起こっている。その一方で、第3話で明らかにされる2人の関係性などは、もう明らかに「麻耶雄嵩」である。
    かつて他書のレビューにも書いたが、麻耶雄嵩という人は、そのぶっ飛んだ作風からは意外なほどに(?)、課された決まりはきちんと遵守する人である。今回も「NHKの犯人当てドラマ」というお題にふさわしく、それなりに穏当で、それなりにストレートで、それなりに親しみやすく、それなりにフックがある作品に仕上げている。そしてそれでいて、麻耶雄嵩らしくキッチリと本格していて、ホームズ・ワトスン問題なんて超マニアックなところへも踏み込んだものにもなっている。
    問題は、「保守的でまろやか」なNHKと、深夜放送のしかも推理ドラマを見るようなヲタク層向けの「萌え」、そしてハイパー鬼畜でダークな麻耶雄嵩という3要素があまりにもかけ離れすぎているために、麻耶雄嵩という稀代の鬼才の筆をもってしても、それらを完全には馴染ませきれていないということだ(というか、そんな自然の摂理に反したことは、誰にも不可能なのだろう)。結果として、3つのどれを求める層にとっても、微妙に違和感と不満が残るものになっている。
    他レビューによると第3話の評価が高いようだが、これはおそらく麻耶雄嵩ファンによるものだろう。本作品の元ドラマやフジの「貴族探偵」、あるいは本書の表紙イラストに惹かれた向きには「????」だろうし、麻耶氏の信者を自認する私に言わせれば、逆の意味で引いた——メルや香月や貴族や鈴木くんに比べると、上野あおとかいうこの小娘、あまりにヌルいのだ。
    まあ、それはひとつには、私が女同士より男同士の微妙な関係により萌えるヘテロの女であることにもあるのだろうが…ではヘテロの男がこの2人に萌えるかというと、巨乳でもない理屈っぽくて小生意気なJKなんて、とこれまた「ヌルい」となるだろう。

    本書をひとことでまとめると、「誰得」だろうか。前もこんなこと言ったけど、この人はやっぱり断然、好き放題にのびのび書かせてこそ、なのだ。天才は天衣無縫にさせるのが、我々凡人の務めである。

    2018/5/11読了

  • かの憧れの名探偵だって、最初から名探偵だったわけじゃない、たぶん。
    直感派の伊賀もも(いがもも)と、理論派の上野あお(うえのあお)、女子高生コンビが、将来の名探偵を目指して頑張るお話!
    新シリーズの幕開けか。
    若々しくさわやかでかわいい。
    お互いに対する負けん気と友情も見どころ。

    名探偵が事件にかかわるためには、警察関係者と良好な関係を築かなくてはならないが…
    つい口が軽くなっちゃう情報源は、都合のいいことに、ももの兄、空である。
    空がもうちょっと個性的だったり胡散臭かったりするとなおいいかもしれないが、そこはそれ、JKコンビと主に成長していくのかもしれない。

    文章がテンポ良く面白いので、つけ麺をすするように、するすると読めてしまう。
    一編目は、出だしにしてはいきなりややこしかった。
    私はどちらかといえば、ももタイプなので(ミステリは読むけれど)、人物が多いと覚えられないのである。
    問題を出されるとは思わなかった。不覚。
    メモを取りながら、時間軸や順番も考え、時刻表を見るようにじっくり読むべきであった。


    『伊賀の里殺人事件』
    ミステリー研がなかったから文芸部を経て放送部に入った、ももとあお。
    部長に「伊賀の里ミステリーツアー」の取材をしてきてほしいと頼まれる。
    俳句好きなももの芭蕉愛&地元愛が炸裂!

    『夢うつつ殺人事件』
    伊賀上野城址に隣接して建てられた、ももたちの伊賀上野高校には“お堀幽霊”という怪談がある。
    しかし、げにおそろしきは、生ける人間の心である。
    だしにされて幽霊も迷惑していることだろう。

    『夏の合宿殺人事件』
    あおともも、二人が名探偵を目指すようになった生い立ちと、運命の出会い(!)の中二の春。
    お互いに対するシンパシーとライバル心のせめぎあいを経て、無いものを補い合う良きパートナーとなって今に至る。
    …いつか相手をワトソンにしてやるぞ、という意気込みを胸の内に秘めて!

    次回作にも期待!

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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