- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041049396
作品紹介・あらすじ
信玄亡き後、戦国最強の武田軍を背負った勝頼。信長、秀吉ら率いる敵軍だけでなく家中にも敵を抱えた勝頼は……。かつてない臨場感と震えるほどの興奮! 熱き人間ドラマと壮絶な合戦を描ききった歴史長編!
感想・レビュー・書評
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世は戦国時代ながらも、現代に当て嵌めるとなかなか面白い。カリスマリーダーからの事業承継に苦心する勝頼、上司からの無理難題を超克する秀吉、危機に瀕しながらも外部リーダーシップを駆使する家康、組織の命令に従いつつも地縁を重視する帯刀...。合戦のリアルより、互いの心理戦を楽しむ方が良いだろう。うん、一気読みでした。
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作者らしい精緻で細かい史実に沿った描写に最初は読み進めづらかったが長篠の合戦に近づくにつれて加速していった。創作性の強い歴史物が多い中、本作は正面から長篠前後の武田、織田、徳川を描いた正統小説。一人称が10pくらいで転々としていく形式であるが、秀吉の場面が非常に興味深かった。長篠が銃の戦い方を変えたという史実を知っているだけに、どうやってそこに向かっていくのだろうかという思いで手が動いた。
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リアルな戦場での心理が迫真のタッチでえがかれている
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[評価]
★★★★★ 星5つ
[感想]
勝頼、家康、秀吉という異なる立場の3人から長篠の戦いが書かれている。
とはいっても実際の戦いは最後の数十ページのみで武田信玄が死亡した1572年から長篠の戦いの1575年までが物語の中心で家中の掌握に苦労する勝頼や武田からの侵攻に耐え、織田に対する気遣いで神経をすり減らす家康、信長の無茶振りに対し、既存の構造を破壊しつつ進んでいく秀吉と三者三様の物語が読めたのは面白かった。
また、各主人公の側近の長坂釣閑斎や酒井忠次、羽柴秀長がいい味をだしていた。一方でどの勢力も内部になにかしらの問題を抱えていることが分かるのがその後の歴史を考えると感慨深い内容になっていた。 -
武田信玄の死から長篠合戦終結までの、四者(勝頼、家康、秀吉、武田方雑兵ら)の物語。
「武田信玄、死す―」元亀4年、その噂が戦国の世を揺さぶった。
父の悲願、天下掌握を果たすべく信長の追い落としを謀る勝頼。
生き残りを賭け謀略をめぐらせる家康。
信長の命で大量の鉄砲調達に奔走する秀吉。
そして兵として戦場を駆け回る地侍の宮下帯刀。
男たちは長篠の地に集結し、死力を尽くした戦いに臨む。 -
長篠の戦いに至るまでの経緯につき、人間関係や登場人物の思考などが良く表現できていると思います。
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信長が死んだ後の、かつての戦国最強軍団・武田家vs織田・徳川連合軍の、天下分け目の戦い描いた作品。武田・織田・徳川・秀吉 それぞれの組織の作り方がすごく勉強になる。信玄は強かったけど強すぎて二世がうまく育たなかったんだなあ。徳川は、強さ(カリスマ性)より人の良さで上に上り詰めたんだなあ。とか。
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元々織田信長が読みたくて買ったのですが、織田信長の周りの武田勝頼、徳川家康、豊臣秀吉、および地侍帯刀各々の目線で、長篠の戦いまでが描かれています。私はあまり歴史ものを読んだことが無く、また歴史自体も恥ずかしい理解レベルですので、「え?そうだったの?」とか「へえ、そうだったんだ!」と思う箇所が多く、とても楽しめました。特に武田信玄が亡くなった後の武田家については全然知らなかったのだなあと。同じ著者の方が書かれた「武田家滅亡」も読みたく思っています。