少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041051863

感想・レビュー・書評

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  • ファ、ファンタジーである。
    誰が何と言おうと、間違いないのである。

  • 奇抜なアイデアと勢いに任せた青春ものなのかと思っていたら、いやいや、純情かつミステリアスで読み応えのある素敵な一冊でした。
    あらすじ(背表紙より)
    2浪の果てに中堅お坊ちゃん私大に入学した、十倉和成20歳。ある日、彼のボロ下宿の天袋からセーラー服姿の少女が這いおりてきた。少女・さちは5年前から天井裏を住処にしてきたという。九州男児的使命感に燃えた十倉はさちを庇護すべく動きだした。そしていつしか、自らの停滞の原因―高校時代の親友であり、映画に憑かれて死んだ男・才条の死の謎に迫っていく。映画と、少女と、青春と。熱狂と暴想が止まらない新ミステリー。

  • 登場人物や情景が目に浮かび、終始楽しかったです。ゆったりした前半と、怒涛のラストシーンの対比が印象的。文体のためか、森見登美彦作品と似た匂いを感じました。

    ポップな表紙ですが、読んでよかったと言える一冊でした。

  • 「そもそも合コンとは、何のためにあるのだ」
    「…はあ?」
    「時間を浪費して、金を浪費して、心を浪費して、価値観の合わぬ女子と話すことのどこに意味があるのか」
    「意味なんてない。ただ楽しいからに決まっているじゃないか」

    『無論亜門は喧嘩を売っているわけではない。母親の胎内に愛想というものを置き忘れてきただけである。』

    「いまどき稀な苦学生であるうえに希少性の高い大和撫子的風貌をもつ。何か彼女のために、勉学の妨げにならぬ、効率のよいアルバイトを紹介してくれないか。もちろん、品行方正なもので頼む」
    「途中までいろいろ思いついたが、品行方正で雲散霧消した」

    「見ろ。人生など所詮一場の舞台だ。どう踊るかはそれぞれだが、踊りきらんやつは男ではない」

    『何を踊るのか。
    人生という舞台で、いかに踊るのか。』

    『暇なやつしか悩まない、とは人生の一面の真実である。死に物狂いでやっている最中にそうそう惑わされることなどないらしい。』

    「聞け、十倉和成。おまえは何の為に生きている」
    「なんだいきなり」
    「この天のもと、おまえはいったい何を踊るというのか」

    「天才という言葉は、天才と呼ばれる人々に対する最大の侮辱なのです」

    「うるさい、よいか。天才とは理解できぬものをそう呼べば便利だから使われる言葉である。あいつは天才だ、自分たちとは違うのだ、そんな台詞は身を切るような努力を知らぬものたちの言い訳である」

    『そうである。舞台の幕はもうすでに上がっている。客も大入りだ。芝居は最後まで続けねばならぬ。今ここでこそ、自分に出来る最高の踊りを踊らねばならぬ。』

    「すべては繋がっているのではないかとさちは思います。この世に、奇跡と呼ばれるものが実際に起きたとき、それが奇跡であると知れるのはずっとずっと後のことなのではないかとさちは思うのです」

    「生きていれば誰かの足を踏むものだ」「そして踏まれるものだ」「傷ついている暇があれば強くなれ」「笑い飛ばせ」「世の中は所詮一場の舞台である」「踊れ」「おまえの踊りを踊れ」「人は無心に走るものの背中に惹かれるんだ」「いつしか追いかけてしまうのだ」「それが流れとなり」「やがて世界を動かすのだ」

  • 帯ほどの衝撃はなかったけれど、確かに余韻は強い。鈍い痺れが少し続いて、その後に思い出したような爽やかな気持ちになれる。
    最後の一文は確かに粋。

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著者プロフィール

小説家。「ニトロプラス」所属。著作に『幽式』、『フェノメノ』シリーズ、『少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語』、『黙視論』、『謎の館へようこそ 白』(共著)などがある。

「2018年 『僕だけがいない街 Another Record』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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