芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫 え 1-2 江戸川乱歩ベストセレクション 2)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053294

感想・レビュー・書評

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  • どの短編集も怪奇染みてて、超常現象なのでは無くて人間の異常な心情模様が描かれていた面白かった。

  • 今まで江戸川乱歩の作品だったら指か芋虫が1番グロいと思ってたけど、踊る一寸法師が1番かも
    人を殺す過程もそうだけどみんなよってたかって弱いものいじめをする、みたいな人間の悪い所・グロさが出ててなんとも言えん

  • なんと奇怪な物語なのだろう、なんでこんな描写ができるのか…ゾワっとする心理的描写ごとても恐ろしい。人間椅子もそうだが、江戸川乱歩はやっぱりすごい!是非読んでほしい物語です。

  • 怖い。変な夢を見そう。でも読んでしまう。「赤い部屋」は以前にも読んだことがあったけど、やっぱり面白かった。次はもう少し長めの話が読みたい。

  • はじめて江戸川乱歩の作品を読んだ。思っていたよりも読みやすく、かなり夢中になって読んだ。「芋虫」「指」「火星の運河」「白昼夢」「踊る一寸法師」「夢遊病者の死」「双生児」「赤い部屋」「人でなしの恋」の9つの話からなる短編集であり、そのなかでも「夢遊病者の死」と「赤い部屋」が好きであった。「夢遊病者の死」では夢遊病にかかっている彦太郎と父は仲違いをしており、ある朝、起きてみると父が亡くなっていたという物語であった。「赤い部屋」は全ての物事に対してつまらないと感じているT氏が赤い部屋の中で娯楽のために犯してきた罪を話す物語であった。江戸川乱歩の小説だけあって、「すっきり解決!」するような話が多いと思っていたが、むしろすっきりしないような、少し気持ち悪いような話ばかりだった。しかし、それはそれでとても面白く、また彼の作品を読んでみたいと感じた。

  • 表題作「芋虫」が読みたくて手に取りました。
    元々探偵小説はあまり読まないのでなんとなく江戸川乱歩も手を出して来なかったのですが、このシリーズは怪奇小説の短篇集で面白いです。
    「芋虫」は戦争で五体不満足となった夫を表現していて、腕も脚もなく這いずり回る様子がなんとも不気味でありつつ、その夫を愛でる妻が生々しく妖艶でした。
    個人的に「赤い部屋」の狂気に満ち満ちて陰鬱としていながらも幻想的な描写が、最後のトリックでパッと光を浴びる瞬間の潔さが好きです。
    また「芋虫」「人でなしの恋」など江戸川乱歩は女性の描写が上手くて、怪奇話でありながらも決して所謂心霊現象などではなく生々しい狂気の話で、その中にも幻想的耽美的な表現が多く、不気味な美しさを魅せるのが上手いと改めて感じました。

  • みんな気持ち悪いとかグロいとか言うけど、私はどっちかっていうと切なくて辛かった…。「ユルス」で涙腺がやられた。

  • 昔読んだ芋虫がどうしても読みたくなりまた読みました。
    芋虫って題名が好きすぎる・・・
    あの状態を芋虫と表現するとは・・・。
    赤い部屋の感じ結構好きだな!
    あのちょっとクトゥルフっぽい感じww

    全体的にやっぱりこの人の文章はなんか気持ち悪いww
    やっぱりポーさんぽい!

  • 江戸川乱歩は小学生の頃少年探偵団シリーズを夢中で読みあさって以来で何となく懐かしく読みました。
    イメージ的にはエログロなイメージだったんですが表題作の芋虫には正直心臓をわしづかみにされた位衝撃を受けました。
    須永中尉のとてつもない優しさとユルスの文字。
    それを書いた時の須永中尉の気持ちを考えるととてもやりきれない気持ちになりました。
    また人でなしの恋はとても切ない悲しい物語でした。
    乱歩の懐の深さを伺い知れる短編集だと思います。

  • 怖かった…
    芋虫よりも、めくらの男が次々とキレイな女をさらって殺していく『盲獣』が怖かった。

  • ベストセレクション2。表紙が違うけれど。
    手に取ったのは結構直接的なイラストでした。
    いくつかの短編集。

    解説 三津田信三氏
    『ほとんど超常的な現象が扱われず…いわゆるサイコ・ホラーである。』
    ソレダ!!ホラー(日常系?)とか、自分の語彙力の無さに凹む…。

    だからこそ物語が終わってもその後を色々考えてしまい、じわじわとしたものが残る。実際起こり得そうな話だからこその怖さがある。

  • ゴシックなホラーっていう印象ですね。

    この時代だからこそ書ける作品な気がします。
    いまじゃアホみたいに言葉や表現の規制ばかりしてる愚かな人がふえましたから。

    このままでは、こんな雰囲気の作品は二度と世に生み出されなくなりますよ。

  • 【本の内容】
    時子の夫は、奇跡的に命が助かった元軍人。

    両手両足を失い、聞くことも話すこともできず、風呂敷包みから傷痕だらけの顔だけ出したようないでたちだ。

    外では献身的な妻を演じながら、時子は夫を“無力な生きもの”として扱い、弄んでいた。

    ある夜、夫を見ているうちに、時子は秘めた暗い感情を爆発させ…。

    表題作「芋虫」ほか、怪奇趣味と芸術性を極限まで追求したベストセレクション第2弾。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    美しいのか恐いのか、やっぱり…恐い話だと思います。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 江戸川乱歩の小説を読むのは初めてだったけど、思いの外読みやすくて驚いた。もっと難解なのかと完全に思い込んでいた。

    ホラーで耽美で哀しくてちょっと皮肉めいていて、人間の根底にある醜さが表されてる物語が多いのに、なぜか美しい。
    表題作「芋虫」のじっとり湿った気味の悪さと哀しさ。
    たった3ページしかない「指」という物語がものすごく印象に残った。
    映像が頭に浮かんでくるような描写が美しくて、その世界に引き込まれる。

  • どれも何とも後味の悪い、人間のエグみを前面に絞り出した作品群。何時ものように、経験談を拝聴し、書にしたためた、という、乱歩の描写の仕方は、このような日常から遠くかけ離れた題材では特に際立つ。これを読む人は、不幸と泥沼に喘ぐ人々を、高所から見下ろす、そんな神的な視点を味わうこととなる。

  • 芋虫ほか何編かを収録。
    たまに読んでみたくなる本かも。
    乱歩という人は、タブーとされる人間の潜在的な欲望(エログロ)への心理的な描写に、正直すぎるほどまじめに取り組んだ作家なのだろう。

  • そのジャンルを代表するくらいなのだから、賞の名前になっている人の作品は読んだほうがいいんだろうな、ということで。寺島しのぶ主演「キャタピラー」の原作を含む短篇集。表題作がそりゃもう抜群にいいのだけど、『赤い部屋』も面白かった。全体的にグロテスクで耽美派で、こういう世界が好きな人って結構いるなあという感じ。こういうのが捻くれていくと『ドグラ・マグラ』になるのかなあ。。『人間椅子』も読んでみます。

  • 芋虫の救いのない感じがとても美しいです。
    程よい欠損と後味で最高でした。
    正直芋虫以外はあまり印象にないのですが、踊る一寸法師もとてもおもしろかったです。囃しと水責め(酒責め)が、あっさりですが綺麗でした。

  • 初めての乱歩。名前だけでミステリー推理小説ばかりを書く人だと思い込んでいて、推理小説はエドガー・アラン・ポーやコナン・ドイルで満足していたからこれまで読んでいなかった。ある人が「芋虫」を薦めていたのでたまたま書籍のタイトルになっていた本書を購入して読んでみたらすごく良かった。「芋虫」以外は...。

    本書は角川ホラー文庫が編纂しただけあって奇怪もの・幻想ものの短編が収録されていて、その世界観が自分にものすごくマッチしていた。村上春樹の幻想ものも好きだが、彼の作品にはない、人間の根幹にあるホラー性に引き込まれる。乱歩の描く人間のホラー性は村上春樹の小説や映画「キャタピラー」で描かれているエロスや暴力性よりももっと心の深いところにあるものである。実際、エロスや暴力性を描くところで終わってしまっている最近の村上春樹の小説や「先進的」邦画には辟易するものがあるが、乱歩の作品では「人間の根幹に存在するホラー性」と今まで考えたこともなかったテーマについてすんなりと入って行くことができた。

    さて「芋虫」であるが、本書に収録されているものは伏せ字だらけでせっかくの乱歩の世界観が台無し。途中で読むのをやめてしまって他社の文庫本を購入して読み直してしまった。作品自体はものすごくいい。もう乱歩の虜になってしまったかもしれない。

    乱歩の作品は各社文庫本を出していて編纂の仕方も異なるから最初から一通り読んでみようという意気込みがない限り、最初にどれに当たるかでその後の明暗というか好きずきを分けてしまうかもしれない。自分はたまたま最初に読んだ文庫本が(「芋虫」を除いては)「当たり」だったので、もっと他の幻想・奇怪ものを読んでみたいし、推理ものも読んでみたくなって、ちくま文庫の短編全集を購入した。

  • 芋虫、本当に気持ち悪いなと思ったけど時子の気持ちというか癖わかる〜と思ってしまって自分でもちょっと引く

  • 気持ち悪いという感情以上の吐き気がする。
    いやだ!いやだ!って叫びたくなる。なんなんだろうこれは。。
    怒りとか残虐性とか自分の一番醜い部分が引っ張り出された気分。時子に共感なんかしたくないのに、ちょっと気持ちがわかってしまうこの感じはなんなんだろう。。
    どこまでが人間でとこまでが芋虫なんだろう。「ユルス」って書いた須永中尉は確かに人間にみえたけど、最後に草むらで這いずり回るアレは芋虫にしかみえない。中身は変わってないはずなのに。。中身もかわってるのかな?分からない。。

  • 三津田さんが解説を書いていると知って。「人でなしの恋」は現代に通じるような話でした。

  • 現実ホラーって感じで面白い。個人的には双生児って話が好き。

  • 主人公の時子は、戦争で両腕両足を失くした上、話すこと、聞くことさえもできなくなった夫を、歪んだ情欲で支配する。ある日、情欲と憐れみと自己嫌悪の入り混じった昂りから、夫へ取り返しのつかない仕打ちをしてしまう。我に帰り許しを乞うた妻に、夫が遺したメッセージ。。。
    怖ろしくもあり、愛とはなんなのか、夫婦とは何なのか、を考えさせられた。

  • 江戸川乱歩の天才性がよくわかる
    解説がよかった

  • 陰鬱でドロッとした赤黒い感じの話ばかりで面白かった。「芋虫」はずっと読みたかったからやっと読めて良かった。

  • 読んでいて心臓を掴まれているような、続きを読むのが恐ろしいけど気になってついついページをめくってしまうようなそんな小説ばかりでした。
    夢遊病者の死と人でなしの恋が好きです。

  • 小学生以来の江戸川乱歩。出てくる言葉は難しく、こんな文章を小学生のころに読めてたのか疑問。一つ一つが短いストーリーなので、一気に読めた。これを機にミステリー小説にも挑戦。

  • とりあえず表題作について。
    残酷すぎる。人間は残酷すぎる。でも、嫁さんの気持ちもわからんでない。人間には、なにやら薄暗い茶目っ気が潜んでいる。

  • 前巻「人間椅子」よりも個人的に好みの話が多かったかも
    丸尾氏の漫画版も気になるのでパノラマ島綺譚までは読みたいシリーズ

著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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