剣姫、咲く (1) (角川コミックス・エース)

著者 : 山高守人

• KADOKAWA (2017年3月25日発売)

作品紹介・あらすじ

「私の"敵"になってくれない――？」高校一年生・草薙諸葉は入部したての剣道部で、圧倒的な剣道の実力を持つ少女・戸狩姫咲に出逢う。二人の正反対の少女は、剣道を以て、惹かれあう――。本格剣道青春譚！

感想・レビュー・書評

[電子王さんの感想 · 2018年3月14日]

剣聖として名高い戸狩鋭次の一人娘、戸狩姫咲。
美しさの鞘に収められている刃の切れ味たるや、天下五剣に勝るとも劣るまいよ。

比類なき強さ、コマ割りを存分に生かした間合いの取り方。
中二病ギリギリだけど、センスのあるセリフ選び。
どれをとっても平均以上に面白い作品なんだけど、舞台設定がダメ。
幕末で逆刃の剣士を相手に大立ち回りをする訳でもなく
異世界転生して、刀一本で道を切り開くわけでもなく
女の矜持を満たすために、ゾンビ化した学友を切り捨てる訳でもなく
舞台は現代の普通の高校ですよ、女子剣道部ですよ。
ちょっとではなくかなり剣道を誇張しているので、読んでいて引いちゃうわ。

姫咲さん、可憐で強いけど
彼女が歩んでいる道は剣聖への道ではなく、確実に修羅道。
最後には羅刹になりかねないよ、怖いよ。
日常や剣道描写そのものは面白いんだから
もっと読み手に優しい漫画であってほしかったな。

でも逆に言うと、現代の高校女子剣道部で
無類の強さで相手をなぎ倒していく女剣士の物語がストライクな人にとって
過去これ程までに素晴らしい作品はあっただろうか？
ないね。