笑え、シャイロック

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 497
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054048

作品紹介・あらすじ

傍若無人なヤクザ銀行マンと新米社員。とでこぼこコンビが金融業界の闇にメスを入れる!

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    帝都第一銀行に入行し、都内の大型店舗に配属が決まった結城。
    そこはリーマン・ショック後に焦げついた債権の取り立て部署、
    上司となるのは伝説の債権回収マンとして悪名高い山賀だった。
    百戦錬磨の山賀の背中を見ながら、地上げ屋、新興宗教、ベンチャー企業など、
    回収不可能とされた案件に次々と着手せざるを得ない結城。
    そんなある日、山賀が刺殺体で見つかる。
    どうやら帝都第一銀行の闇を山賀が握っていたようなのだ―。

    大手銀行で順調に出世街道を走っていると自負していた結城。
    突然の債権回収をする渉外部に移動となり複雑な心境になっていた。
    しかし、「シャイロック」の異名を持つエース山鹿の下で働くうちに、
    山鹿の手腕や仕事への矜持に惹かれ始めていた。
    仕事にやりがいを感じ初めて居た頃、
    何者かに山賀が殺されてしまう。
    山賀が抱えていた、回収不能とされた案件を一人で次々と解決していく姿。
    債権回収の手法が債務者の度肝を抜くとんでもないものなので、
    毎回感心すると共に楽しめました。

    ただ、残念だったのが元祖シャイロックの山賀があまりにも
    早い段階で消えてしまった事でした。
    彼の矜持は素晴らしかったし、魅力的でもあったので
    もう少し彼の人とのなりとか手腕を味わいたかったです。

    結城の成長や社会問題をさりげなく刺している事、
    債権回収の手法を楽しんでいるうちに誰が山賀を殺したのか?
    ミステリーの部分を忘れてしまっていましたが、
    最後にすっきりと明かしてくれました。
    やっぱり、どんでん返しもありました。
    サラサラ軽く楽しめた一冊でした。

  • 順風満帆に出世を狙う銀行員の結城さん、営業部から渉外部へ突然の辞令。渉外部は花形ではないようですが、債権回収抜群の成績で全国でも名を馳せているシャイロックと呼ばれる山賀を師事して、銀行員として成長するお話...あれ?山賀さん殺された⁉︎(´⊙ω⊙`)
    かなりビックリな展開。

    山賀さんの仕事を引き継ぎ、教えを元に債権回収を頑張る結城さん、無事債権回収なるか⁉︎
    シャイロック山賀は誰に何故、殺されたのか⁉︎

    お仕事小説と思ったら衝撃的な山賀さん死亡...
    出てくる宗教団体の過去話は嗤う淑女、蒲生美智留さんの仕業の事件話ですよね?

    面白かったです(o^^o)



  • 債権回収における人間模様とそこに潜む巨大な闇を描いたストーリー。
    殺された山賀の後を継ぐかたちで奔走する結城。
    5話からなる債権回収もどんどん高額、難易度が高くなっていき。
    ストーリーを重ねて回収マンとして成長していく結城の姿が読んでて気持ちよかった。
    山賀殺人の絡む人物として予想は出来ていたけど。
    更に深いところに持っていくのはさすが中山作品。
    この作品も面白く読みました。

  • 帝都第一銀行渉外部に配属された結城。上司は優秀ながらも癖のある山賀、伝説の債権回収マンとして活躍していた。勇気は山賀と組んで学びながらも仕事を進めていたが、山賀は殺されてしまう。山賀の仕事を引き継いだ結城だが、宗教家やヤクザなど癖のある債務者ばかりで、苦労する。最後には山賀を殺した犯人を一体誰かも判明。
    銀行を舞台にして金融を描いているのが、意外でした。でも、雰囲気だけでなく、テーマ、主張が濃く出ているところがさすがです。そして、一つ一つ結城が努力し解決してゆく姿が読んでて気持ちよかったです。銀行内部の事情が強く、犯人推理はさらりとして、でも本作は山賀の色があってか楽しめましたが、どんでん返しとかどぎついものもなくさらりとしすぎ? という感も。

  • シャイロックというあだ名を持つ回収のプロについた結城
    様々な案件の関わる中、シャイロックが殺され、彼の残された案件を引き継ぐ事になり、その中でシャイロックを殺したのは誰か?

    難しい案件は、2代目社長や新興宗教の教祖、国会議員、ヤクザ
    みんな癖のある人物と対峙する結城くん

  • 倍返しのような話かと思ったら、2話目でまさかの急展開。殺人事件と債権回収の二頭を追う主人公の奮闘ぶりが面白い。債権回収のそれぞれのエピソードがリアルで、どれも面白かった。最後のどんでん返しもいつも通り楽しめた。

  • ピアニスト、弁護士、法医学者、保育士、もちろん刑事も。
    著者の主人公はバラエティーに富んでいて,その引き出しの多様さに感心するばかり。
    そして、今作は、銀行員!
    債権回収部門に配属された主人公結城が、上司の山賀の背中を見ながら、回収困難とされた案件に次々着手し、見事に成果を上げていく。
    上司の殺人事件の謎解きがメインといえる推理小説ではあるが、池井戸潤ばりの金融小説と言ってもいいか。
    専門家から見れば、こんなに都合よくにはいかないよ、との指摘もあるだろうが。
    しかし、山賀の次の言葉には、共感する面々が多いことだろう。
    「バブル崩壊の責任の一端はその時々の回収担当者にもある。そいつらが自分に課せられた仕事をこなし、先送りになんかしなかったら、あんな崩壊の仕方はしなかった。金融に身を置く者の無責任さと他力本願が日本経済を崩壊させたんだ」

  • 読んでいる途中で、作者は中山さんだっけ?と思ってしまいました。
    殺人事件が発生しますが、犯人捜しというよりは、銀行マンの成長ストーリーといった方がいいかも。おもしろかったし、読後感も悪くないです。
    なんとなく、銀行が舞台ってことで池井戸作品に似た雰囲気と感じてしまいました。

  • 債務回収の若手行員の猪突猛進、成長小説。ちょっぴりミステリー。
    回収手法はバラエティに富んでいて面白いが、今時、仕事に使命感感じてシャカリキ働く社会人は相入れず白けてしまう。彼女の存在も希薄で、本当に必要?と思ってしまう。遅かれ早かれ2人の関係は破綻するでしょう。
    余談だが、表紙のイラストが中居くんに見えてしまうのは私だけだろうか。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    帝都第一銀行に入行し、都内の大型店舗に配属が決まった結城。そこはリーマン・ショック後に焦げついた債権の取り立て部署、上司となるのは伝説の債権回収マンとして悪名高い山賀だった。百戦錬磨の山賀の背中を見ながら、地上げ屋、新興宗教、ベンチャー企業など、回収不可能とされた案件に次々と着手せざるを得ない結城。そんなある日、山賀が刺殺体で見つかる。どうやら帝都第一銀行の闇を山賀が握っていたようなのだ―。“どんでん返しの帝王”が放つ、ノンストップ・金融ミステリー!




    銀行モノの小説といえば 池井戸潤さんを思い浮かべるけど この作品は殺人犯を追うというミステリーも含まれていて面白かったです。
    小説や映像化により 知らなかった銀行の内部が少しは知れたと思います。
    ベテラン債権回収マンの山賀があっけなく殺されてしまったのがちょっと残念です。
    もうちょっと結城との絡みを読みたかったと思いました。
    キャッシュレス決済が少し浸透してきているけど 銀行に何か影響はないのかな?
    ひと昔前は銀行に就職したい人が多かったですけど...

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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