少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056035

作品紹介・あらすじ

やがてこの町から消える少女なずなを巡る典道とその仲間の少年たち。花火大会のあの日、彼らには何があったのか。少年から青年になる時期の繊細で瑞々しい時期の友情と初恋の物語。映像化されなかった幻のエピソードを復刻し、再構成し、劇場アニメ版にあわせて書き下ろされた、ファン待望の小説。テレビドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のOAから、24年の歳月を経てよみがえる、原点ともいえる物語。岩井版の『銀河鉄道の物語』。本書の本編のあとに書き下ろされた「短い小説のための長いあとがき」には、本作品を、始まりの部分がら深く楽しむための創作秘話が書かれている。

感想・レビュー・書評

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  • 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」はモストフェイバリット。
    アニメ映画は惜しいと思った。
    「短い小説のための長いあとがき」が読みたくて買ったが、意外と本文も楽しめた。
    映画版との違い、というか気になったのは、
    ・「銀河鉄道の夜」への言及。
    ・なずなと二段ベッドで、というシチュエーション。(をいをい!)
    ・なずなの鬼母が結婚式前日にかけおちを考えていたという挿話。(「卒業」未遂。娘による真似。)
    ・自転車で二人乗り、海岸で貝拾い、大きな真珠玉。(アニメ映画への目くばせ。)
    ・なずなが転校……肩の荷が下りたような安堵感。(わかるぅ! でも知らなかったからこその抒情だったと思うので、この改変は大きい。)
    ・花火大会以後険悪になり、高2で純一から聞いた、少年たちの灯台行き。稔の火傷。(下へつながる。)
    ・例のプールシーン。大泣きする感受性が失われて大人になるのだとしたら、あの夏はそのはじまりだった。(子供目線そのままではなく、その後も緩やかに含んでいる描写。)
    ・「願い事言ったら、叶うかなと思ったけど、もったいないから使わなかったよ」(アニメ映画への目くばせだが、もはや奥菜恵の声で脳内再生されるので、この一言の追加は嬉しい。)

  • アニメ化のおかげで岩井俊二監督の映画版に出会えた世代。奥菜恵がホントにかわいい。小さい頃にはドラマ「ふたり」を毎週たのしみに観ていたことを思い出した。
    なずなが言う「今度会えるの二学期だね。……楽しみだね」の破壊力。これは、典道がナズナはもういなくなってしまうということを知らないと思うからこそではないか。
    小学生男子のあの頭のなかゲームとマンガとうまい棒みたいな感じがリアルに描かれていて、初恋とよぶにはぼんやりとした親しみの置きどころがわからない感じが懐かしい。

  • ドラマ版のストーリーと、その前のボツネタを一つにまとめたお話
    アニメ映画のノベライズと同時に企画されたようだ
    ってか、あとがきでアニメ化したときのエピソードが語られていて、大根仁とのやり取りにお互いの愛を感じる

    それにしても岩井俊二は子供の頃の話を作らせたら、心を抉られるようなクリティカルな作品を作るからなぁ
    熱烈なファンがいるのがよくわかる

  • 最後に書いてあるナズナの意味にはっとした。これも1種の伏線なのか?
    好きだーって叫ぶところにグッときた。こんな青春過ごしてみたい人生だった。

  • 本作こそがある意味で原作であり、もう一つの軌跡。少し大人になった典道のあの夏の日の回想。僕らはまだ子供だった。自分の気持ちの説明もできず、理性も芽生えていない。うまく表現できない感情を持ったまま、言葉を放つ。友達とは変なノリの連続で、急に叫び出す。そんな中、なずなとの出会いは永遠の記憶となった。なずなも同じ。「不思議な玉」を見れば思い出す。だから渡した。典道に覚えていてほしくて。そして典道との「かけおち」がなくなるなんてもったいないから。だからこそ、定められた運命の中であの日はかけがえのないものになった。

    岩井俊二さんのあとがき、典道らがあの頃なにを思っていたのか(特に第十章とか)、映像だけではわからない部分が知れて色々とスッキリした部分もあり、読んで良かったと思う。最後に「なずな」の意味も知り、あぁ……切ないよ。。。
    ドラマ版は見てないが、映画版とアニメ版、そしてこの小説版で一つの作品のようだ。

  • この作品の経緯が未だ理解できず笑
    あらすじの著者版『銀河鉄道の夜』というのもよくわからなかった。

    アニメ映画しか見てないからですかね?アニメ映画の方が銀河鉄道の夜らしさはあった気がするけど。。

  • 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のテレビ(映画)版(岩井版)が大好きでそれの描かれていなかった話を含めたストーリーが本当に良かったです。
    アニメ映画版の内容の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のノベライズより「少年たちは花火を横から見たかった」の方が好み
    テレビ(映画)版(岩井版)と比べると、アニメ映画版の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は正直嫌いです。無駄なSF要素を入れて変にしてる。

  • 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の映画を見たので、あらすじは理解したうえで読んだ。懐かしい初恋のような幼い恋心に共感するし、なずなの大人びたミステリー感漂う雰囲気と典道の少年感の対比がたまらない。甘酸っぱいような、せつないような、短いけれど、話がスッキリまとまっていて満足。

  • 美容室で髪を切ってもらう間に。
    いいねー、初恋のほろ苦さと少年たちの無邪気さおバカさが描かれている。男の子っていいなー、主人公が男だからこその爽やかさ。

  • 978-4-04-105603-5 157p
    2019.7.5 7版
    △アニメ→アニメ版の小説 で、ドラマがあると知ったがまだ見ない状態で読んだが
    やはり、消化不良な内容。
    著者の後書きにだいたいの内容説明はあるがなんだかなあと思う

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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