知らない記憶を聴かせてあげる。 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 52
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056080

作品紹介・あらすじ

反訳(はんやく)とは記録媒体に吹き込まれた音声や動画を、文字に書き起こす「テープ起こし」の作業を指す。清澄白河にある音谷反訳事務所の店主・久呼(ひさこ)は、仕事の腕は超一流だが「個人宛てのテープは起こさない」という信条を持っていた。ところが新たな依頼は、トラウマを抱える青年・陽向の亡き叔父の遺稿を起こしてほしいというものだった。吹き込まれた声の裏にある本当に伝えたい想いとは――記憶(こえ)がつなぐ絆と再生のお仕事小説!

感想・レビュー・書評

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  • 初めは少し暗い話かなと思いましたが、全然そんなことはなく、楽しく読むことができる恋愛小説でした。
    ちょっぴりわくわくさせる気持ちになる小説でした。

  • 女性の反応に鈍感、「俺何かやっちゃいました?」と言いつつ難関とされることを進める……これは、ライトノベルの主人公ですね。

    仕事をすることをテーマにしておきながら、どことなく皆幼さを感じてしまいます……。
    仕事の楽しさとか、仕事を通して人さまのお役に立てるとか、感謝されるとか、テーマとしては良いのですけれど。個人的にはもう少し深みがほしいです。どん底から這い上がったはずなのに、その変化があっさりえがかれていて、もったいないです。

    続きがあることが前提なのか、登場人物に関する情報が匂わせで終わってしまっているのが残念です。


    (以下、読みながら綴った感想)


    2023/01/17 p.5-16

    p.5
    “廊下でヒステリックに鳴り続けている黒電話が、”
    お、黒電話。いつの時代の物語なのでしょう?

    p.5
    “スマホの電源は切って、”
    ……ということは、現代なのでしょうか。

    p.7
    “知らない人とも気兼ねなく話をして、ときには刺激をもらう。”
    コミュニケーション能力が高いお方……。凄いです。

    p.15
    “がちゃりと通話の切れる音がした。”
    えぇ……それが、お客さんへの態度ですか……?


    2023/03/21 p.16-111

    p.22
    “二人とも俺よりいくつか年上のようだ。”
    それにしては子どもっぽい反応ばかり……。社会人経験がないのでしょうか……。

    p.22
    “かつての……がそうであったように。”
    あの人、って言えばいいじゃないですか。この表現、苦手です。

    p.26
    “そんな人たちを見抜けもしなかった愚かな自分。”
    そうですね。全然気がつかなかったのか、あえて気にしないように目を逸らしていたのか……。
    どちらにせよ、愚かだとは思います。ただ、そんなの、最初からわかる人はいません。何事も経験。

    p.40
    “表情を変えずに、口調だけはからかうように久呼さんは口にする。”
    器用ですね、この方。

    p.51
    “普通は他人の目が気になるでしょう”
    (中略)
    “そんなの、自分にとって大事なものが違うだけのことでしょう。”
    そう言い切れるのは凄いです。実際、そうなのですけれど……。

    p.68
    “仕事を始めてから誇りを持つのか。誇りを持つから仕事を選ぶのか。”
    大抵の人は、仕事を始めて、続けていくうちに誇りとかプライドとかこだわりとか、諸々の感情を抱くようになるのではないでしょうか。

    p.111
    “『仕事』とは何なのか。出会う人全員に聞いて回りたいという欲求に駆られた。”
    社会人みんなに聞いてみたいです。
    あなたにとっての「仕事」って、どんな存在ですか? 何のために働いていますか?


    2023/03/23 p.111-140

    p.123
    “自ら閉じこもった扉を強引にこじ開けようとしても、傷付けるだけではなかったか?”
    そりゃそうです。強行突破は関係性を崩します。

    p.140
    “集中してしまうと、休憩を忘れていることをいつも指摘されている。”
    同じタイプですね。世間的には、「過集中」と言うらしいですよ。


    2023/03/24 p.141-156

    p.155〜156
    “俺はデビュー以来、すべての作品の単行本と文庫を買い続けている。”
    おぉ……いわゆるガチ勢ですね。


    2023/03/25 p.156-285

    p.200
    “伝えたいことが伝えたいとおりに伝わることって、百パーセントありえないと思うんです。だからこそ、少しでもわかってもらうことができたら、”
    (中略)
    “喜びを感じます”
    伝わる、って、とてもうれしいことです。むつかしいことだとも、わかっています。

    p.204
    “伝わっていることを祈るしかないです。それに、二度と会えなくてもテープは何度でも聞き返せる。”
    手紙も、捨てなければ、何度でも読み返すことができます。
    わたしは、過去の手紙によって、愛を感じました。

    p.204
    “送ったあとは信じるだけだと思います。いまでも未来でも、きっといつか伝わってるって”
    必ず伝わると思い込むのは危険ですけれど、いつか伝わるといいなぁ……と思います。

    p.229
    “いつまで経っても自分からは話そうとしないでしょう。だから聞いてるんですよ”
    話そうとしてくれない人に、聞いてもいいのでしょうか……。
    聞いてもいいのかわからなくて、聞けないことが多々あります。どんな些細なことでも。

    p.276
    “どんなに推察したって自分の目に映っていないものは見えないんですよ。だから見たままを信じるのが心の健全のために一番いいんです”
    ……はい。余計なことを考えないようにします。

  • キャラも魅力的で
    話もいい感じに展開していって
    これは当たりだ!

    主人公がなかぬか恋愛方面には
    気持ちが向いてないことが残念ですが、
    続きがあればそれも進んでいくかな?
    続き、あればいいなー

    ジャケ読みでしたが、この作者の本、読んでいきたいです♪

  • 前半丹羽の空回っている子供っぽさが目に付きますが、後半は子供っぽい素直さが良い味出してます。
    テープ起こしという仕事を頑張る情熱も良いですが、無自覚の恋愛も可愛らしい。

  • 信じていた人たちから裏切られた主人公が、ひょんなことから出遭ったテープ起こしの仕事と個人事務所店主の久呼さんを通して再起していく物語。

    仕事とは何か、ということで自身は今どういうスタンスで仕事をしてるのかを思い直せるきっかけになりました。

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著者プロフィール

埼玉県坂戸市出身。成城大学卒。東京都板橋区在住。第1回 角川文庫キャラクター小説大賞において「コハルノートへおかえり」で奨励賞を受賞。

「2023年 『あけびさんちの朝ごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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