- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041056158
作品紹介・あらすじ
とある山荘で会社経営者の妻と8歳の息子が転落死した。夫は無実を主張するも、容疑者として拘束される。しかし、関係者の発言が食い違い、事件は思いも寄らない顔を見せはじめる。遺された妻の手記と息子の救援メール。事件前夜に食事をともにした友人夫妻や、生前に妻と関係のあった男たちの証言。容疑者の弁護人・睦木怜が最後に辿り着く、衝撃の真相とは!? 関係者の“告白”だけで構成された、衝撃の大逆転ミステリ。
感想・レビュー・書評
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「敗者の告白」
転落死した妻子 残った夫。その妻が残した夫に対する告発文。「私が死んだらそれは夫の仕業です」と、息子が死する前におばあちゃんに送った一通のメール。「僕はお父さんとお母さんに殺される」
そして「妻は自分を殺そうとしていた。正当防衛だ」と無罪を主張する夫。果たして何が本当で何が嘘なのか、誰が誰に殺意を持っていたのか。
一見、視界クリアな道が開かれているように見えて、目的地が見えない不思議な旅だった。
この家族の「告白」から連なる関係者達の「告白」が、主に夫の担当弁護士に向けて語られ、徐々に真実が明らかになっていく。今となっては珍しくない構築だが、やはりジワジワと全容が見えてくる形式は先が気になって仕方が無い。
「夫の親友」「その妻」「不倫相手」とまぁ様々な告白が繰り広げられる中、妻の不倫相手である「歯医者の告白」にはクスッとせずにはいられないでしょう。敗者ならぬ歯医者。もしかしてこちらのお方スーパーキーパーソンなのかなと、いらん考察を繰り広げた経緯は置いといて。
亡くなった妻子の告白、正に「敗者の告白」で進んでいく物語。そこから様々な告白を聞き、真相を探る弁護士様。その情報を縫い合わせて作ったつぎはぎに曖昧ながらも浮かび上がる真実。
ミステリーとして先が読みやすい部分はあるが、最後まで読んでこのタイトルの本当の意味に到達したその時、この作品の美しさを感じる事ができるかと思う。ドロドロまでいかないリアルな「人の闇」にスポットを当てた繊細な表現力に心掴まれました。
肝心の着地点ですが、通販ショップで大安売りしかねない「取り付けるだけで簡単イヤミス」なエピローグは賛否ありそうですが個人的には...好ちです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
様々な人物の証言からなる小説。こういうのはどうしても話の内容が被ってしまうのでちょっとダレる。大逆転というほどではないが面白かった。
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盛りだくさんのどんでん返しに最後まで目が離せない。油断ならない。
そして最後まで読んで、本当の敗者がわかるのです。 -
転落死した妻と息子は本当に夫に殺されたのか、それとも妻からの正当防衛だったのか。
(基本的に)全て関係者の「告白」で構成されている話の流れが面白かった。この流れで純粋に登場人物に持つ印象やイメージが変わっていく。
そして最後でタイトルの意味が「なるほどね」って分かるのがさすがだな、と思った。 -
事件関係者の供述、独白で物語が進む珍しいタイプのミステリー、早々に辻褄が合わなくなるから、どれが嘘なのかを疑うだけだが最後まで面白かった。これだけの供述の伏線を全て回収しつつ、ちゃんと落とすのは相当難しかったんではないか。作者は元弁護士で、経験からの意見がチラ見えしてくるのが興味深い。
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様々な人の告発で進んでいくストーリー。告発の内容は、それぞれ全く異なるもので、誰が本当のことを言っているのか?真実は?と先が気になり、一気に読みました。
それぞれの告発、というスタイルで話が進んでいくので、第三者視点で遠くから物語を見ているよう。ちょっと感情移入はしづらいかも。 -
もう大好物な大逆転ミステリー。
表現の仕方が面白いというか、
誰々の調書、誰々の手記、誰々の供述…みたいな感じで
ある事件の関係者のだけで
物語の真相に迫っていくっていうのが新鮮!
元弁護士の作家さんってこともあり
かなりリアルなお話でした〜。
ソロモンの偽証を前読んでから、
こういう法廷のお話に惹かれてる…