悪い夏

著者 :
  • KADOKAWA
3.54
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本棚登録 : 391
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061824

作品紹介・あらすじ

26歳の守は地方都市の社会福祉事務所で、生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカーとして働いていた。曲者ぞろいのケースを相手に忙殺されていたその夏、守は同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースである22歳の女性に肉体関係を迫っていることを知る。真相を確かめるために守は女性のもとを訪ねるが、やがて脅迫事件は形を変え、社会のドン底で暮らす人々を巻き込んでいく。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出をもくろむ地方ヤクザ。負のスパイラルは加速し、ついには凄絶な悲劇へと突き進む――。

感想・レビュー・書評

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  • ちょくちょくブクログで見かけてて気になったので借りました。
    序盤はかなり面白くてどうなるか気になりながらも読み進めていきましたが、最後はえぇえぇ〜?!?みたいな終わり方でした( ̄▽ ̄;) 途中まですごく良かったのにーーっ!佐々木くんの人生を返せ〜!!

  • 生活保護制度については、色んな本で書かれたものがあるけど、ヤクザが出たり、本当に困窮している人が出たり、不当に受給している人がいたり。何となく似た感じの登場人物ばかりな気がする。
    だからか、作家さんによって視点が違うオリジナリティが楽しめて私は結構好きだ。
    今回は、やはり終盤のワチャワチャが良かった。
    真面目な男があっという間に堕ちていく。底辺の女が浮上しかけたのに、まだ堕ちて戻っていく。不正受給の男が真の悪ではなかったこと。四角張った正義論を翳し他人を糾弾する女が、弱者につけ入るクズの男に恋したり。
    今の状況から少しでも抜け出したい。誰もが思う事。生活保護を受けていても。

  • ケースワーカー達と、働く気のない生活保護受給者、暴力団関係者、底辺の生活に苦しむ親子。
    そこに切り込む社会派作品かと思ったら…
    言葉は悪いが、皆んなが胸糞悪いどん底へと転がり落ちていく最悪の夏、の話だった。
    そんな中で個人的には、クズのような山田が右往左往している姿が、意外にも印象に残っている。
    そして、鮮やかな色彩の絵が今も描かれている事が、ほんの少しだけ救いになっていると思う。

  • 未来のない物語。
    社会福祉事務所のケースワーカーと生活保護受給者(ケース)トラブル。
    登場人物全てダメな人間か、ダメになっていく人間で。
    主人公のケースワーカー、佐々木守の落ちぶれ度合がいちばん酷い。

    「『生活保護を貰ってる奴らは、楽して金を得てずるい』でなく『一生懸命働いてるのに生活保護世帯より安い賃金しか貰えない社会はおかしい』と考えるべきなんだ。」
    というセリフが刺さる。
    本当にそう思う時がある。
    不正受給する人、本当に心中するほど追い詰められているのに受給できない人、ケースワーカーの仕事の過酷さ。
    適正なところに適正に支給してほしい。
    そしてお仕事に復帰できたら、次は助ける側に廻り相互扶助ができたなら。
    先が気になり、一気読み。

  • タイトル通り、悪い夏。
    生き詰まった人と不正受給しようとする生活保護受給者とそれを蝕む輩と生活福祉課。どこまでが現実でどこからがフィクションなのか。
    誰がどのタイミングでどう動いたら違うエンディングを迎えられるのか。
    後味は悪いけど嫌いではない。
    191冊目読了。

  • 役所の中で、福祉行政が大変だということは分かるが、あまりにも職員の描き方がひどすぎる。
    人って言うのは転落するときは本当にあっという間なんだなとつくづく恐ろしいと思った。主人公が可哀想すぎて後味の悪い作品だった

  • 負の空気が充満しすぎて、読んでるだけで伝染するんじゃないかと思うくらいの悍ましい本だった。公務員って、楽そうでいいなとか不景気関係ないとか思われがちだけど、精神的には、一般企業よりきつそうだなと思う。「誰の金で飯食ってる」とかいう人だってたくさんいそう。そして、どんな人でも、一歩間違えばどん底の生活に引きずり込まれる恐怖。なんなら間違ってなかったのにいつの間にか転がり落ちてる。ものすごく怖かった。一気に読める面白さだったけど、すごく悪いものが体に溜まった感じ。

  • 笑っちゃうくらい、見事に全員救われない。
    中盤までは引き込まれるように読み進んだが、佐々木が何でヤク中になっていくのかが、アッサリでその辺りはもう少し丁寧に描かれてても良かったのでは。
    後半は全員集合盛り沢山過ぎて、too muchでしたね。

  • 横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。生活保護受給者を回るケースワーカーの男が同僚の悪事を暴いていくうちに、不正受給、貧困、地方やくざが事件に絡み、崩壊していくというお話。男がどういう結末を迎えるかでグイグイ読み進めたけれど…やくざの組の人たちとか(反感買っていたっていうので、お仕置きしないのかとか)、男が恋に落ちた女の行動がどうかと思ったけれどね(男への想いの変化とか、子供に対する態度の変化)。堕ちていくのがどこでもありそうで、怖かったです。

    • ひとしさん
      そうなんですよね。途中までは面白く、☆4か5かで悩んだくらいだったんですが、全員集合したあたりからドタバタ感がハンパなくて、宮田有子のキャラ...
      そうなんですよね。途中までは面白く、☆4か5かで悩んだくらいだったんですが、全員集合したあたりからドタバタ感がハンパなくて、宮田有子のキャラ崩壊したりしてからはさらにゲンナリしてしまいました。
      2017/11/30
  • 暗い。終始暗い。設定が設定だけに仕方ないか。
    人物の描き方が稚拙で違和感しかない。終わり方も何が言いたかったのかはっきりしない。読まなくてもいい本だと思います。

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著者プロフィール

染井為人(そめい・ためひと)
1983年千葉県生まれ。芸能プロダクションにて、マネージャーや舞台などのプロデューサーを務める。2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しデビュー。本作は単行本刊行時に読書メーター注目本ランキング1位を獲得する。『正体』がWOWOWでドラマ化。他の著書に『正義の申し子』『震える天秤』『海神』『鎮魂』などがある。


「2023年 『滅茶苦茶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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