- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041061824
作品紹介・あらすじ
26歳の守は地方都市の社会福祉事務所で、生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカーとして働いていた。曲者ぞろいのケースを相手に忙殺されていたその夏、守は同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースである22歳の女性に肉体関係を迫っていることを知る。真相を確かめるために守は女性のもとを訪ねるが、やがて脅迫事件は形を変え、社会のドン底で暮らす人々を巻き込んでいく。生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出をもくろむ地方ヤクザ。負のスパイラルは加速し、ついには凄絶な悲劇へと突き進む――。
感想・レビュー・書評
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ちょくちょくブクログで見かけてて気になったので借りました。
序盤はかなり面白くてどうなるか気になりながらも読み進めていきましたが、最後はえぇえぇ〜?!?みたいな終わり方でした( ̄▽ ̄;) 途中まですごく良かったのにーーっ!佐々木くんの人生を返せ〜!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生活保護制度については、色んな本で書かれたものがあるけど、ヤクザが出たり、本当に困窮している人が出たり、不当に受給している人がいたり。何となく似た感じの登場人物ばかりな気がする。
だからか、作家さんによって視点が違うオリジナリティが楽しめて私は結構好きだ。
今回は、やはり終盤のワチャワチャが良かった。
真面目な男があっという間に堕ちていく。底辺の女が浮上しかけたのに、まだ堕ちて戻っていく。不正受給の男が真の悪ではなかったこと。四角張った正義論を翳し他人を糾弾する女が、弱者につけ入るクズの男に恋したり。
今の状況から少しでも抜け出したい。誰もが思う事。生活保護を受けていても。 -
ケースワーカー達と、働く気のない生活保護受給者、暴力団関係者、底辺の生活に苦しむ親子。
そこに切り込む社会派作品かと思ったら…
言葉は悪いが、皆んなが胸糞悪いどん底へと転がり落ちていく最悪の夏、の話だった。
そんな中で個人的には、クズのような山田が右往左往している姿が、意外にも印象に残っている。
そして、鮮やかな色彩の絵が今も描かれている事が、ほんの少しだけ救いになっていると思う。
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タイトル通り、悪い夏。
生き詰まった人と不正受給しようとする生活保護受給者とそれを蝕む輩と生活福祉課。どこまでが現実でどこからがフィクションなのか。
誰がどのタイミングでどう動いたら違うエンディングを迎えられるのか。
後味は悪いけど嫌いではない。
191冊目読了。 -
役所の中で、福祉行政が大変だということは分かるが、あまりにも職員の描き方がひどすぎる。
人って言うのは転落するときは本当にあっという間なんだなとつくづく恐ろしいと思った。主人公が可哀想すぎて後味の悪い作品だった -
負の空気が充満しすぎて、読んでるだけで伝染するんじゃないかと思うくらいの悍ましい本だった。公務員って、楽そうでいいなとか不景気関係ないとか思われがちだけど、精神的には、一般企業よりきつそうだなと思う。「誰の金で飯食ってる」とかいう人だってたくさんいそう。そして、どんな人でも、一歩間違えばどん底の生活に引きずり込まれる恐怖。なんなら間違ってなかったのにいつの間にか転がり落ちてる。ものすごく怖かった。一気に読める面白さだったけど、すごく悪いものが体に溜まった感じ。
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横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作。生活保護受給者を回るケースワーカーの男が同僚の悪事を暴いていくうちに、不正受給、貧困、地方やくざが事件に絡み、崩壊していくというお話。男がどういう結末を迎えるかでグイグイ読み進めたけれど…やくざの組の人たちとか(反感買っていたっていうので、お仕置きしないのかとか)、男が恋に落ちた女の行動がどうかと思ったけれどね(男への想いの変化とか、子供に対する態度の変化)。堕ちていくのがどこでもありそうで、怖かったです。
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そうなんですよね。途中までは面白く、☆4か5かで悩んだくらいだったんですが、全員集合したあたりからドタバタ感がハンパなくて、宮田有子のキャラ...そうなんですよね。途中までは面白く、☆4か5かで悩んだくらいだったんですが、全員集合したあたりからドタバタ感がハンパなくて、宮田有子のキャラ崩壊したりしてからはさらにゲンナリしてしまいました。2017/11/30
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暗い。終始暗い。設定が設定だけに仕方ないか。
人物の描き方が稚拙で違和感しかない。終わり方も何が言いたかったのかはっきりしない。読まなくてもいい本だと思います。 -
いやぁ、勿体無い!途中までは本当に面白く、グイグイ読まされた。それが終盤にきてチープな物語に変貌してしまった。
ケースワーカーと不正受給者、それにヤクザとくれば柚月裕子の『パレートの誤算』と似ている。中盤まではパレートを凌ぐほど面白かったんだが、ケースワーカーの宮田有子のキャラクターがハッキリしてからが、こうきたかぁ。と残念でならない。
物語は、不正受給者と奮闘する様々なケースワーカー。あるケースワーカーが不正受給者を脅迫して金銭を要求し、肉体関係を結ぶ。その事実を知った正義感のケースワーカー。そして、それをネタに新たなビジネスを展開しようとするヤクザ。ケースワーカーの奮闘と不正受給者の実態を描く。
実際こういうことってあるんだろうなぁと思ったし、生活保護に関しても考えさせられた。物語としても凄く面白かったので、途中までは4か5どちらにしようかと悩んだが・・・。最後まで突っ走って欲しかったというのが正直な気持ち。-
私も、宮田は最後になんかするんじゃないかと思ってたら、そういう風に登場してきたかーって思いました。最後みんな集まっちゃうし、変? 美空のその...私も、宮田は最後になんかするんじゃないかと思ってたら、そういう風に登場してきたかーって思いました。最後みんな集まっちゃうし、変? 美空のその後も気になるところでした。2017/11/29
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佐々木さんがかわいそうだな…
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市役所のケースワーカーと生活保護受給者達、その裏にいるヤクザの物語。自分が知らないだけで、リアルでもこのような話は起こっているのかもしれない。佐々木と愛美達の束の間の日々が穏やかであっただけに後味は少し悪く感じたが、終盤の疾走感も含めて楽しく読めた。
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先が気になって一気読み。
佐々木さん、真面目に働いてたのにね。
巻き込まれ事故過ぎる。 -
眉間に皺を寄せながら、でも気になって一気読みしてしまった。
みんな悪いなー。 -
読み終わった時にハァーとため息が出てしまいました
なんか体力が削られた小説でした
読みやすくスラスラ読んでしまいました
他の小説も読んでみようかと思いますが
少し明るい本を1冊挟んでからにしようかと思います -
『正体』でファンになった染井さんの第37回横溝正史ミステリ大賞受賞作。どんな作品なのか期待に胸を躍らせて読み始めたが……。ぶっ飛んだ。なんじゃこれは。最初は、地方都市のケースワーカーを主人公にした生活保護詐欺をめぐる小説かと思っていたが、どんどん話がずれていく。そして出てくるのはどいつもこいつもろくでもない悪人ばかり。悪いのは“夏”じゃなくて“こいつら”だろ、と突っ込みを入れながら読んだ。好きな話ではないが読ませるのはさすがだ。うーむ、この作品が初染井さんじゃなくてよかった(^_^;)。
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生活保護受給者のケースワーカーである佐々木守,高野洋司,宮田有子は,受給者の山田吉男,林野愛実らへの訪問を続けている.高野と林野の間に妙な噂が出てきて,佐々木と宮田が林野を訪問する所から話が始まる.暴力団の金本達也が絡んできて,複雑な展開となる.高野と林野ができていることをつかんだ金本が証拠映像を撮って高野を脅す.林野宅を訪問した佐々木も娘の美空と仲良くなり,のめりこむ.最後のどたばたで関係者全員が林野宅に集まった状況は笑えるものだが,生活保護の実態を冷静な目で見た作品だと感じた.
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7月-3。3.0点。
生活保護に関する犯罪の話。役所の福祉課社員が主人公。
同僚が、ある女性受給者を脅している疑いが。
犯罪のドツボにはまっていく主人公。
最後はぐちゃぐちゃ。一気読みだが、うーーーん。 -
生活保護のケースワーカーVS不正受給者とヤクザ。
真面目な佐々木が関わってしまってはいけない人に恋をしてあれよあれよと落とされてゆく。怖っ。
何故か全員集合でどんちゃん騒ぎのラスト。エピローグの皮肉な結末。 -
読み始めたら止まらなくなってしまった。最後はちよっとだけ笑ってしまった。
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登場人物すべて人生どん底。社会問題を考えさせられるって感じで読んでたけどラストはコントのようだった。おもしろかったです。
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2021/7/2
ケースワーカーの佐々木、職場の仲間、受給者たち。
予備知識なしで読み始めたので、どう進むのかハラハラしてしまったけど、まさかの結末。
楽しいわけじゃないのになぜか最後の展開に笑ってしまった。
古川親子はどうにかならなかったのか、、
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「正体」で興味をもった作者のデビュー作であり、横溝正史賞優秀作。一気に読まされますが、生活保護の不正受給、裏で手を回すヤクザ。働く気のない受給者。貧困シングルマザー、虐待。ドラッグ、覚醒剤等読んでいて嫌になリます。奥田英朗の初期「最悪」や「無理」を彷彿とさせました。
最後はドタバタですが、「正体」を先に読んでよかったと… -
26歳の守は地方都市の社会福祉事務所で、生活保護受給者(ケース)のもとを回るケースワーカーとして働いていた。
曲者ぞろいのケースを相手に忙殺されていたその夏、守は同僚が生活保護の打ち切りをチラつかせ、ケースである22歳の女性に肉体関係を迫っていることを知る。
真相を確かめるために守は女性のもとを訪ねるが、やがて脅迫事件は形を変え、社会のドン底で暮らす人々を巻き込んでいく。
生活保護を不正受給する小悪党、貧困にあえぐシングルマザー、東京進出をもくろむ地方ヤクザ。負のスパイラルは加速し、ついには凄絶な悲劇へと突き進む――。
むむむ……すべて、あの夏の、悪い熱に浮かされた出来事……で済めばいいんだけどなぁ〜。
生活保護も、マスクも、ホントに困ってる人のところに行き渡るようにはならないものかなぁ……。 -
ケースワーカー達、生活保護の不正受給者達、貧困ビジネスに手を染める反社会的勢力の男、生活保護を申請せず貧困に落ち込む母子。
それぞれが辛い立場にいつつ、やがて彼らが繋がり、最悪の状況に陥る。
疲れた。
先が気になるものの、その負の力が強すぎて、休み休みの読書だった。
落ちていく時はあっという間。反社会的勢力の人達に目をつけられたら逃げられないのだろうと思うと怖い。
そんな関わりが起こり得る仕事という訳では無いとは思うけど、そんなイメージを抱いてしまった。
ラストシーンは、初めには想像出来なかったもの。
美空ちゃんが幸せになっているといいなと願います。
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お気に入りさんのレビューで一気読み。息も忘れて、嫌な気分に(笑)。むかつくが、何故かカタルシスを感じる。生活保護の不正受給や貧困ビジネス、反社会的勢力のてんこ盛り。さもしい、醜い、胸糞悪い等、どの形容が相応しいのか迷うほどのろくでなしたちのショーケース。アメフト指導陣やボクシング協会前会長たちをつい見てしまう気持ちに似てる。正直で辛抱強く、勤勉な人間が馬鹿を見る世の中は嫌だな。真面目な役所の職員佐々木がなぜ一線を越えたのか、もう少し人物像が丁寧に描かれていればもっと深みがあったかな。でも「悪い夏」満喫!
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底辺に生きる人、落ちていく人の群像劇。
市役所で生活保護のケースワーカーとして働く佐々木守。
同僚の高野が生活保護者を脅迫していることを知り、同僚の宮田侑子と告発に向けて動き出す。
一方、地元のヤクザの金本は、脅迫されている生活保護受給者の愛美を使い、ビジネスをもくろむ。
しかしそれぞれが思うように事は運ばず、それぞれが破滅への道を歩み始める。
話のテンポが上手で、サクサク読めます。
もう少し希望があってもいいけど、この人の他の作品も期待したい。