BEATLESS 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.06
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本棚登録 : 194
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041065822

作品紹介・あらすじ

世に放たれたレイシア級hIEと呼ばれる、レイシアの姉妹たち。オーナーを必要としないスノウドロップ、人間に寄り添う紅霞、人間を利用するメトーデ、「私にこころはありません」と告げ
るレイシア。人間がもてあますほどの進化を遂げた、人間そっくりの「モノ」を目の前に、アラトは戸惑い、翻弄され、選択を迫られる。アラトが見つけた「ヒト」と「モノ」とのボーイ・
ミーツ・ガールが導き出す人類の未来への選択とはーー。

感想・レビュー・書評

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  • 設定や世界観にの細かさには素直に脱帽するしかない。特にアナログハックという設定は唸らされた。
    ただし、文章力やストーリーにはやや疑問符がつく。
    特に文章力は、比喩表現がいったい何を指しているのか分かりにくかったり、情景がうまく想像できなかったりする。まぁ、僕の読解力が足りてないだけかもしれないが。
    ストーリーに関しては盛り上がるべき箇所で個人的には盛り上がりきらないかなと感じてしまった。もちろんしっかりとしているしどこが悪いかと聞かれると困るのだが、途中で読む期間を開けてしまったりしたので話がわかりづらくなってしまったところもあるかもしれないが、めちゃくちゃすごい!とまでは思わなかった。
    エンディングが「アンドロイドにも心はあるんだ!」という安易なものではなく、「魂がなかったとしても君を信じるよ」という結末なのはよかった。時間があれば是非もう一度読み返し、理解を深めたい。

  • 上巻は冗長に感じたが、下巻に入ってスピード感を感じて読むことができた。上下巻でかなりのボリュームがあり、人と人とそっくりなアンドロイドとの共存を考えさせられる物語だった。アンドロイドものとしては秀逸だと思う。

  • 上下巻読んでの感想。

    面白かった!上巻の初めは俺俺男子高校生が鼻についたけど、中盤以降全く気にならなかった。戦闘描写があまり印象的に描かれていないのもまた良かった。どっちに転んでも面白いと思うけど、小説で読むなら心情描写とか、この戦いに何の意味があるのかとかが詳細に描かれていた方がいいから、合ってた。

    あとアナログハックとかミームとか、あとそれぞれの個体の二つ名もしっかりと意味があり、練られていてそこを理解するのが面白かったし、興味深かった。

    道具とのボーイミーツガールにも関わらず、毎度いい雰囲気になる度に、心はないって読者の心を折りにくるのもまた良かった、、後半には無意識に心がないってのになんと無く反抗?しちゃっていて楽しんでいた。

    同級生3名もそれぞれの属性が立っていて、分かりやすかった。ただ改めて考えてみると、アラトはただ美少女という点のみで惚れたので、それをちょろいで終始片付けているのが笑った。実際現実もそんなもんだからそれでいい。

    アニメは戦闘描写見たいので観てみようかなと、

  •  上巻、下巻を通して純粋に面白かった。現代でもAI技術が進歩している中、この作品のテーマのメッセージ性は大きいと感じた。特に、作中で何度か取り上げられた"ハザード"とか、アナログハックについては、結構考えさせられた。遠くない未来、AIがどんどん進歩して、その知能がもはや人間の知識では到底追いつけないところまで行ってしまったら。そのAIが、人間の知らないところで独自にものを考えるようになって、世界中を巻き込むような大事件なり戦争を始めてしまったら。そんなことを考えると、こういうことは決して物語の中の出来事ではないと薄寒くなったりした。でもやっぱり、最後の最後で重大な選択を迫られるのは人間なんだろうな、ってちょっとウンザリしてみたり。そしていずれhIEみたいなアンドロイドと共存する時代が来て、それをただの"モノ"と見るか、はたまたそこに"意味"を見出すか。自分だったらどうするだろうかと頭を悩ませてみたり。まあ僕は絶対"カタチ"に左右されるだろうけど。まあこんな感じでいろいろと考えさせられた。

     読み終わってみると、別にテーマ抜きで考えてもストーリーがしっかり成立していたから、十分読み応えがあって楽しめたと思う。結末も主人公のアラトが幸せに終わるハッピーエンドだったし、登場人物それぞれのやりとりにまたよく考えさせられたし、レイシア可愛かったし。そう。レイシアが可愛かった。レイシアだけじゃなく、他のレイシア級4機も魅力的だった。間違いなく、レイシアや他の4機の魅力がこの作品を引き立てていた。でもまあ、こうやって僕がレイシア達を可愛いとか言ってること自体がもうアナログハックなのだが。今思えば、読んでてレイシア級がどんどん破壊されてくとすごく心が痛んだり、メトーデがスノウドロップに捕食されるシーンでは可哀想になったり、思いっきり"カタチ"に誘導されまくってたなあ。でもそのくらい「チョロい」人間のアラトが、レイシアと接して成長して、終盤の答えに辿り着く姿が、すごく印象的だった。

     ズラズラ書いてきましたが、ほんとに面白い作品だと思ったので、是非オススメしたいです。

  • 長谷敏司による近未来SF『BEATLESS』下巻。

    "人間のかたちをしたもの"に人間がさまざまな感情を持ってしまう性質を利用して、人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛ける「アナログハック」という概念、AIに感情は芽生えないという一貫したスタンス、AIが人類に対して脅威となるものではなく共存しうるものであることを証明しようとする超高度AI―――本作の特徴を挙げてみればこの上なく魅力的な作品に思えるのだが。。。

    やはり、登場人物に魅力を感じられないのが致命的か。特に主人公のアラトと、レイシアを始めとした彼を取り巻くキャラクターたちの関係性の描写が希薄・無味乾燥で、盛り上がるはずの場面に全くドキワクしない。

    最低でもアラトとレイシアの"絆"はもっとしっかりと描いて欲しかった。アラトがレイシアに命を懸けて協力するこれといった動機も感じられず、(私の中では)結局、「超絶美少女アンドロイドに狂わされた哀れな少年アラト」という認識から脱することが出来なかったのだが・・・実はその認識で正しいのか?

  •  上、下巻ともに本の厚さに絶望したが、上巻よりも興味深い内容が多く、色々と考えながら読めたので、楽しい読書体験ができた。
     毎日を過ごしていく中で、様々な『モノ』と関わりを持って私達は生きている。
     今作は私達が持つ『モノ』への見方が変わり、何気ない日常生活が、いつもと違う視点で見れるような作品だと思う。
     
     
      

  • 感情ではハッピーエンドと感じられないけど頭で考えるとこれこそがハッピーエンドだと思うし、100年後にはもしかしたらすんなり感情でも受け入れられるのかも知れなくて、このエンディングは最強。
    ハッピーエンドだと望みたい。
    この物語をハッピーエンドにできるアラトくんが凄い。

  • 人工知能との共生を選択するまでにモノとしてのAIが人に近づいている未来ならば,AIというモノのディストピア的発想もまた先進するはず.そのような可能性を否定する事象もなくヒトとモノとの排反と肯定だけで物語が収束してしまうのは,御都合主義では無かろうか(結末をどう捉えるかは,読み手の楽観/悲観主義に依存するか).

  • サトゥルヌス/マリアージュを除いたレイシア級は破壊される。

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著者プロフィール

「戦略拠点32098 楽園」にて第6回スニーカー大賞金賞を受賞。同レーベルにて「円環少女」シリーズ(角川書店)を刊行。「あなたのための物語」(早川書房)が第30回日本SF大賞と第41回星雲賞に、「allo,toi,toi」が第42回星雲賞短編部門にそれぞれノミネートされた。

「2018年 『BEATLESS 上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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