切断 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 184
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041066034

作品紹介・あらすじ

病室で殺された被害者は、耳を切り取られ、さらに別人の小指を耳の穴に差されていた。続いて、舌を切り取られ、前の被害者の耳を咥えた死体が見つかって――。初期作品の中でも異彩を放つ、濃密な犯罪小説!

感想・レビュー・書評

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  • 病室にて、血の海の中無惨にも首をほぼ切り落とされた状態で発見された男。耳は削がれ穴には別人の小指が詰められていた。その後、舌を切られその耳を咥えさせられた死体が発見される。この猟奇的な連続殺人は本当にヤクザ抗争故の惨劇なのかーー。
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    日文では中々お目にかかれない大胆且つ高レベルの猟奇的な殺人鬼に久々に遭遇した私の昂りを分かっていただけるだろうか。引かないで下さ...(以下略)
    タイトルは「切断」。この飾り気の無さと、美味しそうで平和的なバナナの装丁を目に焼き付けてから背表紙の作品紹介を読んでみて欲しい。すると、もうバナナが禍々しさの象徴にしか感じられなくなるかと思う。皆大好きバナナさんは特に本書と関係はないんですけどね。そうです、ただのとばっちりです。愛だね。
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    主に三つの視点から物語は語られる。

    ・進行形で進む上記連続殺人事件の捜査パート。主に刑事視点。命名ハードボイルドステージ。
    ・ターゲットの殺害からそれに至るまでの犯人視点。犯人の行動全てが丸見えのボーナス枠。命名血みどろステージ。
    ・第一の被害者で切断された小指の所有者、沢木昌哉の過去視点。命名アウトローステージ。

    最初こそ時系列の前後に混乱するやもしれないがメリハリがあるので読みやすい。読み手のスイッチを切り替えやすくしてくれている。
    ミステリの観念で見るなら、事の発端である昌哉の死体が発見されない時点で犯人感漂うベリベリイージーな謎解きに感じるのだが、残念 彼の切断された小指に生体反応は無い。とは言え彼の行動が特別枠な時点で事件の鍵を握る人物なのは間違いない(と思った)のだが、全く考察は進まないままクライマックスを見届ける事となった。
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    真相は置いといて、黒川博行作品はよく場面が切り替わり、更には名乗らず語り出す登場人物達に混乱する事が多いので、今回は軽く人物プロファイルを作りながら読み進めてみた。
    するとまぁ面白い。主要人物を理解していれば差し支えなく楽しめるのだが、整理してみるとより鮮明に背景が浮かんでくる。決して少なくない登場人物達がギチギチに相関図に詰め込まれていて、それを熟知している事が気持ち良い。.....これをして獲られるのは本書への愛情と孤独な優越感です。

    ミステリーとして読み進めた場合、犯人の正体と動機、物語の結末は賛否別れるだろうと思う。何を隠そう私もミステリを求め手に取った内の一人だ。しかし、昂っている。なにより、集大成感が全く無いのにいとも簡単にヤクザの構造を作り上げ、巧妙に複雑な謎を産み出し、最 & 高な猟奇殺人鬼を作り出した著者の力量に惚れてしまった。ミステリー ハードボイルド アウトロー を一気に体験してしまったのだ。

    こんな贅沢覚えちゃって...もう普通の飯が食えなくなるではないか...

  • 大阪の病院で発見された「他人の指を耳に突っ込まれ、耳が切り取られた死体」
    その死体の耳が次の殺人現場の死体がくわえており…
    続けて発見される異常な連続殺人事件。
    その犯人は?そしてその目的とは…

    最後まで読み終わった時にタイトルに納得
    そうか…そういうことか…

    関西在住の私としては舞台が大阪なのでまるで映画を観ているような…そんな感じで楽しめた~。

  • 死んでいることを偽装する方法はあまりに子どもじみていて、読んで一発で分る。だから彼の正体について微塵も疑問をもたない。ミスリードを狙っていたのか?解説にはそんなこと描いてあったけど…… 
    この点を除けば面白いと思うが、時系列がバラバラなので、それが気に入らない人には向いていないかもしれない。

  • おもしろくて、構成もしっかり、最高です。

  • <激>
    この本の一部の記述内容は まるで誉田哲也のグロ系作品群に近いものがある。それはどう云う事か。そうです読んでて決して心地良くはないのですが面白いのです。

    僕は黒川博行作品は本当にまだ初級者でようやく桑原/二宮コンビと堀内/伊達コンビの登場する二つの続き物作品群を何冊か読み終えた過ぎない。でこの『切断』はどの作品群にも属さないのだろうか。何人も登場する警察がたメンバーを覚えきれないのだ。続き物になっていれば読んでるうちに頭に焼き付いてくるのだが。諸先輩のうちどなたかこの『切断』がどれかのシリーズ作品に属しているのかいないのか どうか教えてください。すまぬ。

  • 癖のある登場人物多めだなぁ。
    個性が強すぎて話の筋を邪魔する気もしますが。。

  • 3.15
    出だしも良かったし生々しさが伝わる作品
    言い方が合ってるかわからないが、リアルでグロい でも想いは伝わる そこまでする意味がわかる
    構成がちょっとなぁ…って思う所があったけど自分は好きなジャンルです

  • 先が気になって一気に読んだが、ちょっと気持ち悪かったな。

  • 大阪府警シリーズ。

    かなりのバイオレンス作品に仕上がっている。

    スピード感があり、面白かった

  • 病室で殺された被害者は、耳を切り取られ、さらに別人の小指を耳の穴に差されていた。続いて、舌を切り取られ、前の被害者の耳を咥えた死体が見つかって――。初期作品の中でも異彩を放つ、濃密な犯罪小説!(e-honより)

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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