好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (1) (角川スニーカー文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041070789

作品紹介・あらすじ

 「恋人同士、ですか? よく解りませんが、それでよければ」
 僕の彼女、帆影歩は少し変わっている。無口で無表情が基本な上に「人=哺乳類=おっぱい大好き」と、平然とトンデモ理論を語ってくる。さらに僕の足の甲を愛撫してきたり、入浴中の裸の画像を送ってきたり――って帆影?当初は清純派文学少女だったよね!? おかげでなぜか妹の映が心配?してきて、言葉責めに合うようになったのですが!?(妹よ、お前は何なんだ)
そんな帆影も“普通彼女”を目指してはいるらしく、参考にしているのは……ら、ラノベらしい?(なんか期待しちゃう)
 彼女と妹と僕。ラノベを通じた不思議な三角ラブコメ開幕!!

感想・レビュー・書評

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  • 【読放】『ラノベの表紙に描かれる女の子のおっぱいは何故大きいのか?』『ハーレムの功罪』『異世界転生物語を書く理由』 親友と喧嘩した妹のために、主人公の新巻くんが恋人の帆影さんとライトノベルを読み解く、という大変面白い物語でした。上記の命題に関する独自解釈が大変興味深い。さて、恋人同士にも関わらず、標題にあるようになぜ帆影さんは新巻くんに『好き』と言えないのか?その理由は落語のサゲを彷彿とさせるごとく最後に語られて、その唸るような巧さに拍手喝采を送りたい。ラノベ談義の作品がラスト四行でラブコメになりました。

  • タイトルからどのような内容なのか全く想像できなかった本作、いざ中身を開いてみればやっぱり相当風変わりな内容だった
    ライトノベルを人類、生物、文化的側面から見つめ直し討論するってあまり見たこと無い方向性の作品

    その風変わりな内容をただ風変わりなままで終わらせないのがこの作者の素晴らしいところ。
    本作は主人公の妹、映が友人の内面を理解するためにライトノベルとはどのような魅力を持った存在なのかと知っていく話になっている。だから、オタク文化素人の映がライトノベルに関する素朴な質問をしたら井伊坂がオタク文化を知るものとして返答し、合理的に考える帆影が凄まじい解釈を披露して、天太が映に受け入れやすい形に変換する
    本当に変わった内容だし一歩間違えれば居酒屋トークになりかねない会話ばかりなんだけど、トークの方向性がライトノベルへの理解でありそれぞれの役割が明確に分かれていることで会話の方向性がきちんと定まっている

    そしてもう一つの主題である恋愛描写。天太と帆影が第一話の前から既に彼氏彼女の間柄になっているのは驚き。それでも帆影との仲が全く進んでいなかったのはライトノベル主人公らしい
    表情変化が少なく言葉でも天太への好意をそれ程示さない帆影。けれど、天太は何となく帆影の心情変化は読めるし、そもそも帆影のすっとんきょんな考え方を好ましいと思い付き合い始めたのだから、当事者にとってはそれ程問題はないように見える
    が、そこに凄まじいブラコンの映が関わってくることで面白くなってくるのだから堪らない。映は無自覚と言うか自分がブラコンであると必死に認めたがらないタイプなんだけど、「お兄ちゃんはあたしが面倒見るから!」なんて台詞はそこらの妹キャラじゃ言えない台詞ですよ

    玩具堂先生お得意のヒロインの冴え渡るような心情描写は本作でも健在。特に手を握り合うシーンの描写はとても素晴らしかった
    帆影は心情が判りにくいというキャラ付けがされ、映が何を考えているかは幕間の形でそれなりに示されていたから、読者は各所の描写から帆影の内面を読み取るよう形式になっているのか思っていたら……。ラストの滝の如く吐き出される帆影の好意には心底驚かされたよ。そうか、君もそういうタイプなのか

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