- KADOKAWA (2018年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784041073865
作品紹介・あらすじ
本作を原作にした映画『楽園』2019年秋公開! 出演 綾野剛 杉咲花/佐藤浩市 監督・脚本 瀬々敬久
人はなぜ、罪を犯すのか? 『怒り』『国宝』の著者、最新文庫化!
田園に続く一本道が分かれるY字路で、一人の少女が消息を絶った。犯人は不明のまま十年の時が過ぎ、少女の祖父の五郎や直前まで一緒にいた紡は罪悪感を抱えたままだった。だが、当初から疑われていた無職の男・豪士の存在が関係者たちを徐々に狂わせていく……。(「青田Y字路」)痴情、ギャンブル、過疎の閉鎖空間、豪奢な生活……幸せな生活を願う人々が陥穽に落ちた瞬間の叫びとは? 人間の真実を炙り出す小説集。
感想・レビュー・書評
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いずれも実際に起きた事件を題材とした短編5編。どの作品もラストに曖昧さを残すが現実と創作の差異を読んで想像する。
誰しも犯罪者となる隙間が見える。
「青田のY字路」
北関東連続幼女誘拐殺人事が題材か。
そのうちの一件「殺人犯はそこにいる」で取り上げられた冤罪事件“足利事件”を意識したかな。
それだけでなく類似犯罪も取材の上かと思う。
少女達の誘拐殺人は許せるものではないが、
犯人であろうと地域住民から追い詰められる男の行先。数々の状況や生い立ちそのものへの不信感。
「曼珠姫午睡」
弁護士の妻英里子の中学の同級生が殺人犯で捕まる。内縁の夫の保険金殺人。目立たなかった少女の中学卒業後の変貌。中学のちょっとした関わりからか、彼女は自分の店名に中学の思い出を源氏名に英里子と名乗っていた。
犯罪とは無縁の英里子がふと踏み外す日常。
後妻業などかな。
「百家楽餓鬼」
バカラ、ギャンブルに堕ちていく御曹司。
今、タイムリーな話題。記憶に残る上場企業創始一族の社長がカジノで多額の借財を重ねた事件。
寝食を忘れて没頭していく様子、本人はすでに思考できない状態が背筋が凍る。
「万屋善次郎」
62歳善次郎が限界集落で5人の高齢者を殺人放火。善良な男が、集落で孤立、高齢者たちからの軋轢で追い込まれていく。
田舎暮らしでの孤立は過酷。余所者、上下関係と理不尽な掟もある。
「白球白蛇伝」
家族の希望を背負いプロ野球選手となった青年。貧しい家庭だったが、家族は才能ある青年に協力を惜しまない。
華やかな活躍は短かったが、一度経験した贅沢を引退した後も続けていく。そこには破滅しかない。
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解説にあるように、登場人物たちの人生、生きる空間が丹念に描かれていて、人が罪を犯すまでが、ものすごくリアルに、近所の噂話かのように感じられる。
一人一人が身近に思えるので、事件が起こる瞬間には、ああもう取り返しがつかないと、とてつもないやるせなさに襲われる。
矛盾だらけで、本当に言いたいことは伝えられない、人間の哀しさみたいなものを感じる。
そんなずっしり重くてしんどい短編集だけれど、読むたびに発見があり、別の登場人物に共感できたりするので、何度も読み返している。
特に印象的なのは『万屋善次郎』『白球白蛇伝』。 -
実際にあった事件を基に描かれる5つの短編集。
全て決していい読後感ではない。
気持ち悪さが終始渦巻いている。
でも犯罪者やその周りを取り巻く人たちの心理をもっと知りたいと思わされるような中毒性がある。
ちょっとした出来事から、見栄や孤独など人間のドロドロした部分が露呈し重大な事件に発展していくのが切ないしやりきれない気持ちにさせられる。-
ななさん、はじめまして。何とも後味の悪い作品ですよねえ。吉田修一さんの作品は「横道世之介」から入りましたので、著者の守備範囲の広さに驚くばか...ななさん、はじめまして。何とも後味の悪い作品ですよねえ。吉田修一さんの作品は「横道世之介」から入りましたので、著者の守備範囲の広さに驚くばかりです。筆力のある作家さんですよねえ。2024/11/22
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mofuさん
こんばんは。
『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
小杉健治さんの本は、時代小説は...mofuさん
こんばんは。
『蜻蛉の理 風烈廻り与力・青柳剣一郎』への、いいね!有難う御座います。
小杉健治さんの本は、時代小説はよく読んでいますが、中には字が小さくて読めない本もあります。
風烈廻り与力・青柳剣一郎は、2016.12.11に1巻目を、字が小さいですが最初なので無理して読みました。
次は、何とか読める最小の字の大きさの12巻から読んで行きました。
すごく面白いですよ。
やま
2019/12/08 -
やまさん、こんばんは。
こちらこそいいね をありがとうございます。
時代小説は私も好きです。
小杉健治さんはまだ未読なので、いつか読ん...やまさん、こんばんは。
こちらこそいいね をありがとうございます。
時代小説は私も好きです。
小杉健治さんはまだ未読なので、いつか読んでみたいです。
コメントをありがとうございました(^-^)2019/12/08
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どの事件もラスト「えっ」と思う。ザラザラしたものが舌に残る。
なんでこんな事になったのか。哀しくて苦しくて、心抉られる。
なぜ「犯罪」は起こったのか、圧巻の犯罪小説、5作品。
読み応えはあっていいのですが、とにかくしんどいので私には星3つです。このような作品が好きな人には凄く面白いと思います。
映画になる2作品。
「青田Y字路」
女児が行方不明になったことで揺れる小さな村の夏。
彼が犯人ではない事を願いながら読んだ。
「万屋善次郎」
老人たちの集落で孤立した六十代の“若者"が振るう凶刃。
犬達の幸せを願いながら読んだ。
どちらの作品も登場人物が深く描かれ、善か悪か簡単に決める事が出来ない。
だけど集団心理の恐ろしさはわかった。
ただ事件を終わらせたい、皆と同じ行動をとって安心したい。
あまりの身勝手さにはらわたが煮えくり返る。
自分の存在がないとされる。
それがどれだけ彼らを追い詰めるのか。
辛かったね、と寄り添ってあげたい。
人間の醜さと対照的に美しかった犬達の友情、飼い主への愛情。読むのが辛かったなぁ。泣ける。
映画は『楽園』というタイトルに。誰もが憧れる楽園。希望はあるのだろうか?-
(●'∇')ハロー♪
これ、読んだよ。どんどん肩が重くなるというか、一緒に抱えこまされるような重さだったのを憶えてる。
実際の事件をモチーフ...(●'∇')ハロー♪
これ、読んだよ。どんどん肩が重くなるというか、一緒に抱えこまされるような重さだったのを憶えてる。
実際の事件をモチーフに描かれているんだよね。
2019/10/14 -
くるたん♪
おはよう(^-^)/
そうそう、実際の事件をモチーフに上手いよね。どの作品も救われないよね。
「ジョーカー」という映...くるたん♪
おはよう(^-^)/
そうそう、実際の事件をモチーフに上手いよね。どの作品も救われないよね。
「ジョーカー」という映画を見た後だったのでどんよりが続いて何かほんわかした作品を読みたい気分だけどどうなるかな(。-∀-)ニヒ♪
2019/10/14
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短編集。
各物語全てで終わりがスッキリしない。
3〜5話は実話ベースなのでまだ良いが、1話目が結局どうなったのか、もやもやして終わる。
ちょっと自分には合わなかった。 -
何というか、良い人も悪い人も彼(吉田修一氏)の描く人間の人となりが鮮明過ぎて、見知った人の話のような錯覚に陥る。
全く異なる5編からなる犯罪にまつわる物語なのだけど、隣近所でおこった事件を見せられている感じ。
だから決して読後感が良いわけではない。
1話終えるたび「嗚呼…。」となんとも言えない重りを背負わされるよう。
例えば、幼い頃からよく知ってる近所の子どもに「お母さん刺しちゃった」とインタホンごしに聞かされるような…そんなオモリ。
偏見、嫉妬、小さなプライド、欲、思い込み、集団心理、傲慢…人のダメな部分をあげたらキリがない。
そんな中に置いても、田舎の閉鎖的な街で生まれる集団心理の怖さが印象に残る。
「青田Y字路」「万屋善次郎」
そして何の罪もない非力な子どもがいつだって割りを食うことになるのがやるせない。
「白球白蛇伝」
余談ですが…
「青田Y字路」と「万屋善次郎」は、1つの物語として映画になってます。
『楽園』佐藤浩市、綾野剛(Netflix視聴可)
今年の21冊目 -
5つの短編。
だからタイトルに小説集が付くのかな。
どれもスッキリした終わりかたでは無かったです。
他の話とリンクしてもいないので、本当に短編集です。
個人的には一話のモヤモヤを最後まで読んだらスッキリするのかもと思って期待して最後まで読んだけど、そんな技も無くてがっかり。
犯罪者側の目線で心理的に書かれていたら、もっと面白いと思えたのかもですが、ほとんどが第三者目線で、多分こうんじゃないか?みたいな書き方で、ワイドショーを観た人達や事件が起こった近隣住民の話を聞いてる感じで物語に深みが感じられなかった。 -
吉田修一『犯罪小説集』角川文庫。
実際に起きた『犯罪』をモチーフに罪を犯した人間とそれを取り巻く人びとを描く短編集。5編を収録。
いずれも松本清張の犯罪短編のような趣がありながら、焦れったさを感じる何とも消化不良の短編だった。どこかで見聞きした実際の事件が大分脚色されて描かれるのだが、実際に起きた事件の方が余程面白い。
『青田Y字路』。二つの幼女失踪事件を通じて、犯罪者が造られていく過程と背景、被害者たちの心情を描く。
『曼珠姫午睡』。愛人に老人を殺害させるという保険金殺人を犯したスナックのママがかつての同級生と知り、不自由なく暮らす弁護士の妻はその同級生の過去に興味を持つ。
『百家楽餓鬼』。中堅運送会社の御曹司がカジノにハマり、グループ会社から多額の金を引き出す。
『万屋善次郎』。故郷に戻り、養蜂業を始めて失敗した男が大量殺人犯となり、集落を恐怖のドン底に陥れる。
『白球白蛇伝』。プロ野球で束の間の夢を見た男が借金地獄に陥り、挙げ句…… -
人間、堕ちて行く時は、このままじゃダメだ!って分かってて、それでも「今」を変えられなくて堕ちていくものなんだなと改めて思った。
ダメだ!と思って踏みとどまる意識がある時に、まだ戻れる道が見える時に戻らないと。
私って流されてしまうタイプだから、たまに 堕ちた生活に身を置く自分を簡単に想像出来てしまう。
怖いわ〜>_<
これ以上何も求めないから、どうかこれ以下になりませんように。 -
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短編集だけど、読み応えがあった。
「万屋善次郎」が切なかったな… -
この小説を原作にした映画「楽園」を先に観た。
小説の短編をまとめた映画になっていた。
Y路路で運命の別れ道を描いて刹那に向かう
それぞれの人生の物語り
短編の各主人公たちはそれぞれ別れ道を
どう進んだのか
そしてどうなっていくのか
私は普段映画が先でよかったことは稀だけれど
今作の「楽園」は先に映画で良かった -
犯罪を犯し、破滅に陥る(一人はその手前で留まるが)主人公たちを描いた短編5編。
湊かなえのイヤミスとは一味違うが、読後気持ちが重くなる。 -
実際にあった事件を下敷きにした5つの短編集。
大半の話を、体調悪くして通う病院の待合室で読む羽目になった。
犯人その人を描くものもあるが、どちらかと言えば、その周囲にいた人たちの行動や心の動きのほうに主眼が置かれる。
人間の哀しいところばかりがこれでもかと描かれているが、何となくつかみどころがない話が並んで、私にはあまり芯を喰わなかった。 -
「犯罪小説集」という題名に引かれて読んでみた。まったく前知識なく吉田修一の小説も初めてだったので、米澤穂信の『満願』のような短編集をイメージして読み始めてみたら全然違った。
ミステリーというよりも、犯罪に関わることになった人々の視点を通して(あるいはその人物になって)経験することができる純文学と言っていいと思う。
5つの短編が入っているが、個人的には限界集落で村八分となってしまった男が犯罪を犯すまでを描いた『万屋善次郎』と元プロ野球のスター選手が人生を転げ落ちていく様を描いた『白球白蛇伝』が好きかな。特に『万屋善次郎』で、主人公の男の心情を飼い犬の表情や状況で表すといったところが文学っぽくっていいよね。 -
映画化が決まり、映画を観る前に読みたかった本。
結局映画を観た後に読み始め、やっとこさ読了。
映画では、原作の二つの話を並行して進めさせ最後に合流。
吉田修一さんの作品は『怒り』でハマりこの作品を読んで余計にどっぷりと。
何が善で何が悪なのか。 -
瀬々敬久監督の”楽園”が素晴らしすぎたので、その原作が読みたくて拝読。
神話的な雰囲気さえただよう短編集。
犯罪小説集というタイトルが想起させるようなハードボイルドな感じの事件は一つもない。
ただ必死に生きていただけだった。
それなのにどうしてこんなことになるんだろう。
罪を犯しているのは誰なんだろうか?
犯人?社会?運命?
ただ”生きている”、そのことが罪なのかもしれない。 -
久々に星5を付けました。吉田さん贔屓だし。短編なのにおそろしく臨場感を感じてしまいました。自分が犯人になったような、もしくは自分が被害者になったような。罪を犯す人と踏みとどまる人、一体どんな違いがあるというのだろう?それを見極めて自分は大丈夫と思いたいのに、ちっとも思えない。罪を犯すスイッチの場所なんか一人一人ちがうんだろう。鬼気迫る作品でした。
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タイトルの通り、犯罪をテーマにした短編集。サスペンスというよりホラー。悪意、プライド、権力、マウント、妬みなど、人の嫌な部分を描く巧さ。悪人、怒りを書いたものすごく吉田さんらしい作品。もう二度と読みたくない。
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全部もやもやする終わり方だった。
著者プロフィール
吉田修一の作品
