高校事変 III (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.83
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本棚登録 : 892
感想 : 83
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041087343

作品紹介・あらすじ

犯罪史に残る凶悪な半グレ連合リーダーを父に持つ優莉結衣を、全寮制の矯正施設・塚越学園のトップが訪ねてきた。結衣は転入を薦められるが、見学に出発した未明、突如として武装集団の襲撃に遭う。結衣の記憶はそこで途切れ、ふたたび目覚めたときには、熱帯林の奥地にある奇妙な<学校村落>に身を置いていた。同じく日本から来た少年少女ら700人が生活しながら通学する、要塞化された校舎の謎。シリーズ最高傑作登場!

感想・レビュー・書評

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  • 強い!強過ぎるやろ!
    9歳までの英才教育がここまで戦闘能力を上げるもんか?
    高校での武装集団みたいなんをやっつけ、ヤクザ壊滅!
    お次は、外国でテロ組織みたいなヤツを!
    まぁ、巨悪をやっつけてる感じやから、良しとするけど、何人殺してるんやろ?
    こんなん死刑になったお父ちゃん以上かもしれん。理由はどうあれ…
    「警察につきまとわれるのを疎ましく思ってきました。でもそれ以上に我慢ならないのは無視です。厄介ごとを避け、無関心をきめこむのが大人であるなら、わたしたちは誰も救われません。大人から気にいられ、選ばれた子だけが歓迎される社会であれば、わたしのような生い立ちの子に居場所はない。ほかの多くの子たちにとっても」
    彼女は、極端だとしても、そんな感じの子は多い。もう少し考えないとな…
    世の中を…

  • 武装集団の襲撃に遭い熱帯林の奥地の学校に連れて行かれる結衣。
    今回は、まさに絶体絶命でしたね。
    どんな環境下におかれても常に冷静で、とても17歳とは思えないですね。
    結衣を中心に皆んなで一致団結して武装集団に立ち向かう姿がいいですね。
    孤島での壮絶な経験を経て生還した子供たちの心の変化も見逃せない。
    面白かった。
    次作No.Ⅳに期待^ ^

  • 日本最強(最凶)の美人女子高生・優莉結衣(ゆうり・ゆい)が活躍するシリーズの第3弾。
    この3巻も激しく、面白い。
    3作目ともなると、ちょっとマンネリ化してくるかな?と思って読みましたが、全くの杞憂でした。マジで面白すぎる。

    今回の舞台は、東南アジアの孤島。第2巻で描かれた失踪女子高生を救い暴力団を壊滅させた事件から約1か月後。結衣はいきなり謎の武装集団に攻撃されます。その第一波は撃退するも、睡眠ガスを遠方から撃たれ、結衣は気を失っている間に拉致されてしまいます。気がつくとそこは熱帯雨林の中に作られた学校の寮のような場所。そこは謎の武装集団によって運営、監視される学校施設で、約700人の日本人生徒(いずれも不良や不登校、引きこもりなどの問題を抱えている子供たち)が日本から拉致され、無理矢理そこで学校生活をさせられている場所でした。

    もちろん、そんな学校もどきの場所で素直に学業にいそしむ結衣さまではありません。この学校の秘密を暴き、脱出を試みます。
    本作が面白いのは、1巻2巻に登場する人物がちょびちょびと出てくるところと、ストーリーが絶妙にリンクしているところなんですよね。
    本作品でも、1巻の舞台となった武蔵小杉高校出身のある女子高生が結衣と同じように拉致されてこの学校に入れられています。ああ、あの娘か・・・と1巻からの読者なら誰でも覚えのある結構強烈なイメージを残してくれたあのJKです。彼女が再度登場し、本巻では良い意味で活躍してくれます。そして、あの人の息子も登場・・・って、これ以上書くと読もうとする人の楽しみがなくなるので書きません(笑)。

    『高校事変』シリーズは結衣の圧倒的で無双なアクションを何も考えずに楽しむというのも「有り」なのですが、1巻から徐々に変化していく結衣の心の動きをじっくりと愉しむというもの、通な「愉しみ方」の一つでしょう。

    1巻での結衣は、ほとんど他人のことは考えず、自分が生き残ることと自分の能力を100パーセント発揮できることに喜びを感じていました。
    2巻での結衣は、同じ養護施設に入っている姉妹を助けるという初めて他人の為に自分の力を使うということに意識が変わっていきました。
    そして本巻3巻での結衣は、もはや自分の為というよりも、ここに拉致されている700人の学生全員を助けるという目的で行動していきます。

    最初は恐怖のあまり「行動を起こすこと」を恐れていた生徒たちも、結衣の行動力に感化され、一歩ずつ・・・・・・いや、いきなりダッシュするような勢いで動き出します。
    ここは若さなのでしょうね。
    日本の多くの大人のように世間の常識や凝り固まった思考回路が良い意味でまだ確立していない若者、つまり若ければ若い人ほど、こういった異常な状態にもすぐに対応でき、動きだすことが出来るのでしょう。

    大人になればなるほど、今までの常識や行動様式に囚われてしまい、違った環境に適応できなくなってしまうというのはありがちなことですね。
    このあたりの描写で、著者は現代の大人が作り上げてきた「成熟しきった日本社会」、言い方を変えるならば「思考停止に陥った日本社会」を痛烈に批判しています。

    本巻での結衣は、ある意味においてジャンヌ・ダルクやドラクロアによって描かれた超有名な絵画・フランス7月革命を率いた『民衆を導く自由の女神』のような・・・・・・もっと分かりやすい例を出すなら映画『ターミネーター』に登場するカイル・リースに出会った後のサラ・コナーのような立場で、生徒たちに殺した兵士から奪ったAKM自動小銃の撃ち方を教え、「殺さなければ殺される」と生徒を鼓舞し、皆を立ち上がらせるのです。(え?例えが分かりにくいって?そういう人は『ターミネーター サラ・コナー』でググってね☆)

    そこには圧倒的なカリスマ性が発生します。
    人は一人の人間による『圧倒的な力』を目の前に見せつけられると、その人物に無条件にカリスマ的魅力を感じてしまうのでしょう。
    その『圧倒的な力』とは、イエス・キリストが起こしたような死人を生き返らせたり、重病人を一瞬で治癒させたりするような「奇跡的な力」が代表例ですが、その最も逆に位置する行為、つまり、演説によって民衆を虜にしたヒトラーが使った「言葉の力」でも、そして本書に描かれるような結衣が示す、女子高生でも重武装の兵士をなんの躊躇もなく射殺できるという「暴力」で示すことも可能なのです。

    本作のラストシーンは、まるで少年少女向けのお涙ちょうだい的な学園ドラマのラストシーンを見せられているような終わり方なのですが・・・・・・これがイヤミじゃない。
    というか、はっきり言って感動してしまいます(笑)。
    ここまでに至る経緯がそれなりに整っているからこそ、このラストシーンが感動的なのです。
    もちろん『高校事変』シリーズのお約束・・・、そう、人がいっぱい死にます(笑)。それも大半は結衣のせいなのですがw、今回は、結衣によって目覚めることができた生徒達の力も大きく影響しています。
    彼らが「自分たちの力」で生き残ることができたという達成感は、今の日本では全く得ることができない種類の達成感でしょう。

    もちろん、そんな子供たちの姿を見て「仕方がない」と思いつつも、多くの大人は眉をひそめます。つまり「自分が助かるためと言っても『人殺し』を正当化しちゃいけないよなぁ・・・」と。これは読者の多くも同感なのではないでしょうか。

    しかし、それはキレイ事にしか過ぎません。
    何の罪もない子供たちが無抵抗に虐殺されて良いはずはないのです。それに対しては戦わなくてはならないのです。
    筆者は、あまりに「平和ボケ」している現代の日本人に対して、本作のような作品を投げ込むことによって、意識を改革する必要があるのだということを訴えているのでしょう。

    本作は僕にとっては『高校事変』3作品のなかでも、最も読後感のさわやかな1冊と言っていいくらい、素晴らしい小説でした。
    結衣が今後、悪の道に突っ走るのか、殺戮の天使となっていくのか、どちらの道に進んで行くのか、ますます目が離せなくなってきました。
    次作にも、脳天を揺さぶるような問題提起を期待しています。

    • やまさん
      kazzu008さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      きょうは、天気が良いです。
      やま
      kazzu008さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      きょうは、天気が良いです。
      やま
      2019/11/30
    • kazzu008さん
      やまさん、こんにちは。
      いいね!ありがとうございます!
      寒くなってきましたが、お気をつけて!「
      やまさん、こんにちは。
      いいね!ありがとうございます!
      寒くなってきましたが、お気をつけて!「
      2019/12/02
  • 松岡圭祐『高校事変 III』角川文庫。

    世間を震撼させる事件と激しい暴力の嵐を呼ぶ女子高生・優莉結衣の活躍を描くシリーズ第3弾。

    日本国内で暴れまわった優莉結衣の闘いの場はついに東南アジアへ。第2弾の最後に少しだけ姿を見せた妹の凛香とも本格的に再会するが……

    やはり面白い。ここまで思い切った展開とシリーズ第1弾から繋がる伏線は見事。シリーズはまだまだ続く。

    平成最大のテロ事件に関わり、死刑となった父親を持つ優莉結衣の元を全寮制の矯正施設・塚越学園の学園長が訪ねて来た。半ば強制的に転入を薦められた結衣は、未明に塚越学園の見学に出発すると謎の武装集団の襲撃を受ける。

    記憶を失った結衣が再び目を覚ますと、そこは熱帯林の奥地にある奇妙な学校村落だった。結衣と同じように日本から来た少年少女ら700人から800人もが生活しながら通学する要塞化された学校村落は傭兵たちが支配する奇妙な場所だった。

    妹の凛香が学園を支配する傭兵に痛め付けられ、同級生を処刑すると脅された結衣は手も足も出せなかったが、ついに堪忍袋の緒が切れる。

    本体価格820円(古本540円)
    ★★★★★

  • 今回はまさに絶体絶命。
    孤島に閉じ込められ常に監視された状態でどうやって抜け出すのか見ものだった。
    いや〜、今回もクズの集まりだったな。
    結衣にも仲間が出来たことが嬉しい。生きるためにやられたらやり返す、やられる前にやる。
    もちろん現実ではありえない設定と構成だけど
    だらこそ、結衣がクズをやっつけてくれる快感は見逃せない。
    一つ解決してない疑問を残して次のシリーズへ。

    • 岳東さん
      はい。ゆきみだいふくさん、そうなんです。
      私も漫画が気になっていたところです^_^
      はい。ゆきみだいふくさん、そうなんです。
      私も漫画が気になっていたところです^_^
      2023/05/29
    • ゆきみだいふくさん
      田代勇次はナニモノですか。
      ってネタバレになりますよね笑
      気になって仕方ありません(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      田代勇次はナニモノですか。
      ってネタバレになりますよね笑
      気になって仕方ありません(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      2023/05/29
    • 岳東さん
      田代ヤバいですよね。
      ネタバレもヤバいですね。
      乞うご期待です(^.^)
      田代ヤバいですよね。
      ネタバレもヤバいですね。
      乞うご期待です(^.^)
      2023/05/29
  • 「荒唐無稽」の一言!
    この年齢でこんな事。。と思う反面、「三つ子の魂百まで」とも思う。
    そして舞台が日本から出てるし。
    ただ最後、結衣に仲間ができて良かった。

    • 栞さん
      ultraman719さん、本当にそうですね。
      スカッとする!でも突っ込みたくなる!
      このシリーズはそれが面白いのでしょうね。
      ultraman719さん、本当にそうですね。
      スカッとする!でも突っ込みたくなる!
      このシリーズはそれが面白いのでしょうね。
      2024/01/21
    • ultraman719さん
      そうです!(断言 笑)
      楽しみましょ!
      そうです!(断言 笑)
      楽しみましょ!
      2024/01/21
    • 栞さん
      楽しみます(*´艸`)フフフッ♡
      楽しみます(*´艸`)フフフッ♡
      2024/01/21
  • 閉ざされた島で、どんな手段で窮地を脱出するのか、面白かった。
    島を舞台にすごい計画だった。

  • あり得ない話なのに、化学は全然無知、戦闘モノも無知なのにぐいぐい引き込まれて一緒に時間を共有している。
    何もせずこの世界にのめり込んでいたい。暇な時間に読むを超えているぐらいハマっている。
    引きこもりや更生が必要、かつ親が無関心な子どもを集めて拉致し他国の島に転入させる。そこは非人道的な生活を強いられ、そこに結衣が転入し、ひと暴れ。結衣を遠巻きにしていた生徒は今回も結衣を庇い結託する

  • シリーズ3作目、今回は海外が舞台となりました。
    矯正施設への転向を指示され、施設の見学に向かう途中に拉致された結衣は、気づくと熱帯林の中にある「学校」にいました。
    体罰やいじめが「規則」として行われている特異な環境からの脱出を図る結衣の戦いが始まります。
    これまでの2作と異なり、拉致されていた700名以上の生徒が結衣とともに戦うという新しい展開を見せ、結衣のカリスマ性が引き立つ反面、その影響力の大きさに大人たちが慄然とする姿も描かれています。

    前半部分では打つ手が全くなかったように思える状況でしたが、機転を利かせて挽回してゆく姿は圧巻でした。
    決して「正義」であるとは言えない、殺人を肯定するかのような結衣のありようが、さまざまな問題を抱える生徒たちに自己肯定感や達成感を味合わせ、その気持ちを前向きなものに変えていったことには爽快感と同時に恐ろしさも感じます。

    エンタテインメント作品として十分に楽しめる小説ですが、これからの優莉結衣の人間としての「他者との関わり方」や「閉塞感のある日本社会での生き方」を含めた成長もこれからのシリーズ作品の読みどころだと感じます。

  • 田代勇次とは…?
    何かあるのか

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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