- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041088968
作品紹介・あらすじ
悪徳刑事・大上章吾の血を受け継いだ日岡秀一。広島の県北の駐在所で牙を研ぐ日岡の前に現れた最後の任侠・国光寛郎の狙いとは?日本最大の暴力団抗争に巻き込まれた日岡の運命は?『孤狼の血』続編!
感想・レビュー・書評
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R2.6.13 読了。
すごく面白かった。もちろん一気読みです。国光さんの生き様は、かっこよすぎです。
「二作をかけて描かれたのは、日岡が『仁義』の意味を腹の底から理解し、血肉化していくプロセスだった。」…(解説より)。
ラストの展開は続編への期待を予感させますね。日岡さんの刑事としての成長からも目が離せません。
続編:『暴虎の牙』も今から読むのが楽しみです。
・「人の目に映る善悪など、いい加減なものだ。愛想がいいとか、なにかくれるとか、動物を可愛がるとかいうだけで、人は簡単に相手を「いい人」と定義づける。しかし実際は、そうとは限らない。野良猫に餌を与える優しそうな男が、実は犯罪者であったり、勤め先で誠実そうに見えている者が家人に暴力を振るっていたりするなど、いくらでもある話だ。」
・「一般的に『正しくない』かもしれないが、自分にとっては『正しい』と思うことを貫く超人を前にして、常人は何を思うのか。自分にとって『正しい』と思うことを貫くのは無理かもしれないけれども、一般的に『正しい』と言われていることは本当に『正しい』のかどうか、疑えるようになる。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
※前作のネタバレを含んでおります。未読の方はお控え下さい※
孤狼の血にて日岡がガミさんの意志を継いだラストに鳥肌を立てて早数ヶ月。ハードボイルド大上仕様な口調で締めくくった日岡の本作でのスタート地点、マル暴でバリバリかと思いきやまさかの駐在所勤務。(前作のエピローグ前に記載があったようですが私の狭い記憶中枢からは抜け落ちている。)
そんな〈無為に等しい時間〉を過ごす日岡の前に、世間を騒がす新たな暴力団抗争の火種となるであろう超重要人物「国光寛郎」が現れ取引を持ち掛けられる。まぁ、この作品の魅力は解説の吉田大助さんたる方が実に的確にわかり易く説明してくれているので割愛。
一言で言うなら最高。
国光が親父である北柴に対して、「人に惚れる」ということを日岡に語るシーンにはハッとさせられた。色恋に意義を無くした私だが、人に惚れる事が無関係になった訳では無いと、むしろそれは理屈や理論で制御できるものではないと気付かされた。
惚れた人間、いました。私にも、います。
なんて浅い所で理由も無く溺れているんだろう、地に足着く状態なのにわざわざ膝を曲げてジタバタしている自分が恥ずかしくなった。
正義や仁義はよくわからない。
しかしこの作品内で、二つの違いはしっかりと現れており、これがこの現代の何に当て嵌るか皆目見当はつかないものの、何故か引き寄せられる物があった。恐らくこれは憧れに近い感情なのだろう。
「自分が信じた物を貫く」
良くも聞こえれば悪くも聞こえる。
そして実際、「誰の」「何の」基準なのか、良く見えたり悪く見えたりするものだ。
しかし、日岡や国光初め 志乃の女将 晶子さん 今は亡き大上刑事。彼らは皆、自分が信じた物を信じ 最後までそれを貫き通していた。己を守る自己中心的な正義とは違う、信じ惚れた人間に尽くす仁義。誰もが一切後悔などしていない。
なんだろう。もう、月並み+語彙力爆発で申し訳ないのだが、本当に本当にかっこいい。
自分とは違う。それだけは確実に感じ取ることが出来た。完全に憧れだ。惚れている。
明確では無いが、このよくわかっていない昂った感情は忘れたくないですね。
人生が自分を主人公とする壮大な物語だとするなら、そしてその脚本を自分が作るのならば、私はこんな主人公がいいなぁ...と、そう思う。思うのはタダですね。
いやぁ面白かった!!最高だーい!!-
最近刑事物にハマりつつあり、柚月裕子さんシリーズ、読んでみたいと思っていたので、NORAさんの感想を読んで確信に変わりました。読みます笑最近刑事物にハマりつつあり、柚月裕子さんシリーズ、読んでみたいと思っていたので、NORAさんの感想を読んで確信に変わりました。読みます笑2021/08/11
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にゃんちびさん、こんばんは^ ^
刑事もの超えてヤクザ物と化してる気もしますが...(笑)
是非「孤狼の血」から読んでください喜びます!!!...にゃんちびさん、こんばんは^ ^
刑事もの超えてヤクザ物と化してる気もしますが...(笑)
是非「孤狼の血」から読んでください喜びます!!!私が!!!←2021/08/11
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「孤狼の血」の続編の作品。
大上の血を受け継いだ日岡がどう躍動していくのか楽しみにしていた作品。
今作品は日岡の主意と状況が偏ってはいるが絶対ではないという所からのスタート。
てっきり大上の血を受け継ぎ新たに躍動していくものだと思っていた。
しかし今作品で描かれた物は濃密で、日岡が国光の人となりに触れ、その受け継いだ血を更に濃いものにする。凶犬の眼をも携えながら。最高の作品だと感じた。
警察官と極道の五分の盃。
絶対にあり得ない話なのだが、日岡と国光の二人の根本の血の脈の打ち方が同じなのだからお互いが凄く共感できるのであろう。
警察官とヤクザの間柄でもお互いの正義と仁義が交差して二人の中で惹かれあう。
信頼関係から故の盃、兄弟になる事で一般的な絆より更に強い絆、強い揺るぎなさを読み取る事ができた。それによって日岡の凶犬としての主意が更に濃いものになっていく。その行程が描かれていく感じが素晴らしい。
日岡の正義と国光の仁義、これが凶犬の二つの両眼だと読み取った。それはお互いの意識の中で存在し、思いあい尊重しあい絶対的に存在する眼だと思う。
国光亡き後も日岡の意識の中では国光はいつまでも日岡の片眼だろう。
そういう意味では前作の大上同様、もしくはそれ以上に日岡の今後の歩み方に大きく影響するだろうと感じた。
最高の作品、この後「暴虎の牙」も期待して読みたい。
前作では大上の血を、今作では国光の片眼を、そして最終章と銘打たれた次作は誰のどの様な牙を日岡は触れてそして得るのか?楽しみだ。 -
前作『狐狼の血』の続編。
新米刑事だった日岡が、殉職したガミさんの意思を継いで逞しく成長した様を見せつけてくれる作品。
一気読み。今回も実に見応えがあった。
極道・国光の生き様と振る舞いの潔さ、格好良さが本作品の見どころだ。それだけにエピローグは震えた。本当に震えたのだ。
さらなる続編を期待したいと切に願う。 -
「孤狼の血」シリーズ2作目。
こんな暴力団どっぷりの警察小説が好きだなんて、コンプライアンス的にどうよ?と思う。
でも理屈じゃなく、好きだわ。このシリーズ。
「正義」ではなく「仁義」。
それがこの小説の倫理として一貫している。
「正義」は偉いけど、やっぱりそれだけじゃ、疲れちゃうんだよな…
だからこそ読まれるべきなのかもしれない。
解説で吉田大助さんが柚月さんを、
「同性も惚れる男のかっこよさを書かせたら天下一」と書いているが、ほんと、そう思った。 -
孤狼の血シリーズ2作目
国光もカッコいいですが…
やっぱり極道
何が正義なのか…
仁義とはなにか…
極道の生き方
警察の生き方
分かりやすく書いてるが、やはり複雑ですね…
とりあえず晶子さんが作る
【タコ飯】が食べたくなりました
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ベルゴさん、こんにちは^ ^
タコ飯...わかります...
「しっかり食べんさいね」とか言われながら晶子さんのタコ飯をつつきたいです..
い...ベルゴさん、こんにちは^ ^
タコ飯...わかります...
「しっかり食べんさいね」とか言われながら晶子さんのタコ飯をつつきたいです..
いつも素敵なレビューありがとうございます。これからも楽しみにしてます。2021/10/09 -
本当に美味しそうなんですよね(笑)
晶子さんに、タコ飯出されたら
頬張りながら涙が出そう…(疲れてるな…自分…)
本当に美味しそうなんですよね(笑)
晶子さんに、タコ飯出されたら
頬張りながら涙が出そう…(疲れてるな…自分…)
2021/10/09
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暴力団抗争が再び勃発! 仁義を重んじる極道と左遷された凶犬刑事の闘い、ハードボイルド小説の傑作!
前作の暴力団抗争が元で田舎駐在所に左遷された主人公。指名手配中のヤクザとの出会い、微妙な駆け引きを経て、少しずつ関係性が構築されていく。そんな中、立てこもり事件が発生して男同士の約束が交わされる。
いやーカッコいい!男が惚れる男がたくさん登場する本作、孤狼の血シリーズ第二弾です。
今回はヤクザ役の国光が強烈ですね、昔ながらの生粋の極道が描かれています。
主人公も田舎に左遷されてしまってしょんぼりしていると思いきや、なかなかどうして大上の血をしっかり受け継いでいます。その他登場人物も生き生きしていて、晶子さんも相変わらずで、狼たちの心の支えになっています。
前作では正義とはなんなのかを深く考察させられる作品でしたが、今作は仁義がテーマになっています。人の生き死にまで筋を通す必要はありませんが、一般人である我々も人とのつながりにおいては筋の通った生き方をしたいものです。
物語は前作よりも構成がシンプルで、そのまま映画にもできそうな内容。序盤中盤の引き込みが弱く(というより前作が力強過ぎたのですが)、もう少しドギツイ展開でもよかったかと思いました。しかし中終盤からはしっかり感情移入してしまい、最後には強烈な感情が押し寄せてきました。
主人公の今後が超気になる作品、次回作も楽しみにしています! -
「孤狼の血」続編。
今回も漢気満載で格好よく、人情味溢れてて面白かった!
最初は大人しかった日岡が次第に本領発揮していく姿にワクワクしてページをめくる手が止まらず。僻地にいても重要人物を引き寄せてしまう日岡はやっぱり大上からマル暴刑事としての血を引き継いでるわ。
そして国光の生きる姿勢がカッコイイ!弟子が憧れるのも納得。
親父である北柴への想いを日岡に語るシーンは心が温かくなったし、日岡も国光とたくさんの時間を共有してその思いを理解し影響を受けたんだろうな。「仁義」を重んじ日岡と最初に交わした約束を守るものさすがだった。
終盤まで読んでやっとエピローグの意味を理解。深いな。中盤以降の日岡は大上と仕事をしていた時のようにイキイキしていて、今作の出来事を通して改めて覚悟を決めた日岡の今後の活躍にも期待。 -
柚月裕子『凶犬の眼』角川文庫。
文庫化されたので再読。最近、シリーズ完結編の『暴虎の牙』も刊行されたようだ。
『孤狼の血』シリーズ第2作。『慈雨』から『孤狼の血』と今や男性作家よりも男らしい傑作を上梓し続けている柚月裕子がまたも男の小説を描いてみせた。面白い。しかも、まだ続編の余地がありそうだ。
主人公は『孤狼の血』で広島の所轄署の捜査二課に配属され、大上と共に暴力団系列の金融会社に関連した事件の捜査にあたった新人刑事の日岡秀一である。その後、所轄署から田舎の駐在所に左遷された日岡は、懇意のヤクザから得たきっかけを手掛かりに再び陽の当たる場所へと這い上がる決意を固める……
作中の舞台は中国地方なのだが、横手の錦秋湖が登場し、違和感を覚えた。横手は秋田県の地名で、錦秋湖は岩手県の西部にあるダム湖である。柚月裕子が岩手県出身で山形県在住であることから、東北地方に対する思いなのかも知れない。
本体価格780円
★★★★★