日本沈没(上) (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091180

作品紹介・あらすじ

伊豆諸島・鳥島の東北東で一夜にして小島が海中に没した。現場調査に急行した深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は、地球物理学の権威・田所博士とともに日本海溝の底で起きている深刻な異変に気づく。

感想・レビュー・書評

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  • 「日本沈没」小松左京 氏
    ~自然の脅威と人間心理の深層~

    【災害の深刻さと自然の不可解さ】
    小松佐京氏の「日本沈没」は、科学の限界と自然災害の深刻な影響を描いた作品です。この小説は、読者に災害時のパニック状態や人間の不合理な行動をリアルに感じさせます。

    【1970年代の日本を舞台に】
    物語は、1970年代の日本を舞台に展開します。主人公は、潜水艇操縦士です。教授とともに、頻繁する地震災害の原因を探ります。この小説は、島が海に沈むという衝撃的な事象を発端として、地震そして火山の噴火という自然の力に対峙する人間を描写します。人間そして科学の限界は何か?について考えざるをえない物語です。

    【小説に描かれる現実】
    小説では、地震や火災などの二次災害の被害、都市インフラの停止、避難時のパニック、社会復帰の困難さなど、災害がもたらす様々な問題を詳細に描写しています。これらの描写は、架空の話であっても、現実の災害に対する深い洞察を提供します。

    【読後の感想】
    小説を読み終えた後、私たちは自然災害の前に人間がどれほど無力であるか、そして、災害時にどのような心理的、物理的準備が必要かを考えさせられます。この作品は、ただのフィクションを超え、現実世界での準備の重要性を説いています。

  • 小さいころ映画のCMが恐かった覚えがあります。

    「科学者にとって、いちばん大切なことは何かな?」
    「カンです」
    ニヤっとさせられる、この発言をした博士の導く日本の未来。その行く末はどうなるのか?

    過去に起きたことがないから、は通用しないんだ。あまり考えないように生きてるけど。実際にその現実を何度も突きつけられて、その度に人間のちっぽけさを思いしる。

    続きは下巻で。

  • 小松左京『日本沈没(上)』角川文庫。

    何十年か前にノベルズ版で既読。言わずと知れた災害シミュレーション小説の大傑作。1973年の作品。高度経済成長期の浮かれる日本人に日本沈没という予想だにしない天変地異の可能性を提示したことはエポックメイキングなことだった。

    伊豆諸島の小島が一夜にして海中に沈んだことを受け、深海潜水艇の操艇者・小野寺俊夫は急遽現地調査にあたる。相次ぐ火山の噴火と頻発する地震。やがて、小野寺は地球物理学の権威・田所博士と共に日本海溝で起きている深刻な事態に気付く。

    そして、ついに起きた第二次関東大震災は悲劇への序章に過ぎなかった……

    描かれる描写は阪神淡路大震災や東日本大震災にも酷似し、日本沈没という天変地異のメカニズムも科学的に描かれており、小松左京のSF小説家としての凄さを再認識した。

    本体価格600円
    ★★★★★

  • 会社の読書会で後輩に「ぜひ読んでください」と紹介され、手に取った。
    1970年代、高度経済成長著しく「もはや戦後ではない」と言われるほど繁栄を謳歌していたころに書かれたディストピア小説。
    日本列島で次々と起こる地震に対して、ちょっと世間離れした学者1人が、地殻変動で日本が沈没するという持論を展開する。他の学者はじめ世間からバカにされ、相手にされないのだが、火山の噴火や大地震はますます激化する。
    「国土が丸ごと沈没するなど、ありえない」と思うのだが、地球物理学に関する解説が詳細で分かりやすく、国形が短期間で大きく変わってしまう恐ろしい現実がジワジワと近づいてくる様子が、迫力を持って語られている。

  • 震災の部分の描写が…戦慄。

  • T図書館 すぐ再読
    1973年
    光文社より出版した作品をもとに一部改稿
    9年がかりで書いた
    当時400万部を越えるベストセラー

    初の小松左京氏
    難しいそうだと先入観で感じていたが、ドラマにできそうな描写とセリフ回し、昭和っぽい熱血さがあって読みやすかった
    地球の構造はもちろんのこと、潜水艇の内容も緻密に書かれていた
    さすがSF界の重鎮である

    何が起こるかはっきり言わない地球物理学の田所博士「わしには地球があるのだ 。
    日本がこの小さな紐みたいな島がどうなろうと。」と言ってのける
    日本は紐!日本より地球?
    ある意味ひもだなと笑わせてくれるが、この人は自分の研究しか考えていない

    D2作戦、機密特A級など国が絡むと国民に言えない内密事項が多い
    本当は深海潜水艦を防衛庁で使いたいが使途を伏せておきたい
    サルベージ(海難救助)会社をダミー会社にして、資金をバックアップして潜水艦を買わせすぐ防衛庁がチャーターするという考察をしていた
    秘密裏な部分は昔からありそうな話だ

    私は前から地震と深海魚に興味があり、よくNHKの番組を見ていた
    海底の調査で、5年前に発見された島の頂上部は現在、水面下90mの所にあり、島は2日半の間に160m沈下したとわかる
    太平洋の底7000mで何が起こりつつあるのか?
    そんな潜水の描写に、息が浅くなりつつもわくわく度が増した
    海の専門用語が難しいので説明図が欲しかった

    一方浅間山の噴火やM8.6の大地震の描写では、3.11を想起させ落ち着かなく、遅々として読むのが進まなかった(内容が難しく入ってこないという理由もあるのだが)
    その大地震は4章に書かれている
    異変は空からだ
    急に電光が見え、鳥たちが一斉に飛び立つ
    衝撃があり、ある2人の状況、逃げる様子が描かれている
    あっという間の被害、道路、火災、全滅の地域、黒い雨、日本の人口2.3%が一瞬で死んだ
    田所博士曰く、まだ序の口とのこと
    下巻は題名の通りなんだろう

    政府、海底、地震を結びつけた題材は、好奇心やら怖さや恐ろしさが湧いてくる
    特に地震は実際起きている記述が多く、身震いした
    文句なく傑作だ

    読んでいる時に地震
    2023.5石川県珠洲(すず)市 M6.5

    目次
    1章 日本海溝
    2章 東京
    3章 政府
    4章 日本列島

  • 読んでも読んでも終わらない。とにかく長い。また、話が専門的すぎて難しい。何度も読むのを諦めかけた。が、気づくと話の続きが気になって読んでしまう。下巻を読むのが楽しみ。

  • あれの事について中々核心に触れず。
    何度もそういう話になるが、あれは何々だ!って言い切る場面は中々やってこない。しかしメンバーが静かに理解していく様であれが何かはわかる。

    関東での災害被害が色々書かれておりかなり詳しく現実的に書かれていて、へこむ。

    丁度現実でも地震が頻繁に起こっているのも怖いよ。

    後半へ期待。

  • 劉慈欣が影響を受けた作家の一人、小松左京の代表作。1973年3月の作品です。
    日本が晒されている危機の正体、題名通り「日本沈没」なんですが、その一言を中々言わない田所博士にじらされます。自然災害を多く経験してきた日本の国民には、災害の度に面目一新し進んでいくというある種の楽観主義が培われているという考察は合点がいきました。

  • すごい表現力!
    切迫が伝わってくる
    難しい理論とかもあったりとかしたけれど、それ抜きにしても楽しめる!
    後半が楽しみ

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著者プロフィール

昭和6年(1931年)大阪生まれ。旧制神戸一中、三校、京大イタリア文学卒業。経済誌『アトム』記者、ラジオ大阪「いとしこいしの新聞展望」台本書きなどをしながら、1961年〈SFマガジン〉主催の第一回空想科学小説コンテストで「地には平和」が選外努力賞受賞。以後SF作家となり、1973年発表の『日本沈没』は空前のベストセラーとなる。70年万博など幅広く活躍。

「2019年 『小松左京全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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