- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041098783
作品紹介・あらすじ
「眠れば、死ぬ」
東京から父の地元に引っ越してきて以来、悪夢に悩まされていた「僕」は、現実でもお腹に痣ができていることに気づく。
僕だけでなく、父親の友人の子供たちもみな現実に干渉する悪夢に苦しめられていた。
やがて、そのうちひとりが謎の死を遂げる。
夢に殺されたのか。次に死ぬのは誰か。なぜ、悪夢を見るのか。
理由を探る中でオカルトライターの野崎と真琴からお守りをもらい、僕らの苦悩はいったん静まったかのように思われた。
しかし、今度は不気味な黒ずくめの女に襲われる悪夢を見るようになる。 「比嘉琴子」と名乗るその女は、夢の中で僕を殺そうとしてきて──。
感想・レビュー・書評
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比嘉姉妹シリーズ長編新刊。冒頭の理不尽な理由による大量殺人がえげつない。売れっ子作家の父親の故郷である関西の田舎に引っ越してきたけどマイルドヤンキー世界に慣れない「僕」。そんな中父親の友人の子ども達が自分と同じ様な悪夢に苦しんでいるのを知り、協力して立ち向かおうとするが…。比嘉姉妹が活躍するどころか足を引っ張っていると思っていたら第二部が始まりそういう事かと。ある意味最強の夢を見せるばくうどとの対決よりは現実の世間の暴走、そして手のひら返しの方が怖い。今回比嘉姉妹それぞれの弱さが胸に染みる。そして対決の結果!次作で解決するよね、ね。
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僕にだまされ 劉にだまされ
特に前半の殺人シーンは
かなりのグロさでした
妊婦の方は読まないほうが
よいかも・・・
幸せな悪夢を見つつ死ぬか
悪夢を見つつ辛い現実を生きるか
あれ 夢の中のほうが幸せ
と思うんですが
なぜか現実に戻りたくなる気持ち
なんとなく 分かる気もします -
迷い惑わされ、慄き、祈る一冊。
見たくないのに見る夢。
コントロールが利かない夢。
そこを効かせ、恐怖へと仕立て上げた絶品ホラー。
序盤から残虐極まりない、それこそ夢であってほしいと思う幕開け。
容赦ない描写でもページを捲る手は止まらない、止めさせないのはさすがだ。
一体、この恐怖の夢の森の出口はどこなのか…今、何が夢で何が現なのか、足元危ういまま終始迷い惑わされ連れ回された感、それに伴う慄き、驚き、ドキドキ感が絶妙。
と同時に沸き起こる祈り。
弱さも強さも含めての比嘉姉妹が好き。
そしてもちろん続編への祈りがやまない。 -
今年一発目の小説!
いやー期待を裏切らずめちゃくちゃ面白かった。
やっぱり澤村伊智はホラーを描かせたら間違いない
しかも比嘉姉妹のシリーズだからより面白い!
今回は夢の中に現れる怪異…
夢の中、自分ではどうにもコントロールできない領域だからこそ、めちゃくちゃ怖い
エルム街の悪夢のフレディやジョジョのデス13レベルの最強最悪の怪異
最強の退魔師のお姉ちゃん琴子さんも大苦戦
このシリーズ、ぼぎわんやなどらきなど
強くて怖い怪異がたくさん出てきたけど今回がたぶん最強で最恐だと思います。
ぼぎわんみたいに映画化して欲しいけど内容的に無理かな…
前半の内容と後半の内容でガラリと変わる構成的にもとても面白かったです。
辛い現実より極楽な夢を選ぶのか
澤村伊智ファンは是非、読んだことのない方も
最高のホラーエンタメなので絶対に楽しめると思います!-
2023/05/09
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2023/05/11
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かなり遅くなりましたが…
オススメしていただいた「ばくうどの悪夢」読みました~
五億倍おもしろかったです!!
前半からの後半へ...かなり遅くなりましたが…
オススメしていただいた「ばくうどの悪夢」読みました~
五億倍おもしろかったです!!
前半からの後半へ~のひっくり返し方
え?これってどっち?夢?現実?
読み返すほどおもしろい!
やられた~!
最高でした!!
おすすめしてもらってよかったです~
ありがとうございます!2024/04/12
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夢がテーマであることを無茶苦茶利用していて、中盤の大展開でどう読んだら良いのか示してくれる。映像化してもうまく活かされそうな話だなと思った。途中で切ない描写もあり、シリーズファンとしては、嬉しくも悲しくもある。シリーズではあるものの比嘉姉妹はそれほど前面には出ず、これまでの作品とはまた雰囲気が違う一面があり、それでいて次作が気になる。
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比嘉姉妹シリーズ。東川西市T台に歪んだ憎しみを募らせた男が総合病院の産科病棟で大量殺戮を繰り広げる衝撃的な場面から幕を開ける。事件で妻子を失った樋口を慰めるため、定期的に集まる学生時代の友人たち「片桐軍団」とその子供たち。以降はリーダーである片桐の息子「僕」の視点で悪夢が現実に干渉してくる恐怖の日々が描かれる。親への恨みで自分たちの命が狙われているのか。軍団の一員野崎と妻の真琴の協力で「僕」は「ばくうど」の悪夢から逃れる方法を模索するーー
えっと、総体的にはとても面白かった。中盤、全てが解決したように見えてからの世界がひっくり返る展開は澤村作品らしく、それまで感じていた小さな違和感が見事に回収されるカタルシスもちゃんとある。琴子さんが「僕」の命を執拗に狙うカラクリも腑に落ちる。そこからまさに本当の戦いが始まるわけなんだけど、個人的には何故か失速してしまった。
(以下かなりネタバレに触れます)
ここから先は上手く説明出来る気がしなくて、誰にも理解してもらえない前提で書くけど(笑)、澤村さんはこの作品をフレディ・クルーガーに捧げている。フレディはホラー映画『エルム街の悪夢』で夢を介して襲ってくる殺人鬼。夢で殺されると現実でも死んでしまう。本作の「ばくうど」もたしかに同じように夢に現れて魂を喰らう化け物なんだけど、見せてくるのは悪夢ではなく、本人が望む世界なのだ。つまり自分に都合の良い、心地いい世界。琴子さんが現実では死んでしまった弟妹たちと一緒に暮らしていたり、それこそ片桐は現実では得ることがなかった物書きの仕事、妻子、友人たちに尊敬される世界。この設定もたしかに虚しく、恐ろしいことではあるが、いかんせん恐怖が感じられなくて。いや、三人で夢に入って化け物退治するのはまさに『エルム街の悪夢3』を彷彿とさせるのだけど、だからこその期待したような恐怖描写が欲しかったというか。現実かと思っていたら悪夢に変わる前半部(片桐の世界)の描写とかが私は怖いというか、好きだと思ったのだ。だから主役が劉くんにスイッチしてしまった現実パートからは、どう解決するのかは気になりつつも、ページをめくる手は失速してしまった。
あと完全に退治しきれてない状態で終わっているのもあると思う。こんなにボリューム割いたのに、なぜここで終わるのかなぁ。だったらもう少し書いてちゃんと終わらせてくれても良くない?
そう思ってしまうのは毎回面白いものを読ませてくれる澤村さんへの期待度を高くし過ぎた私だけですかね(笑)。どっちにしろ次の長編も楽しみにしてます。 -
待望の“比嘉姉妹”シリーズ最新作
「エルム街の悪夢」の現代版、眠ったら死ぬホラー
起きても恐怖で心臓がバクバクする悪夢よりもいつまでも浸っていたい良夢を見るのがいいけど、果たして夢の中のまま死んでしまっても良いのか?
そんな夢ホラー
現代版「エルム街の悪夢」は「インセプション」も加わり、夢の中の夢や誰の夢か、はたまた現実か…何処なのかが曖昧になっていく
物語の前半は怪しい殺人鬼の序章から一転、しあわせな家族が悪夢に襲われる物語になっていく
野崎夫婦も出てくるけど、なんか違和感だらけ
と思っていたら、やっぱそういうことか…
琴子姉ちゃんの夢の中が、もの悲しい
ジャケの怪しさも好き
これも映画化希望! -
産科病棟で起こった凄惨な大量殺人が影を落とす田舎町で集まった、「片桐軍団」と名乗っていたかつての友人たち。彼らの子供たちが謎の悪夢に苦しめられ、やがては命を落とす事態に発展した。軍団の一員であった野崎は妻の真琴とともに事態の収拾に当たろうとするものの、そこには思いがけない作為があった。今回も読んでいて非常に楽しい、比嘉姉妹シリーズのホラーです。
夢の中でどれほど怖い思いをしようとも、目が覚めれば安心できるものですが。それが現実にまで侵蝕して死に至るものになるというのはとても恐ろしい話。その一方で極楽の夢に誘われてそのまま目が覚めない、というのも恐ろしいのですが、しかしそれに抵抗することができるのかというと……その方が突き詰めてみればより恐ろしいことなのかもしれません。どこまでが夢でどこからが現実なのか、自分が眠っているのか目覚めているのかわからないその感覚もまた堪えられないほどに不気味です。
シリーズファンからすると驚愕の展開に振り回されっぱなしでした。野崎が、真琴が、琴子がまさかそんなことにっ! ちょっと待てこれどうなってんの!? そして比嘉家の姉弟が勢ぞろいする様子が楽しいような、悲しいような。琴子の意外な姿が見られたことも印象的でした。